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『佐藤勝利のすべて』の感想文

※全て個人の感想ですので何卒ご容赦ください。


前文(長いです)

 『佐藤勝利のすべて』というプロジェクトにおける集大成のコントライブ(※プロジェクト自体は今後も続くとのことですが、とりあえず第一弾のゴールとしてコントライブが設定されていたと思うのでこの表現にさせてください)観劇後、最初に抱いた感情は "爽快" でした。解けなかった問題の解説文を読んだときのような、伏線回収の見事な映画を鑑賞したあとのような爽やかな気持ち良さを抱いて「おいでよ ハイヤー」のメロディーを反芻しながら帰路につきました。

 わたしは伏線回収が大好きです。伏線回収なんか人類みんな大好きだと正直思っているのですが、魅力的に感じる要因を感覚的に掴んでいる気はするものの、その実体を言葉で思考したことがありませんでした。感情の言語化について意識させられる機会が本プロジェクトでは数多くあったので考えてみたところ、大きく二つ思い当たりました。あくまでも「わたしの場合は」です。

 一つ目の理由は、積み重なった期待に応えてもらえるのが幸せだから。期待というよりも信頼と表現した方が近いかもしれません。消費者の予想を裏切る展開や結末は大好物ですが、期待や信頼まで裏切ってほしくない。その擦り合わせをするのが伏線の役目だと思っています。この作品はこういう方向に進むけど、お金と時間を使って大丈夫? あなたの求めているエンタメと合ってる? と確認してもらっているようなイメージがあります。
 もう一つは、同じ道筋を違う景色で複数回楽しめるから。結末という答えを得て、世界観の解像度が高まった状態で改めて触れる物語は、全く違う側面を見せてくれます。作品そのものを見返してもいいし、あれはこういう意味だったんだ!と記憶を辿るのもいい。世界が何層にも深まり、視野が広がる手ごたえが明確にあります。特に気に留めていなかった要素が、意味や物語を付されその存在を際立たせていくさまは何度体験してもたまらないものがあります。

 『佐藤勝利のすべて』にはどちらの要素も揃っていました。グループのチーフマネージャーさんのお名前でXに音声が投下されたのが2024年9月2日、『佐藤勝利のすべて』プロジェクトの詳細発表とフェイクドキュメンタリー第一話がYouTubeで公開されたのが9月6日です。そこから2カ月かけて期待と信頼を丁寧に積み重ねてくれました。
 そしてコントライブ本番では、こちらがお笑い初心者なのにも関わらず、このことを言ってたのか!と思える要素がたくさん見つかります。右も左もわからない初めての世界に飛び込む覚悟でいたのに、知らず知らずのうちにコント基礎力が鍛えられていました。初心者でも不足なく楽しめるようにという興行主側の細やかな配慮にひたすら頭が下がります。他人を笑わせるために努力を続けられるような人たちですからホスピタリティーがすごいんですよね。

 当然ながら、お笑い初心者に優しい仕様だからと言って玄人の方が物足りないと感じるようなファッション要素は一切ありません。わたしは玄人じゃないので ”本物の” 玄人からしたら見当違いである可能性は捨てきれないですけど!

コントライブ本編の感想

 初日に披露された瑞々しい新鮮なコントと、最終公演のいわば熟成されたコントを比較鑑賞することで、変更点 ―― 主に初日にだけあった要素にはこんな意味があったんだ!と想像して遊ぶことが出来ます。
 コントの感想を書くという行為はもしかしたらシャバいことに分類されるかもしれないんですが、どうしても書きたいので書きます。面白いテキストにはならない予感がしますので、読みたい方だけどうぞ!

