心血管系疾患のリスク上昇に関連するニュートリスコアの低い食品
ニュートリスコアの低い食品を多数摂取する欧州人は、そうでない人に比べて、心血管系疾患のリスクが高まるようだ、という研究報告。
2017年にフランスで正式に採用された(その後欧州6か国で採用)ニュートリスコア(Nutri-Score)は、食品や飲料の栄養価に関する情報を迅速に提供し、消費者が食品や飲料を比較して、より栄養価の高いものを選択できるように支援することを目的としている。同時に、メーカーが製品の栄養価を向上させることを奨励している。
国際科学誌に掲載された多数の研究(140 件を超える)により、食品の栄養価を特徴付ける ニュートリスコアの有効性と、消費者をより栄養価の高い選択に導くその有効性が示されている。特に、好ましくないニュートリスコア (栄養価が低い) の食品の摂取と心血管疾患のリスク増加との関連は、これまでにフランスの研究で報告されており、さまざまな慢性疾患のリスク増加や死亡率の上昇との同様の関連がフランス、英国、スペイン、イタリアの研究で報告されている。
今回の研究では、研究者らは、欧州7か国にまたがる大規模な集団における心血管疾患のリスクに関連するニュートリスコアアルゴリズムの最新バージョン(2024年に更新)に焦点を当て、欧州規模でニュートリスコアを検証するための新しい科学的証拠を提供することを目指した。これは、2018年と2020年に同じ対象集団で発表されたがんリスクと死亡率に関する2つの研究に続くものである。
EPIC(欧州がん・栄養前向き調査)コホートから合計345,533人の参加者が分析に含まれた。追跡期間中(1992年から2010年の12年間)、16,214人の参加者が心血管疾患を発症した(そのうち6,565人が心筋梗塞、6,245人が脳卒中)。調査結果によると、栄養価が低いことを表す、好ましくないニュートリスコアの食品を平均して多く摂取する参加者は、心血管疾患、特に心筋梗塞と脳卒中のリスクが高かったことが明らかになった。これらの関連性は、多数の社会人口統計学的要因とライフスタイル要因を考慮に入れた後でも有意であった。
「これらの調査結果は、慢性疾患の予防を目的とした消費者の食品選択を導く公衆衛生ツールとしてのニュートリスコアの妥当性を裏付けるものです」と研究者はコメントしている。
出典は『The Lancet』
http://dx.doi.org/10.1016/j.lanepe.2024.101006