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アーティストインレジデンス企画で滞在した中條亜耶さんと岡田まゆみさんにインタビュー

「 LINNAS Kanazawa」が2021年6月23日から実施したアーティストインレジデンス企画「LAiR (レアー)」。アーティストさん10名をご招待し、館内で制作活動を行っていただきました。

今回は、この企画に参加した中條亜耶(ちゅうじょう あや)さんと岡田まゆみ(おかだ まゆみ)さんのお2人にインタビュー。参加した理由や滞在した感想を伺いました。

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LINNAS Kanazawa アーティストインレジデンス企画を行います。

「LINNAS Kanazawa」が企画するアーティストインレジデンス企画「LAiR (レアー)」って?

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LINNASが提供したい「豊かな日常」の一つに「アートのある日常」があります。家で過ごすことが長くなった今、家の中にアートがあることで気持ちが明るくなるはず。

LINNASでは、アーティストインレジデンスで滞在したアーティストの作品をお部屋や共用部に飾っていくことで、宿泊する人たちに「アートのある日常を試着」してもらいたい考えています。

今回の企画では、6月23日から7月15日の期間中、日本各地から10組のアーティストが約2週間「 LINNAS Kanazawa」へ滞在し、制作活動を行いました。

参加されたアーティストさんは、金沢の学生さんもいれば、初めて金沢にいらっしゃる方も……。

今回は、その中から2名のアーティストさんにお話しを伺いました。

2足の草鞋を履く中條亜耶さんインタビュー

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 歴史や時世からヒト視点の動物をテーマに日本画を描いている作家、中條亜耶(ちゅうじょう あや)さん。カラフルな岩絵具を巧みに操り、これまでたくさん動物を描いてきました。

「動物を見ると、どうしても背景に人間を感じてしまうんですよね。歴史や文化を交えながら動物を捉えていくのがとても面白いんです。動物たちが歩んできた背景を絵に落とし込んでいます」

人間のフィルターを通してみた動物を描いているという中條さん。どの絵もほっこりと心が穏やかになるものばかりです。

二足の草鞋を履くライフスタイル

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大学卒業後から作家として活動している中條さん。日本画家として活動する傍ら、講師という顔も持っています。

「実は、インターナショナルスクールや高校で美術やアートの非常勤講師もしているんです。大人の方向けに、日本画や水彩画、水墨画なども個別で教えています。作家と講師とのお仕事の割合は、それぞれ同じくらいですかね」

今回のアーティストインレジデンス企画では、集中して絵を描ける環境がとてもありがたかったのだとか。

「普段は講師のお仕事もしているので、絵を描いていても中断せざるを得ない環境にいるんですよね。でも今回は、朝から晩までガッツリ絵を描くことだけに集中できたので、とても嬉しかったです」

幅が広がった2週間の滞在

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アーティストインレジデンスに参加したのは初めてだったという中條さん。

「参加したきっかけは、LINNASの代表Akiさんの共通の友人から教えてもらったことでした。参加するからには『積極的に交流しに行こう』『リンナスにこもって絵を思う存分描こう』と思っていて」

アーティスト同士の交流により、視点の幅も広がったのだとか。

「普段は、都内での個展を開いたり、展示会に参加したりすることが多かったのですが……。

芸術祭に積極的に参加されているアーティストさんなど、自分とは違うスタイルで活動している方々に出会えてとても刺激的でした。

みなさんからもらったいろんな視点を生かして、今後は私も幅を利かせていろんなことに挑戦していきたいです」

交流会や食事を通して繋がるアーティスト同士の輪

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「思い返すと、交流会や食事を通していろんな人と繋がれたのがとても楽しかったです。

毎晩、なにかしらみんなと一緒に料理を作ったり食事をとっていたので、アーティスト同士の仲は、だいぶ深まったと思います。

みんなで座禅体験をしに行ったり、能登に行ったり……。石川県という土地をみんなで満喫できたのもいい思い出です」

「HYGGE」をテーマに作った作品

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「シェアキッチンで過ごした居心地の良さを表現したいなあと思いながら描きました。みんな個性的でバラバラなのに、一体感を感じるというか……。個性を出しやすい馬を題材に、そんな心地よい空間を表現してみました」

制作の過程では、他のアーティストやホテルに泊まりに来ている方などにも、色塗りを手伝ってもらったのだとか。共同制作もヒュッゲを感じられる要素のひとつですよね。

九谷焼の5色を使い、金沢らしさも感じられる作品からは、ぬくもり溢れるほっこりとした優しさを感じられました。

中條亜耶(CHUJO AYA)
神奈川県横浜市出身
東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
現在、横浜にて制作
Instagram:https://www.instagram.com/aya_chujo/
HP:https://www.ayachujo.com/

現役大学生、岡田まゆみさんにインタビュー

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普段は、金沢美術工芸大学に通っている現役大学生の岡田まゆみさん。

彫刻を専攻している岡田さんは、「クレイワーク」をメインに、可塑性のある素材を扱う学生が多く所属してるゼミに入っているのだとか。

「ゼミでは、形にとらわれず結構自由にやらせてもらっています。ガラスや石を彫ったりすることも。

何を作っているかと言われると難しいんですけど……。

周りをとりまく環境や土地と人、ものとの関係性をみることで、人類の姿やここに生きているものたち、存在しているものたちへ問いかけるような作品を制作しています」

アーティストインレジデンス企画に応募したきっかけ

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「自分がこの土地(金沢)にいる理由を探したくて応募しました。私は作品を考える時に、土地との関係性を大切にしているんです。

