【LAiR’s Artist】 うき
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絹糸と着物地を用いた刺繍作品を製作。伝統的な技能を使ったり使わなかったり。
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作品紹介
①ご縁結び加賀紋刺繍
リンナスという場所が滞在者たち誰にとっても家のような、家族のような場所になるようにと願いを込めて刺しました。
金沢に来てリサーチするなかで知り面白いなと思ったのが、藩の外様だったが故に生まれた独特の家紋表現の加賀紋。紋自体は小さくして主張は決して強くせず、その代わりに周りに花等の装飾をあしらうこのスタイルがとても興味深く、取り入れることにしました。
本来は中央に各家紋が入りますが空白にすることで、それぞれの宿泊者の家になるようにとの意味を込めています。 中央を空白にすることで円の形になり、その両側に結んだ暇を加え、"縁を結ぶ"とし、紐をハの字にして色も徐々にぼかすことで"末広がりに末長く"との意味を込めています。
円の部分は花ではなく、金沢で出会ったたべものにしました。右側から金時草、加賀れんこん、加賀太きゅうり、上部の川のような部分は日本酒、その下の粒はビールの泡を表現しています。ちなみにれんこんの周りにある黄緑色のものは、個人的に好きな中田屋さんのうぐいすきんつばです。
おいしいものに囲まれたこの街で、多くの人と縁が結ばれる事を願う紋です。
②たらふく
滞在中終盤につくったこの作品はひらがなで"たらふく" 黒と白のコントラストが印象的な着物地を夜が更けていく様子に重ね、"たらふく"は人の姿としています。
私が滞在中に制作をしながら美味しいものをたらふく食べ、美味しい酒をたらふく飲み、色々な場所に足を運んでたらふく遊び、様々な人とたらふく喋り、幸せな気持ちになりhyggeを感じながら倒れるようにコテッと寝に落ちるあの感覚を表現しました。
足元の"く"の部分はまだ真っ直ぐ立っているけれど、頭の"た"に向かうほどもう今にも倒れそうに斜めになっている。
色合いも、頭の中はもう夢見心地、という感じで柔らかな色に変化している。
見た人達が、金沢を"たらふく"満喫して幸せいっぱいになって帰って欲しいなという願いを込めました。
LINNASアーティストインレジデンス企画【LAiR】について
LINNASは「街の中のちいさな複合施設」として、その地域の中の人、外の人、様々な人が行き交うHUBにしていきたいと考えております。そのためにアーティストの方々が訪れる機会を創り、多様性を生み出していきたいと考えています。
また、ホテルとしてのコンセプトは「ヒュッゲ」を掲げています。ヒュッゲとはデンマーク語で「居心地の良い空間・時間」を意味する言葉です。宿泊されるゲストには、そんな豊かさを感じるひと時を提供します。そしてこの感情を、日常にも持ち帰っていただけたらと思います。
豊かな日常を分解していくと様々な要素があるかと思いますが、LINNASが提供したい「豊かな日常」の一つに「アートのある日常」があります。
家で過ごす時間が長くなった今、家の中にアートがあることで気持ちが明るくなったり、癒されたりするのではないでしょうか。
LINNASではアーティストインレジデンスで滞在してくださったアーティストの作品をお部屋や共用部に飾っていくことで、宿泊する人たちに「アートのある日常を試着」していただきたいと考えています。
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