 下記サイトで公演の配信が行われています。<2024.11.24 18:00まで>

・FCサイトでの配信(会員登録が必要です)/ FC会員限定 4,000円

・CNプレイガイドでの配信 / 4,500円

以下ネタバレを含みます。

【1本目】三国志GiGO

 佐藤勝利さん(佐藤勝利さんではない)がひとり板付きの状態で舞台が明転し、電話のシーンから始まります。11月13日深夜のラジオで言及がありましたが、アイドルのファンで埋まっている客席を想定した ”キャー封じの脚本演出” でした。
 舞台上が明るくなったとき、既に佐藤さんが登場済みであれば、さらに何かを喋っていれば、声を潰してしまうわけにいかない観客は歓声をあげられません。その防波堤を突破するような声があがったとしても、直後に登場した蓮見さんが続きの台詞を投げることで抑えこめるだろうという計画です。あまりにも徹底した対策、ボウリングのガター防止レーンレベルの防御力に、蓮見さんが仰っていた「(歓声を禁止するのは)こちら側のエゴ」という言葉の意味を実感します。手のかかる客層で申し訳ありません……。

 コントの役も、ゆるめの先輩(蓮見さん)と、素直で人懐っこいけどちょっと変な後輩(佐藤さん)という、それぞれの第一印象から連想されるイメージをそのまま掬ったようなキャラ設定で馴染みがいいです。内容はざっくり三国志について語り合うもので、名前は知ってるけれど内容を詳しく説明出来ない(でも大人として何も知らないとちょっと恥ずかしい)という古典作品の性質を活かした万人向けのものでした。
 個人的な話ですが、ご当地ネタ、特に埼玉ネタが大好物のわたしはこの1本目が一番好きです。 同音異語の言葉遊びも大大大好物なのでずっと楽しかった! 魏・呉・蜀をGiGOと誤植で料理したことに大喜びしました。鮨はシンプルに鮨と言ったのだと思いますが、一応それぞれ「す(たぶん酢)」と「し(おそらく詩か死)」に無理矢理分けることも出来るので、それをネタとシャリで拾ったのもおしゃれ。

 YouTubeのフェイクドキュメンタリーコントの時から、しょりすべのコントは言語化の丁寧さ(執拗さと言ってもいいかも)がひたすらに気持ちいいと思っていました。ボケ役が妙なことを言い出したときや登場人物同士の会話が噛み合ってないとき、どうして妙なのか、感覚がどの方向にズレているのかを、何通りかの表現方法で "おさえなおして” くれるところがめちゃくちゃ好きです。感覚としては把握しているけれどわざわざ発語するほどでもないことを「それ~!」という日本語表現で言い当ててくれる気持ちよさがある。これが蓮見コントの特徴なのかな??
 11月13日深夜のラジオで歓声封じを解説してくれた際にも「最初電話して喋っててよ。佐藤勝利が喋ってたらキャーって言えないじゃん台詞聞かなきゃいけないから」と話されていて、この場合「佐藤勝利が喋ってたらキャーって言えないじゃん」だけでも意図は伝わるはずなのですが、蓮見さんは殆どのケースで「台詞聞かなきゃいけないから」の部分を言語化して説明してくれている気がします。とても気持ちがいい。好きです。
(ツッコミってそもそもそういうものだという気も少ししています。すみませんお笑い初心者で……。)

 コントの「フリ」と「オチ」が初心者にも分かりやすいよう構成されていて、埼玉のイオンモールがとんでもない存在感をもって記憶に刻まれることになります。コント間でキャラクターの引継ぎこそされていませんが、佐藤さんが演じる役は終始イオンモールを知らない設定で統一されていて、『佐藤勝利の姿をしている人間はイオンモール知らなさそう』という意味分からんオタクの(わたしの)期待をずっと裏切らずにいてくれます。感謝。

 11/12夜公演で、先輩が本を取り返したはずみに倒れた孫権(タンブラー)をそっと直す佐藤さんが好きでした。シャバい見方してごめんなさい。オタクは急には変われないんですよだってこだわりが強くてオタクになってんだから(蓮見節風)。
 会場観劇と配信のギャップが最も少ないコントだったような気がします。表情の細かい演技も観られるので、配信の方が後輩の奇妙さが際立ってたかもしれないまである。パッとライトがついて、明らかにコントな舞台セットに佐藤勝利がいる、というあの面白さは会場の空気ならではかもしれません。

幕間:オープニング映像

 サブカル濃縮還元動画で最高でした。風磨くんのフリー素材っぷりが際立ちましたね。「来てくれなかったら許ない!」(※許さないに直されてる笑)で勝手に滑らされてた一枚だけではなく、かわいいアイドルポーズの新規絵まで追加されてたのが良かったです。
 コントライブに対して絶対に抱いてはいけない感情だと思ったので黙っていましたが、テーマソングの「生活に隙間を空ければ笑いが混ざり込むはず」という歌詞でずっと泣きそうでした。なんだその光の歌詞は……。

