派遣会社に複数登録はできるの?! 複数登録のメリット・デメリット、注意点もふまえて解説!!
いくつもの派遣会社に同時に複数登録はできるのでしょうか?!
沢山ある仕事の中から、「一番自分に合っている仕事を探したい!」、「直ぐに仕事に就きたい!」、「一つの会社で長く働きたくない!」、など様々な希望があるかと思います
私が担当をしていたときにも、一人で10社以上の派遣会社に登録をしている人もいました
この記事を読むことで、派遣会社に複数登録する際のメリット・デメリット、管理の仕方、注意すべきポイントをしっかりと理解することができます
それでは詳しく解説していきます
この記事で分かること
・派遣会社の【複数登録】はできるの?!
・【複数登録】のメリット・デメリット
・【複数登録】の保険手続き、確定申告の方法
・収入UP!【複数登録】の効率的な組み合わせ方法
派遣会社に複数登録することはできるの?!
私が派遣担当者をしている頃、派遣登録に来る方に、「派遣会社のかけもち(複数登録)はできますか?!」と良く聞かれたものです
派遣会社に複数登録しても良いのでしょうか?!
複数登録してもOK!!
結論。。。派遣会社に複数登録しても何ら問題はありません
実は派遣で仕事をしている大半の人が複数登録をしている事実があります
もちろん、派遣会社の複数登録を禁止する法律やルールはありません
派遣の登録自体は、登録した時点では派遣会社と雇用契約は結ばれていませんので、何の拘束力も制限も働きません
派遣の仕事の仕組みは、派遣会社から派遣先(職場)を紹介してもらい、採用が決まった時点で派遣会社と雇用契約を締結します
※派遣のシステムの仕組みはこちらの記事で詳しく解説しています
更に、複数の会社で雇用契約を締結することも可能(ダブルワーク等)ですので、派遣会社の複数登録は何ら問題はありません
派遣会社も複数登録は理解している
派遣会社も「登録に来る方が、他の派遣会社に登録をしている」ことを良く理解しています
登録者の履歴書には、派遣会社で働いた経歴が記載してあることが良くあります
派遣の登録面接では、派遣担当者から「現在もお仕事のご紹介はありますか?!」、「職場見学、顔合わせの予定はありますか?!」などと聞かれるケースがあるかと思います
「現在も他の派遣会社の登録が継続しているか」の確認です
聞かれたら隠すことなく、正直に伝えて問題はありません
逆に、隠していると後々やっかいなこと(デメリット)になる可能性もありますので、正直に伝えましょう ※紹介先のダブルブッキングなど
実際に私が派遣担当者として勤務していた当時、10社以上の登録が継続している方もいました
※派遣会社の履歴書の書き方はこちらの記事で解説しています
2社以上、複数登録している人が多い、登録のみも可能
実際のところ、2社以上登録をしている方は非常に多いです
派遣で仕事を初めてする方を除いて、1回でも派遣を経験したことのある方は、複数登録をしている方が多いです
万が一に備えて「念のため、登録のみしておく」なんて方もいます
離職してしまった時の為に備えて、予め登録をしておきたい、という方ですね
※派遣会社の事前登録はこちらの記事で詳しく解説しています
派遣会社に複数登録するメリット 7選
それでは、派遣会社に複数登録するメリットを見ていきましょう
①仕事を選べる選択肢が増え、直ぐに仕事ができる
様々な派遣会社に登録することで、選択できる仕事の幅は広がります
同じエリアの派遣会社によっても、派遣会社が持っている仕事情報はそれぞれ違うからです
1つの派遣会社がもっている仕事情報の数には限りがあります
複数登録していれば、その数だけ紹介される仕事数も増え、選択できる幅も広がります
派遣会社によっても特性、得意分野が異なることから、自分の探している業種、職種を得意としている派遣会社に複数登録をした方が、より効率的に仕事を探せます
ちなみに、正社員向けの【紹介予定派遣】に特化している派遣会社もあります
また、1社で勤めて期間満了で仕事が終了してしまった時の保険としても、複数登録しておけば、次の仕事の案内を早くもらうことができます
1社目の派遣会社が必ず次の派遣先を紹介してくれる保障はないからです
複数登録しておくことで、エントリーした派遣会社の仕事案件を同時に検討することができるので、より早く次の仕事が見つかりやすいです
ちなみに、派遣会社が持っている仕事案件の中には非公開情報もあり、登録してあるからこそ見られる特権です
非公開情報も踏まえて、検討できるので仕事を探す幅はより広くなります
②自分の条件合った仕事を選択できる
上項の仕事の選択肢の幅が広がることで、その中でより自分の条件に合った仕事を選択できます
自分の条件とは、①勤務場所、②勤務時間、③希望職種、④通勤手段、などです
