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つぁいにゃお
2021年1月21日 03:54
最初から読む翟の報告を聞き、知事は思った。「なにが病気だ! きっと翟のやつ、農村で威張り散らして、縮み上がらせたんだろう。これまで役所の人間に会ったことのない若造だから、すっかり怖くなってしまったに違いない。危先生の頼みだというのに、連れてこられなかったとなれば、私のメンツは丸つぶれだ。ここは私自ら村へ行って、相手の顔を立ててやり。困らせるつもりはないと分からせれば、自ずと肝も太くなってくる
2021年1月1日 22:23
最初から読む翟は里へすっ飛んできて、秦さんの家に着くと、王冕を呼び寄せて事の次第を話した。王冕は笑って言った。「左様でございましたか。しかしこの王冕は一介の農夫でございます。畏れ多くもお話しなどとんでもない。謹んで辞退いたしますとお伝えくださいませ。」調達役の翟は顔をこわばらせ、だんだん赤くなりながら言った「せっかく知事殿が来なさいと言っているのに断るやつがあるか! そもそも今回のことは俺
2021年1月1日 17:04
最初から読むある日、秦さんと話をしていると、外から一人の男が入ってきた。頭に三角屋根の帽子をかぶり、真っ黒な服を着ている。秦さんは出迎え、椅子を勧めた。この人は翟という人で、諸暨県役場の庶務課を仕切ったり、資材調達をしている。秦さんの息子さんが彼にお世話になっていて、ここにはよく来るらしい。秦さんは息子にお茶をお出ししなさいと声をかけ、鶏をつぶして煮物を作った。その間、王冕が翟さんの相手をする