【Oral care-1】口腔内の健康状態が悪く、ビタミンDが不足している妊婦は早産(PTB)と低出生体重児(LBW)の割合が多い
これまで数多くのプロユースサプリメントを開発し、現在もお医者様や企業様に対し、商品企画・開発から製造、販売にいたるまでサポートさせていただいておりますが、本当に役立つ信頼性の高いサプリメントや機能性食品を提供するためには、これまでの経験やノウハウはもちろん、論文をはじめとしたエビデンス情報も重要になってきます。
そこで私たちは独自の視点で、栄養と疾患に関する世界中の論文をほぼ毎日検索し、オリジナルデータベースを構築しています。
また、そのなかのほんの一部の選りすぐった論文をピックアップしてサイトにアップしています。
これまで毎週金曜日にその週にピックアップした論文をご紹介してきましたが、特に歯周病に関連したものを個別にご紹介したいと思っています。
歯周病は国民の8割が罹患しているといわれていますが、実際は、平成28年 歯科疾患実態調査結果の概要(P22参照)における歯周ポケット(4mm以上)保有者の割合でみると、2016年の結果では25~34歳で32.4%、45~54歳 で49.5%、65~74歳で 57.5%となっており、8割とはいかないまでも、およそ半数の人は歯周病と言えます。またこの比率は年々増加傾向を示しています。
更に歯周病は、口腔内に留まらず全身に影響を及ぼすといわれており、例えば脳卒中、アルツハイマー病、冠動脈疾患、メタボリックシンドローム、関節リウマチ、さらには低体重児や早産にも関わっているといわれています。
近年、歯周病とこれらの疾患との関連性に関する論文がたくさん発表されており、その作用機序もすこしずつ明らかになってきています。
そこで、改めて歯周病とその他の疾患がどのようにかかわっているかをご紹介し、お役立ていただければと思っております。
今回は、「Periodontal Disease and Vitamin D Deficiency in Pregnant Women: Which Correlation with Preterm and Low-Weight Birth?」というタイトルの論文をご紹介いたします。
▶論文情報
J. Clin. Med. 2021, 10(19), 4578
発行日:2021年10月 2日
▶概要
妊娠20週以上の72名(平均年齢29.91±3.64歳)の妊婦のコホートにおいて、歯周病と低ビタミンD血清レベル、早産(PTB)および低出生体重児(LBW)との関係を調べることを目的とした。
ビタミンD欠乏症((25-ヒドロキシ-ビタミンD)<30ng/mL)の妊婦とPTB+LBWの新生児は、いずれも妊娠中のすべての口腔健康状態指標のレベルが低いことと有意に相関していた(p<0.05)。
さらに、血清ビタミンD値が低い女性とPTBとLBWの組み合わせは、有意な相関関係があることが示された(p < 0.001)。
つまり、口腔内の健康状態が悪く、ビタミンDが不足している妊婦は早産(PTB)と低出生体重児(LBW)の割合が多い、という結果であったと言えます。
では、妊娠中に歯周病の治療を行えばPTBやLBWのリスクが避けられるのか、という疑問が出てきますが、これについては次回お伝えしたいと思います。
◆あとがき
歯周病がこんなところにも関係しているのか、という報告がたくさん出てきています。そういった情報をすこしずつですがお伝えし、早めに歯周病治療をはじめていただくきっかけにしていただき、様々な病気の予防になればと思います。