複数登録することでそれぞれ派遣会社の特徴からより多くの仕事情報を得て、自分の条件とマッチする案件を選択できます
仕事情報は多くあることに超したことはありません
より沢山の情報の中から、一番自分に合う仕事に出会えるよう、窓口は広げておきましょう
③より高い時給で仕事ができる
派遣会社によって、時給設定に差があります
例えば、同じ派遣先の同じ仕事を紹介された場合、A派遣会社では時給1100円、B派遣会社では時給1200円、なんてことは良くある話です
【同一労働同一賃金】制度の仕組みの中でも、派遣会社により、採用方式、評価制度が異なるため、同じ仕事であったとしても、待遇は異なります
上記のケースで言えば、B派遣会社を選択した方が、良い待遇で対応してもらえます
こうした複数登録において、派遣会社の時給相場が比較できるのも大きなメリットです
④仕事のかけもちができる
複数登録する上において、「仕事のかけもち」は非常に大きなメリットになります
1つの派遣会社で仕事をする場合、労働基準法上、36協定の中において、仕事ができる上限時間の制限がかかります
例えば、(月45時間、年360時間)のような協定が締結されていたとすると、一つの派遣会社内においては、時間外労働は月45時間までの制限がかかります
フルタイムの仕事で時間外労働が発生した場合、もう一つの仕事で可能な労働時間に制約がかかってしまいます
上の例で言えば、フルタイムの仕事で、月30時間時間外が発生すれば、もう一つの仕事は15時間しかできない(30H+15H=45H)、ということですね
しかし、派遣会社が異なれば、それぞれの派遣会社の36協定が適用されますので、一つの仕事がもう一つの仕事の時間に与える影響はない、ということですね
だからといって、寝る間を惜しんでまで、かけもち仕事をやり続けるのは、身体的にも精神的にも負担がかなりかかりますので、スケジュールバランスはしっかりと自己管理をして、身体を壊さないようにしましょう
※派遣社員の残業時間/残業手当についてはこちらで詳しく解説しています
派遣の仕事の場合、単発、短期(30日以内)案件については一定の条件が必要になります
⑤各々派遣会社の教育訓練、福利厚生が受けられる
派遣会社を複数登録することで、それぞれの派遣会社の教育訓練制度、福利厚生が受けられます
このメリット享受はとても大きいもので、意外と意識できていない方が多いかと思います
昨今、労働者のキャリアアップの観点から、派遣会社に課せられている「教育訓練」「キャリアコンサルティング」制度が義務付けとなっています
派遣会社も差別化の一つとして、この教育訓練をアピール要素として謳っている派遣会社も多いです
複数登録しておくことで、登録だけでも無料で受講できる派遣会社もあります
また、福利厚生も派遣会社によって異なります
※英会話、ビジネスマナーやパソコンスキル研修など
こちらも差別化戦略の一つとして、派遣会社が力を入れているところでもあります
自分が受けたいと思う福利厚生を選択できるのも、複数登録ならではのメリットです
⑥派遣担当者からそれぞれアドバイスしてもらえる
複数登録しておくことで、それぞれの派遣担当者からアドバイスをもらうこともできます
仕事の悩みは尽きないものです
プロの相談役が複数人いるのは、大変メリットになります
派遣担当者も一人ですと、自分との相性の問題もあります
複数登録しておくことで、自分に相性の良い担当者に出会える可能性が高まります
就業中の相談はもちろん、今後のキャリア相談についても、複数の派遣担当者からアドバイスをもらえることは非常に大きなメリットになります
⑦有給がそれぞれの会社で付与される ※複数登録でかけもちの場合
これは「複数登録かつ、複数の派遣会社においてダブルワークをしている」場合です
例えば、2つの派遣会社でダブルワークをしている場合、1社の有給付与日に10日間の有給が発生して、もう1社の派遣会社で5日間の有給が発生した場合、合計15日の有給を取得できることになります
これは、1社のみで、ダブルワークしている場合ではなりません
複数登録で、それぞれの派遣会社に籍を持っているからこそのメリットです
派遣会社に複数登録するデメリット 3選
それでは、次に派遣会社に複数登録するデメリットを見ていきましょう
①それぞれの派遣会社からの連絡が頻繁にある
派遣会社も登録者になんとかしてウチの派遣会社で働いてもらおうと必死です
コーディネーターから登録者にむけ、電話やメールなどで仕事情報を送るのが重要な仕事になっています
現在、仕事をしていても、「○○市で、高時給△△円のお仕事が出てきたのですがいかがですか?!」などと口説いてきます
複数登録した数に比例してその連絡も多くなります
でもこれは仕方ないことですね
しかし、頻繁に電話やメールが大量に届くことで、次第に煩わしさを感じるようになることもあります