【2本目】注文の多い香水客

 蓮見さんのキャラクターについてはある程度予習が出来ていたものの、男性ブランコさんはお恥ずかしながら不勉強で、YouTubeのフェイクドキュメンタリー第三話の情報しかなく、どのようなキャラクターなのか掴みきれていませんでした。
 ただ、キャラクターイメージが(佐藤さんのオタクの中では)確立しているであろう聡ちゃんと光石さんを、フェイクドキュメンタリー第五話と第七話にそれぞれ組み込むことで、脚本担当が当て書きの神だという知識は獲得済です。本当にすごいですよね聡ちゃんの解像度……ライブで一回挨拶しただけってガチ? 聡ちゃんが出てるバラエティとか特典とかさすがに見て勉強してない??
 蓮見さんが当て書きの神だという基礎知識を持って挑むと、浦井さんは家庭的で癒やし系、平井さんは変な人だけど空気が読める良い人、みたいな輪郭が浮かんできます。浮かんできます、とか偉そうなこと言っといて全然違ったらすみません。でも浦井さんは好きな言葉でアロマジュエルとボールドとルンバ挙げてらしたから絶対そうだと思う。平井さんはほスイーツを生み出した人だから絶対にそう。絶対とか言っていますが違っていたら本当にすみません。

 香水のコントは初日、12夜、そして配信での変化が最も顕著でした。
 初日は目隠しを外した平井さん(平井さんではない)が佐藤さん(佐藤さんではない)を見て「あっ かっこいい……」とつぶやいていたのですが、12夜は「あっ 男性……」に変わっており、佐藤さんの容姿に関する具体的な言及は全体を通して一切なくなりました。
 そして配信では「目がくりくり」として復活していました。対し「ゆみこさんどういう男性がタイプなんでしょうか」からのやり取りはどの回でも共通していたので、初日は客席がアイドルじみていた場合(佐藤勝利の登場でキャーッと歓声をあげたり拍手したりする客層だった場合)に備えた、笑いの感度が通常とは著しく異なっていたときのための保険だったのかなと想像してます。
 想定よりも客席がキラキラではなかったため、2日目はビジュアルネタを封印してやってみたものの、”目隠しを外したら目の前に佐藤勝利の顔面があった時に出る反応” として自然なのは「男性」よりも「目がくりくり」であるという結論に至ったのではないか……勝手に言ってるだけですけど……。アイドル用コント封印の流れすら突き破る ”佐藤勝利さんの造形のかわいさ” に感動しています。全部勝手に言ってるだけですけど!

 平井さん(平井さんではない)が元カノの匂いソムリエをしているターン、初日はやりとりがそこそこ長かったのですが(言葉遊びいっぱいあって好きでした)、12夜はテンポ良くスッキリと短縮され、そして配信はちょうどいい塩梅で落ち着いていて感動しました。最初から面白いのにどんどん面白くなってくのはまさしくプロの技ですよね。もちろん変更後がより優れたテンポ感なのですが、でも形容詞の枕詞シリーズ本当に良かったんです……「ちゃんちゃら……」「その後は『おかしい』しか続かないでしょう」みたいなやりとり大すき……。

 1本目に比べて動きの面白さ、視覚的な面白さを堪能できてコントの幅にひたすら感嘆します。そもそもあの量の瓶がズラッと並んでるだけでちょっとクスッとしますよね。香水屋さんをお笑い的に誇張表現するとああなるんだ……それを「瓶が多め」で済ますの大味で勇気ある。暴れるときに佐藤さん(佐藤さんではない)じゃなくて大量の瓶に向かうのもいい……。
 会場観劇だと細かい音まで距離感込みで拾えるのが醍醐味ですね! 香水の瓶がジャラジャラ言ってるのとか、みんなドタドタ足音出して移動してるのがコミカルでよかった。浦井さん(浦井さんではない)がキリっとパリッとした高級店の店員さん然とされているのに、バタバタ歩いてるのスーパーキュートでした。

