【派遣の3年ルール】 現行法律では廃止された?! 延長する抜け道はない?!
『派遣社員は3年しか働けないんだよね。。。』
派遣社員として働く上で、よく聞かれることの一つに、こんな言葉がありますね
「最長3年」このフレーズだけが一人歩きをしているような印象を持ちます
「3年しか(長く)働けないのであれば、派遣じゃしょうがない!」
「3年したら、切られてしまうの?!」
「この先、旦那の転勤の予定があるから3年くらいでちょうど良いわ!」
など、自身の状況により、捉え方は様々ですね!
派遣会社によっても、丁寧に説明してくれる会社とそうでない会社があるのが現実です
「派遣社員の3年」。。。
しっかり理解するのは非常に難解なので、これから丁寧に解説していきますので、順番に整理していきましょう
この記事で分かること
・派遣社員の3年とは?!
・2つの派遣抵触日
・3年以上、派遣を続ける方法
「派遣社員の最長3年」って?!
まず、大前提として、そもそも派遣の制度が日本で初めてできたとき(1985年)から派遣の働き方の考え方は、「一時的な労働力の供給」という観点から、長期的に働く制度ではない、ということ
もし、3年を超えて派遣社員を受け入れたいということは、慢性的な人手不足であり、それならば「派遣社員ではなく派遣先企業で直接雇用してほしい」、という国の意図があるということを理解しましょう
要は、派遣制度は『一時的に労働力を確保するための手段』、ということですね
その一時的、期間の目安が『3年』ということです
派遣法の制度が制定(1985年)されてから、この派遣制限期間という考え方はありました
※当初は9ヶ月
まず、ここでは派遣は一時的な働き方だから、『3年が一つの目安になっている』、ということを理解しましょう
2つの「派遣抵触日」とは?!
「派遣社員の3年」を理解する上で、必ず「抵触日」という重要なキーワードが出てきます
「抵触日」という言葉、派遣で勤めたからであれば、聞いたことがありますかね?!
勤めた経験のない方は、聞いたことがないかもしれません
「抵触日」とは「派遣期間制限が切れた日」のことを言います
例えば、2022年3月20日が抵触日であれば、2022年3月19日迄、派遣で働くことができる
※2022年3月20日は派遣社員としては働けません
派遣で勤めている方は、自身の労働契約書(就業条件明示書)の中に、「抵触日」という言葉を探してみてください
そこに日付が記載してあるかと思います
原則、その日付の前日まで、働くことができる、ということです
※これから派遣で働く方は、チェックしてみてください
2015年9月30日に施行された改正労働者派遣法により、「抵触日」について、3年という期間は変わりませんが、「事業所単位の抵触日」と「組織(個人)単位の抵触日」という2つの概念に分けられました
※それまでは、(所属グループ/業務内容)によって決められていました
どちらの抵触日も派遣期間制限は3年が限度と定められています
抵触日を迎えると、派遣先企業は派遣社員を受け入れることができなくなり、派遣社員も同一の組織で働くことができなくなります
それでは、順にみていきましょう
【事業所単位の抵触日】とは?!
例えば、A社に「東京支店」「大阪支店」「名古屋支店」の3つがあり、それぞれが雇用保険の適用事業所であれば、それぞれの支店に抵触日が設定されている、ということです
※同じ日付でもかまいません
例えば、A社の東京支店が、2022年1月5日に最初に新たな期間制限の対象となる労働者派遣を行えば、2025年1月4日迄、派遣を受け入れることができる、ということです
2022年1月5日が3年の派遣可能期間の起算日となり、2025年1月5日が派遣抵触日となります
※また、3年まで(2025年1月4日)の間に派遣労働者が交替したり、他の労働者派遣契約に基づく労働者派遣を始めた場合でも、派遣可能期間の起算日(2022年1月5日)は変わりません
よって、派遣可能期間の途中から開始した労働者派遣の期間は、原則、その派遣可能期間の終了(2025年1月4日)までとなります
また、企業側が3年を超えて派遣社員を受け入れたい場合は、労働組合などからの意見を聞く必要があります
【個人単位の抵触日】とは?!
一人の派遣社員が派遣先企業の「同じ部署」で勤務できる期間は、3年が上限となります
原則3年を超えて、勤務することはできません
ちなみに「異なる部署」であれば派遣社員として勤務することができます
組織単位(一つの組織のまとまり※班、課、部)を変えれば、同一の事業所に、引き続き同一の派遣労働者を(3年を限度として)派遣することができますが、「事業所単体の期間制限による、派遣可能期間が延長されていること」が前提となります
派遣先は同一の派遣労働者を指名するなどの特定目的行為を行ってはいけない
派遣労働者の従事する業務が変わっても、同一の組織単位内である場合は、派遣期間は通算されます
なお、下記対象においては、期間制限はありません
■無期雇用の派遣社員
■60才以上の高齢者
■有期プロジェクト業務(終わる時期が明確なもの)
■日数限定業務(派遣先の所定労働日数よりも相当程度少なく月10日以下)
■産前産後・育児・介護休業代替業務
またその他の期間制限事項として、『日雇派遣の原則禁止』があります
日雇い派遣とは、労働契約が30日以内の派遣のこと
※31日以上であれば、働くことが可能
30日以内の派遣は原則禁止!!
2012年の法改正で原則、日雇派遣は禁止
なぜ日雇い派遣が禁止になったのか?!
本来雇用者側(派遣会社)が果たすべき法的責任(保険加入、雇用契約書、等)が守られていないケースが多くあり、労働災害の発生の原因にもなっていた
※例外あり(例外業務、60歳以上、昼間学生、本人年収/世帯年収500万円以上)
■無期雇用者の場合
今までは、有期雇用者(期間の定めがある雇用契約、雇用契約書に○年○月○日~△年△月△日と記載されている)のケースをみてきました
無期雇用者(派遣社員で無期雇用者)の場合は、抵触日の概念から対象外になります
※理由は、派遣元で雇用が安定(無期雇用)しているので、3年の縛りを設ける必要性がないから
よって、3年以降も継続して同一部署にて勤務することができます
雇用契約書(就業条件明示書)にしっかりと記載されていますので、
自分が「有期」なのか、「無期」なのか、しっかりと確認しましょう
まとめ
・期間制限3年には、事業所単位と個人単位の2つの概念があり、どちらも連動させる制度になっている
・有期雇用者が対象であり、無期雇用者は対象外
・雇用契約書(就業条件明示書)内の【抵触日欄】をチェック
・自分の抵触日はいつなのか、しっかりと把握しておく必要がある