もしも、仕事が決まり、仕事情報が必要ないときは、
「○○迄の期間で、△△の仕事が決まったので、お仕事情報は一旦ストップでお願いします」と伝えましょう
もちろん、仕事情報の再開の目処が立っている場合は、「■■から仕事をしたいので、またその時にご案内が欲しいです」と予め伝えておきましょう
また、複数登録しすぎると自分がどこの派遣会社にいつ応募して、現状どうなっているか、など分からなくなってしまうケースもあります
現に、私も良く複数登録している登録者から「今、●●の仕事、募集していますよね?!」などと聞かれて、「●●はウチではありません、△△派遣会社ではないですか?!」などと対応したケースは山ほどありました
登録者も自分がどこの派遣会社で、何の仕事を見ていたのか、完全に忘れてしまっているケースがあります
そういう意味でも、自分の管理できる範囲内で、派遣会社の登録は少しずつ増やしていきましょう
②スケジュール管理が大変
登録した派遣会社の数に比例して、そのスケジュール管理の数も増えていきます
私が当時、担当した10社以上登録している人は、自分がどこの派遣会社にいつ登録して、何の仕事を紹介してもらったか、ごちゃごちゃになってしまっている人がいました
自分でも登録していくうちに、頭の中が整理できない状態になってしまったんですね
・どこの派遣会社の何の案件に登録したのか、忘れてしまった
・案件に応募したのか、保留にしておいたのか、分からなくなってしまった
・【登録面接日】【職場見学、顔合わせ】の日程が重なって予約してしまった
・派遣会社の登録ID、パスワードがごちゃごちゃになってしまった
・採否の結果日と【職場見学、顔合わせ】の日程が重なり、どちらを優先しようか困った
上記のように、スケジュール管理の大変さも、複数登録のデメリットの一つです
自分の中で混乱しないように、頭の中だけに入れておくのではなく、日程は具体的にしっかりとスケジュール帳に書き込み、アカウント情報ももれなく整理し、きちんと管理する必要があります
また、スケジュール管理ができないと、派遣担当者に別の派遣会社の案件と間違えたなどと言って、「この人は仕事においても不安だな。。。」と思われてしまったら、仕事を紹介してもらえない可能性があるので注意しましょう
③紹介先企業が被ってしまう
これも良くあるケースの一つです
企業はより自社に適切な人材を紹介してもらおうと、1つの求人募集について、複数の派遣会社に声をかけています
同じエリアの派遣会社へ複数登録すると、登録したそれぞれの派遣会社から同じ仕事案件を紹介されるケースがあります
A派遣会社からCの仕事を紹介され、B派遣会社からもCの仕事を紹介されるケースです
会社名、所属部署、仕事内容は同じ、しかし、時給が違う。。。
なんてことはよくあります
【職場見学、顔合わせ】の日程を組む前であれば、両者を比較して、時給で選んでも良いでしょう
しかし、一方の【職場見学、顔合わせ】の日程が決まってから、もう一社の時給が良かったから前者を断って、後者の派遣会社から【職場見学、顔合わせ】をお願いする。。。
これはマナー違反です
既に、日程が決まった時点で、派遣先には情報(個人情報ではないがスキルシート)が伝えてある可能性があります
その内容(経歴、年齢、資格、等)で特定されてしまう可能性があります
その場合、派遣先からは、「この人はお金で決める人だな、少し警戒しよう。。。」などと勘ぐられてしまうのは本望ではありません
これを回避するために、複数登録して、ある程度仕事の情報が出そろったところで検討し、被っている案件はないか確認し、その後に【職場見学、顔合わせ】のスケジュールを立てるようにしましょう
極力、登録面接の日程感は、短期間で行い、そこで仕事情報を全て確認できる日程調整ができればベストです
それぞれの日程感が空いてしまうと、派遣会社に「待って、待って!」と伝えざるを得ない状況にもなりかねず、他に候補者がいればそちらの方が優先になってしまうケースもあります
※【職場見学、顔合わせ】についてはこちらで詳しく解説しています
紹介された『会社名』と『部署』だけ確認して「全く同じ仕事」だと判断しないようにしましょう
同じ会社、同じ部署でも仕事内容が異なることもあるので、派遣担当者からしっかり詳細を聞きましょう
※企業は仕事の内容毎に依頼する派遣会社を選択していることもあります
(派遣会社の得手不得手を理解して派遣会社を選定)
雇用保険、社会保険、年末調整、確定申告手続き
雇用保険について
まず雇用保険の加入条件ですが、以下の2つの条件を同時に満たす必要があります
31日以上の雇用見込みがある
週の労働時間が20時間以上ある
それでは、複数登録し、それぞれの派遣会社の仕事で上記条件を満たしていた場合は、どうなるのでしょう?!
