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陰謀論ならぬ冷泉さんの「印象論」コラムがあまりにも突飛なのでファクトチェックした

冷泉彰彦(本名 前田文夫)さんがニューズウィークに書いているコラム、たまに読むけれど、今回、ジョー・バイデン大統領の就任式について書いている「印象論」があまりにもハズれてて、このままいくと陰謀論レベルだったので、ちょっとファクトチェックさせてもらうね。まずは違和感でメガテンになった冒頭の文章を引用する。

「…とにかくある一つのストーリーを気配として感じたのです。

それは、アメリカという国はその深層における国家意思として、トランプの4年間を「なかったこと」にすると同時に、ドナルド・トランプという人物と「秘密の取引」をしているという可能性です。

取引というのは、つまり彼が今後、政治的な影響力を行使しない、とりわけ極右グループと手を切るということを確約する代わりに、家族も含めて訴追をしないという密約です。弾劾決議については、下院で決議された弾劾は取り消せませんが、上院での承認はどこかの時点でウヤムヤにするか、コッソリと否決して済ますという可能性も感じます。」

そんなことねーよw ドナルド・トランプは、何がどうあっても自分の「負け」を認めることができないクズなので
・バイデン大統領の就任式に出席しない
・伝統的な行事となっている、当日ホワイトハウスでバイデン夫妻を歓迎して案内したりしない
・1月20日正午までのタイムリミットがあるので、まだ使えるうちに大統領専用機で脱出する

などは当たり前のこと。この彼の行動に不審な点はまったくない。平常運転。

「家族も含めて訴追をしない」という密約…そんなもんあるわきゃねーだろ。以下証拠。

ニューヨークのマンハッタン検察局は、トランプお抱えのマザース会計事務所から2011年から2018年までの納税記録を入手、トランプは訴訟を起こしてこれを阻止しようとしていたが、最高裁の判断を仰ぐ前に粛々と証拠書類が流出しているので、少なくとも州法のレベルで「秘密の取引」はない。ブルームバーグの記事はココ

そしてトランプが密約を交わそうにも、退任時の支持率は29%と大統領として史上最低の数字を出しており、(Pewリサーチの調査はここ)そんな取引なんぞできるわけない。また、極右グループの「Proud Boys」はリーダーも逮捕され、「トランプは大失敗」だったと議論してるし(NYタイムズの記事はここ)、陰謀論グループのQアノン内でも、トランプを見損なったと陰謀論に修正(ワシントン・ポストの記事はここ)、両方ともグループとして空中分解しそうな勢いなので、手を切るというよりも、切られそうな状態なので、確約させるという密約を結ぶ必要がないでしょ。

「ペンス副大統領(当時)が、少なくとも軍事、治安、政権移行の3分野については超法規的に事実上政権を代表して、議会および次期政権と協調していたことが伺えました。」という部分についても、1月6日以降、トランプは大統領としての仕事を事実上すべて放り出していたので、議事会占拠の際に隣州の州兵を送り込む決断などもペンス副大統領が指揮をとっていたことが既に報道されている。(ワシントン・ポストの記事はここ

「例えばですが、バイデン大統領が演説で、和解を、そして危機の克服を、と訴えていた際に、ブッシュとマコネルという共和党の政治家が極めて真剣な姿勢で聞き入っていた、その光景もこれに重なってきます。」
なんじゃその印象? 普通に式典に出席していれば真面目にスピーチぐらい聞くでしょう? ヘラへラしてるとでも思ったの? つか、みんなマスクしてて表情なんてよくわかんねーんだけど、見えてるんだ?w

「一方で、おそらくはトランプを一生許さないであろうクリントン夫妻は、式典会場でも表情は堅いままで、存在感はありませんでした。」

ちゃんと式典終了後のビデオや、追加の写真報道みてたんでしょうか? 特にヒラリー・クリントンはハリス副大統領の姪っ子たちやバイデンの孫たちに会いたかったと紹介され、ずっとニコニコしていて、一緒に写真におさまったり、終始笑顔で出席者と談話してましたよ? 就任式後のセレブレーションでもビル・クリントンはブッシュやオバマといっしょにビデオで談笑してましたよね? この写真でもヒラリー、めっちゃ嬉しそうなんだけど?

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民主党は確かに甘々なところがあって、敵とも一緒に仲良く〜みたいなアプローチが好きですが、今回ばかりは議員の命は狙われ、大統領府をめちゃくちゃにされ、上院でもギリギリ半数を奪回したので妥協なんてする気まったくないですよ。既にトランプ弾劾だけでなく、大統領選挙人の承認式で異議を唱え、妨害しようとしたテッド・クルーズ上院議員、ジョシュ・ハーリー上院議員に対しても、どんだけ裏で協力してたのか洗い出せと、民主党の上院議員複数名が調査依頼を提出したところ。(CNNの記事はここ

「これも全くの印象論ですが、バーニー・サンダース上院議員が、就任式という格式にはそぐわない「アウトドア向けの防寒ジャケット」で列席していたあたりに、何となく不穏な予兆を感じたのも事実です」

これは普段からまったくサンダース上院議員が「おしゃれ」に無頓着なキャラということは知られているし、だからこそ、インターネットでは彼をいろんな場所に置く「ミーム」が流行っているのに。本人もインタビューに答えて「バーモント州の人間なんだから、防寒優先だよ」と笑ってました。そのビデオがここ。

そして「そぐわないアウトドア向けの防寒ジャケット」というのなら、財務長官に指名されたばかりのジャネット・イエレンおばさんを見てくださいよ。「おされ?ナニそれ美味しいの? この歳になったら女だってファッションじゃなくて防寒優先よ!」ってな。当日、雪がちらついてましたからね。これって不穏な予兆なんですか? むしろこの先アメリカの経済政策をちゃんと牛耳っていってくれそうで頼もしいんだけど?

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こんなに外れた「印象」ばかりのコラムを載せて、ニューズウィーク、大丈夫なの? 

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