金沢には4年住んでいるんですけど、未だに金沢のことを知らないことに気づいちゃって……。いま住んでいる金沢で制作することに意味を見つけたかったんです。」

今回の滞在中、金沢にいる理由を見つけられたという岡田さん。1番楽しかったという交流会を通して、新しい発見がたくさんありました。

答えが見つかった交流会

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「人と交流することで、『この場所を捉えなおす』という課題をクリアできました。自分ひとりでは気づけなかった多くのことに気づかされた日々でしたね」

人と話すのは得意な方ではないという岡田さん。最初は不安も多かったんだとか。そんな不安もすぐ吹き飛びました。

「みんなでごはんを一緒に食べる機会が多かったので、自然と交流が生まれる機会が多かったです。

みなさんとにかく優しくて。たくさんのことを話すことができました。個性的で面白い方々と話す時間は、とても充実していました」

交流する中で、今まで一部しか見えていなかった金沢を俯瞰してみることができたと言います。

「みんなと話していて、金沢は山も海も近くにある面白い場所だと思いました。こんな場所なかなかないなと思って。金沢をもっと知りたいという気持ちが芽生えました」

交流会を通して、この場所を捉えなおすができたと言います。

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ちょうど、今後の進路にも迷っていた岡田さん。

「大学院には進もうと行こうと思っているんですけど、どの土地に行こうか決めかねていて。もしかしたら、来年は金沢にはいないかもと思っていたんです。でも、この滞在を通してもう少し金沢にいたいなと思いました」

「HYGGE」をテーマに作った作品

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「金沢の雨」をテーマに作品を作った岡田さん。

金沢という場所の特性を活かした作品を作りたいなと思った時に「雨」がテーマに浮かんだのだそう。

「日常生活の中で起きる些細なことを大事にすることで心地よさが生まれ、日々が満ちていくと思うんです。『HYGGE』は、そうした日常の中にあると思っていて。

金沢は、『弁当忘れても傘忘れるな』という言葉があるほど雨が多い街。金沢にいる人いとって雨を見ることは、当たり前の日常だと思うんですけど……。

そんな当たり前の雨を今より少しだけでも大事にできたら、金沢にいること、そして金沢で生きていることをもっと大事にできる気がしています」

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当たり前だと思っていることにこそ、かけがえのないことが秘められているもの。そんな大切なことに気づかされる作品です。  

岡田まゆみ(Mayumi Okada)
東京都出身
金沢美術工芸大学 美術工芸学部 彫刻専攻 在籍
Instagram:https://www.instagram.com/m.ayumi.okad_a/
HP:https://www.mayumiokada-artwork97.com/

アーティストインレジデンス企画を終えて

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大成功をおさめた今回のアーティストインレジデンス企画。

最後に「LAiR 」を企画したLINNASスタッフのCHICHIに突撃インタビューしてきました。

突発的に生まれたさまざまな企画

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今回は1回目の企画だったこともあり、いい意味で企画に余白があったのだそう。この余白のおかげで、新しい企画が続々と生まれていくことに……!

「アメニティ棚をギャラリーに変えたり、仏像彫刻LIVEをしたり、館内展示を行ったり、美大生の巣窟である芸宿ツアーを行ったり、公開制作を行ったり、ワークショップを行ったり……。アーティスト同士がコラボし、共同制作も行われました。

とにかく、次々と突発的にいろんな企画が生まれ、毎日が刺激に溢れていました……!毎日素敵なものが生まれてくる空間に携われてよかったなあと心から思います。本当に楽しかった……!」

毎日が交流会!アーティスト同士の密な関係性

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LINNASが提案するアーティストインレジデンスの目的のひとつは、アーティスト同士の繋がりを持たせることでした。今回は、そこに共感してくれた交流に前向きな方々が大集合。

もともと交流会としては、ご飯をみんなで1回だけ食べる予定だったそう。しかし、気づけば毎日が交流会になっていたと言います。

「日々、自然と交流会が発生していました。作風や嗜好が全然違うアーティストさんが一堂に会して情報交換したり。一緒に制作に取り組んだりしていて。感動しましたね。LINNASでアーティストインレジデンスをやる意味があったなあと。」

濃い関係性の渦を生み出せたのは、LINNASの強みでもあり特殊な部分でもあります。ホテルの宿泊者や地元の方も利用するシェアキッチンの場が交流の発信源となり、交流をより活発にしてくれました。

「誰かと話しやすい、居心地よい環境を提供できたこともあり、これからも仲が続くような関係性を作ってもらえたんじゃないかなと思います。スタッフとの距離が近いのも、ポイントなのかもしれません。

シェアキッチンから生まれる密な関係性は、本当に面白いんですよ」

今後の展開にも期待……!

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好評につき、アーティストインレジデンス企画の第2弾も年明けに考えているのだとか……!

完成した作品は、それぞれ客室に飾る予定。ヒュッゲマガジンを読んでくださっているみなさんも、アーティストルームに滞在できる日が来るかもしれません。

text:土屋香奈

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