幕間:お誕生日ドッキリ

 蓮見さんによる佐藤勝利さんのモノマネが "ありそう" 過ぎて初日は拍手が起こっていました。喋り方も似てましたね。彼の観察力メーターカンストしてそう。
 「10月30日は……」の段階でお誕生日サプライズを察した佐藤さんがニッコリ笑うのがかわいいです。これはかわいいと言うのを許してくれ。全体的にコントではかわいい抑圧のプレッシャーを感じていますが、我慢できないかわいいを差し込んでくるの鬼の所業だと思います(13日深夜のラジオでかわいいはOKされてたので我慢しなくてもよかったのかもしれません)。指についたクリームをペロペロなめてんのなんかカットするか隠してほしかったですよかわいいを禁止するんなら。
 初日も12夜も「柚子胡椒 敗北」は『ほスイーツ』以上にすべっていたのですが(すみません)、配信ではややウケ柚子胡椒しててよかったです。

【3本目】学生演劇J.P.

 佐藤さん(佐藤さんではない)が中腰で、蓮見さん(蓮見さんではない)がパイプ椅子に座ってる時点でもうビジュアルが変すぎる。2本目よりも更に視覚的な面白さを強調したコントです。後半パントマイムの答え合わせパートでは蓮見さん(蓮見さんではない)による怒涛のツッコミにひたすら圧倒されます。

 道具なしパントマイムの時は、3人それぞれ何をしているのかがめちゃくちゃ分かりにくいのですが、強盗の演技そのものは上手です。それなのに物理的に道具が出現した途端、キャラがブレブレになり「物に頼っちゃってる」を体現しだすの最高でした。何で急にそんな芝居下手になるの……。
 このコントは初日から配信に至る過程で変更が少なかったものの一つかなと思います(他に少ないなと感じたのは1本目)。細かな言い回しの変化はあるものの、蓮見さん(蓮見さんではない)のツッコミ対応力があまりにも素晴らしいので、流れは一定のままずっと安定していた印象です。偉そうにすみません。

 回を重ねる毎に輝きを増していくボケの数々が素晴らしい。エアソファーの背もたれに座るシーンや、扇風機を置く位置や、ティラノ登場からのジュラシックポリスはどんどんエスカレート(褒めてる)していました。
 『ジュラシックポリスⅡ』面白かったね……。ターミネーターはⅡの方が面白いのでジュラシックポリスもワンチャンあると思います。当然のように配信時のジュラシックポリス芸が一番好きですが、初日の「それはジュラシック警察ですそれは」「それはジュラシックポリス」等々、ひたすら「それは」の言い方で押し切ってたところもシュールで良かった。蓮見さん(蓮見さんではない)のツッコミに呼応するようにどんどん膨らんでいくボケが気持ちいいです。御三方とも生き生きしてて幸せ!

 バランスボールを両手に抱えてトコトコ登場する佐藤さん(佐藤さんではない)があまりにかわいすぎて、せっかくかわいいを封印して見ているのに、かわいいの「kッ」まで出かけました。多分みんな同じ気持ちだと思ってます。絵本みたいなシルエットだったもんね、仕方ないよね。

 会場だと小道具の細かいディティールまで視力が追いつかないので(顕著なのは宝の地図)これは配信がめちゃくちゃありがたかったです。まさかあんなアドベンチャー地図の中心に真四角のビルが建ってるとは思わず……!
 でも、配信カメラに抜かれてないパントマイムの動きや、道具なしのコントを見てる蓮見さん(蓮見さんではない)の態度が最高だったので会場観劇の良さもすごい……白T3人がマスコットみたいにぴょこぴょこ動いてるのを遠景で見るのもかわいかったです。ラストなんてほぼミニオンズです。結論どっちもめちゃくちゃ楽しめます。

幕間:サウナ我慢対決

 これはね、悪いよ。この幕間VTR誰が考えて誰が企画して誰が編集したのか知りませんけど、かわいいって言うなとかキャーって言うなとかうちわ双眼鏡禁止とかアイドル的な楽しみ方を禁止しておいてこれはないです(文句じゃないよ)。ねえもう分かってやってるんでしょだって。蓮見さんだって絶対かわいいと思ってるでしょ(橋本さんは絶対かわいいと思ってる)思ってないと出てこないよあんなコメント。なにこれ?? こんな、こんな……佐藤勝利さんのかわいいの結晶みたいなのぶつけられて冷静でいられるわけあるかい。会場の勝利担みんな本当に偉かったと思うよ。お疲れ様でした。