答えは、給料が最も多い事業主のもとで雇用保険に加入することになります
例えば、3社かけもちをしていて、Aで10万円、Bで7万円、Cで12万円の給料があれば、Cで雇用保険を加入する、ということですね
雇用保険は決して被っては入れない仕組みとなります
※間違って、Bで保険加入の申請を提出しても窓口で弾かれてしまいます
社会保険について
まず、社会保険の加入条件ですが、2つの条件を同時に満たす必要があります
2ヶ月を超える雇用契約がある
週の所定労働時間、および月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
上記条件を満たしている場合は、社会保険に加入する義務があります
それでは、複数登録し、それぞれの派遣会社の仕事で上記条件を満たしていた場合は、どうなるのでしょう?!
答えは、それぞれの派遣会社で加入する、です
雇用保険と違い、社会保険はダブルで加入しなければなりません
この場合の保険料負担額は、両社の収入額をあわせた金額で保険料が決定されます
それぞれの月額給与の合計額に保険料率がかけられ、その保険料率がそれぞれの会社の月額給与で按分されて計算されます
例えば、A社が月額給与30万円、B社が月額給与20万円、合計月額50万円、 50万円に保険料率をかけて、保険料が5万円だった場合
■A社 30/50×5万円=3万円
■B社 20/50×5万円=2万円
上記金額がそれぞれの会社での社会保険負担額になります
雇用保険・社会保険の注意点
もちろん派遣登録しただけでは保険加入の対象となりません
実際に就業することで、加入条件を満たしたことになります
※【派遣社員の雇用保険・社会保険】についてはこちらで詳しく解説しています
年末調整、確定申告の手続き
複数登録し、1年間で複数の派遣会社で勤めた場合の年末調整、確定申告の手続きはどうしたらよいのでしょう?!
その年に働いた派遣会社からそれぞれ源泉徴収票をもらい、その年の12月時点で働いている派遣会社に、もらった源泉徴収票を提出しましょう
退職した派遣会社からは、退職した時点、もしくは毎年10月頃に派遣会社から源泉徴収票が送られてくるかと思います ※派遣会社により提出時期が異なります
12月時点でどこの派遣会社でも働いていなくて、派遣会社での年末調整を受けられない場合は、その年に働いた全ての派遣会社からの源泉徴収票を合わせて、自分で確定申告をしましょう
複数登録するおすすめ派遣会社と組み合わせ
派遣会社の組み合わせはどうするのが一番良いの?!
それでは、どの派遣会社にどういった組み合わせで複数登録するのがより効率的なのでしょう
「とりあえずどこでも、数をたくさん登録しとけばいいや」なんて考えていないでしょうか?!
それぞれの派遣会社はその特性があり、業界、職種の得意不得意があります
自分が事務職に就きたいと思っていても、製造系を得意とする派遣会社に登録しては、事務職求人数が少ないので紹介されるチャンスは見込めません
私のおすすめする複数登録の組み合わせをご紹介します
組み合わせの基本は
【地元の派遣会社】+【大手派遣会社】+【専門特化型の派遣会社】
それぞれの特徴を説明していきます
【地元の派遣会社】
地域密着で、企業からの信頼性が高い
大手派遣会社にはない求人案件をもっている
会社のレスポンスが早い(大手は比較的遅い場合がある)
通勤可能エリアの求人案件が豊富
応募率が大手よりも低い為、ライバルが少ない
大手と比較して担当者変更の頻度が低い
【大手派遣会社】
圧倒的な求人数をもっている
大手ならではの信頼性がある
コンプライアンスがしっかりしている
福利厚生が豊富
教育研修制度が充実していてキャリアアップが望める
【専門特化型の派遣会社】
専門求人案件が豊富
担当者が専門性に特化していて相談に安心
地元派遣会社、大手派遣会社では扱っていない求人がある
上記3つの派遣会社を組み合わせることで、効率よくバランスの取れた求人案件を検索することができます
それぞれの特徴のいいとこ取りができる組み合わせ方法ですね
まとめ
以上、派遣会社の複数登録を見てきましたが、いかがでしたでしょうか
派遣会社に複数登録をすることは、効率的で迅速に求職活動ができる手法の一つになります
様々な仕事に出会えるチャンスが増え、様々な経験、人脈づくりができ、派遣の仕事を通して、貴重な経験ができるでしょう
デメリットの部分をしっかりと把握し、きちんとスケジュール立てて行えば、自分のライフスタイルに合った仕事ができることは間違いないでしょう
現に派遣社員の約7割が2社以上の派遣会社に登録しているというデータもあります
派遣会社の複数登録のメリット・デメリットをしっかりと把握して、適切な数の派遣会社に登録し、満足できるワークライフになることを願っています