【4本目】妖怪コーヒー牛乳

 2本目と同じくらい回ごとの変化が分かりやすかったです! 初日からもちろん面白かったんですけど、見れば見るほど好きになったコントでした。
 まずグッズでスパポーチを出して、幕間にサウナ対決をして、次のコントで温泉旅館ネタをやるというのがいいですよね。コントと幕間繋げたりしないって言ってたのに。蓮見さんの「○○しない」が今のところ全部ツンデレなんですがこれで正解でしょうか? コントの面白さに影響が少ないであろうカテコ挨拶の時だけでもミニうちわ出すべきでした?? 押すな押すなみたいな高度なフリが分からなくて……。

 初日は「ヤバい人とかじゃなくて良かったです」という言葉に、佐藤さん(佐藤さんではない)が「ヤバいかもしれませんよ」と凄むみたいなヤバムーブがあったのですが、12夜も配信でも消えていました。イケメンネタと同様のサービス台詞だったのかもしれません。シンプルに佐藤さん(佐藤さんではない)がヤバかろうがヤバくなかろうが、この後の展開にはあまり関係ないのでカットされただけかもしれません。全部勝手に言ってるだけです。
 平井さん(平井さんではない)が話すダメ彼氏エピソードの中に、初日は「顔だけ良くて〜」という悪口も含まれていました。佐藤勝利さんが顔だけの男を演じてる姿が大好き民としては大喜びしましたが、まあ彼女発信の「顔がいい」なんて、お母さんが言う「お年玉預かっておくから」くらい信用ならないですからね。全体を通してなんとなく全部浦井さん(浦井さんではない)の悪口だった、というところも面白さのひとつだと思うので、台詞カットは当然のような気もします。

 平井さんの女装が自然すぎて何も違和感を覚えませんでしたが、平井さん(平井さんではない)めちゃくちゃ変な女だったな……。あのコーヒー牛乳の怪異みたいな女の続編コント見たいです。セカンドライブが実現したら、ファーストでやったコントの続編とかありえるんですかね。お笑いの作法がまるで分っていないので勝手に言ってるだけです。都市伝説でありそうじゃないですかコーヒー牛乳お供えすると自分の悪口教えてくれる妖怪……。

 これは圧倒的に会場観劇の方が臨場感があったかもしれないと感じています。ずっと「ゆ」の暖簾が視界に入ってるのめっちゃ面白いんですよ……男性が女湯の前であれこれ喋ってるってだけでもうシチュエーションが面白いですからね。ちょっと下衆になりがちな場面なのに全員ジェントルだからそのギャップも面白い。女湯に迎えに行けと言う佐藤さん(佐藤さんではない)だけちょっと怪しいですけど。
 今これ俺の話? 俺じゃない! やっぱ俺? のガチャガチャが視覚的にぐるぐるしてるのも面白いです。フルーツバスケットするのは1回だけですが、温泉出てきて直、という舞台背景がじんわり面白いので全景も欲しかった!

幕間:研ちゃん(光石さん)と漫才

 劇中劇(?)の漫才が本当におもしろくないので、ここまで万人を笑わせないのは逆に難しいんじゃないかとすら思います。素人がイメージする素人の書いた漫才そのまんま。
 光石さんがアウトレイジになって罵倒したとき、大きい声にびっくりして小動物みたいに驚いてた佐藤さんがね、かわいかったですね。もういいだろ幕間は許してくれよ。無理だよあんなの見せられて。
 デュオリンゴって電車とかで流れてる語学アプリCMのこと……? 元ネタが分かんなかったんですよここ。まだまだ人生を豊かにする余地があるということですね。

【5本目】本当の金持ち

 コントも幕間も全部面白かったんですが、観劇後の爽快感という意味ではやはり締めのコントの役割が大きいと思ってます。

 一本目で登場した『埼玉のイオンモール』『GiGO』が回収されるのはもちろん(埼玉は埼玉でも春日部というのがよりおもろい)(本当にごめんなさい)、しょりすべを追っていると手に入る "14歳からアイドル活動をしていて一般人の日常生活や習慣にあまり触れてこなかった佐藤勝利さんと「殿を街へ連れ出してる」感覚で一緒に過ごしている蓮見さん" という情報がめちゃくちゃ活きてきます。これ蓮見さんが佐藤さんに思ってることの概念コントじゃん? リアルな『ローマの休日』と『アラジン』を見せつけられてるわけじゃん?? なにこれアイドル佐藤勝利との出逢いを描いたイソップ寓話????
 それを「エモ」でオチつけるのどうなのよそれは。今まで散々 ”感覚的な感情を言語にする” ことに徹してきたのにエモは言語化したくないんだ……。点と点が線でつながる気持ちよさをこれでもかと体験出来るラストコント、是非YouTubeや各ラジオ、雑誌のインタビューを読んでからもう一度お楽しみください!!

 コント本編の話で言うと区民税のくだりが大好きです。初日はそこまで詳しい情景描写はされていなかったのですが(一括払いの用紙を他より多めに破ったくらい)、12夜はより封筒が派手でカラフルになること、黄色を無視しても大丈夫なこと、月に届くくらい折ること(紙を42回折ると44万kmになり地球から月に到達するというアレ)が追加され、配信では冠位十二階の色の制度が導入されました。
 そもそも春日部のイオンモールでフードコートを利用している蓮見さん(蓮見さんではない)が、区民税を支払っているということがめちゃくちゃツボってしまいました。もう埼玉住めばいいじゃん。本当の金持ちが佐賀県の山奥に住んでいて、貧乏(こころぐるしい)が東京23区の雑居ビルに住んでるという対比がいいんでしょうね。そして二人が出会うのがお互いのエリアから離れた春日部だと。

 佐賀の山奥の豪邸で採用している自家発電方法が風力というのがファンタジーでロマンある。この時代、太陽光による自家発電は本当の金持ちじゃなくても実現出来そうなので風力の採用なんだと思いますが、佐藤勝利さんご本人のイメージにも合致してて坊っちゃんの想像がしやすい。太陽光より風力が似合いますよね佐藤勝利さんって。
 パーカーのじいや登場で手を叩いて喜んだのですが、浦井さんってめちゃくちゃじいや顔というか執事顔されていませんか……本当にごめんて……お声も品のあるバリトンで「坊ちゃん」が世界一似合う……穏やかそうで家庭的で上品……オタクがイメージする絵にかいたようなじいや……!(30代の芸人さんに向かって本当にすみません)

エンディング

 面白過ぎて物議を醸した聡ちゃんの「現金かキャッシュレス使えますか?」、アドリブの可能性が急上昇して動揺しています。確かにあの時の蓮見さん、自分で書いたネタの割にはめちゃくちゃ笑ってるなと思っていたのですがそんなまさか。
 キャッシュレスがクレジットカードの間違いなのだとしたら、別に面白い必要のない導入のやり取りにとんでもない爆弾を放り込んだことになります。佐藤さんよくあの速度で笑わずツッコミ出来たな……。エンディングで流れたのは不採用テイクでしたが、本編にキャッシュレス残してくださってよかった!

おわりに

 伏線回収と同じくらい敬語や丁寧語が大好きです。コント5本ともすべて敬語が登場し、うち4本は敬語メインのコントであったことに多大な喜びを感じています。蓮見さん本当にありがとう。

 スパポーチといえば、ヒノキの香りのするあのお店(無印良品)に同名の商品があります。むしろそれ以外ではサウナバッグとかスパバッグの名称でしか見たことがありませんでした。ですからつい無印のスパポーチを想像してしまい、予想より大きかったと驚いてしまいましたが、いやはや使い勝手最高のサイズで佐藤勝利さんの先見性に関心するばかりです。ありがとう大きいスパポーチ。

 グラタングミ発表での大すべり最高でしたね。個人的には濁点いっぱい入っててお気に入りです! いつか本当にグッズとして半分ワニに喰われたアクスタと身体に良いグミが出ますように!! グラタングミさんと佐藤勝利さんの、今後のさらなるご活躍を切にお祈り申し上げます。

 楽しかった!!!!!!!!!!!!!!!!