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小物マフィアみたいなトランプ大統領の個人弁護士が良い人にさえ思えてくる暴露本

ドナルド・トランプ大統領の暴露本ラッシュが続いている。次はボブ・ウッドワードのRAGEが出るんだが、もうちょっと疲れた。でもここのところ読んだ3冊はトランプが大統領としていかに能無しでアメリカの民主主義をぶっ潰しつつあるか、ではなく、大統領になる前の話が多いので助かっている。

これは前個人弁護士だったマイケル・コーエンの本。マフィアのボスを守るチンピラ弁護士みたいな感じ。でもそのボスに裏切られてただいま服役中。

とりあえず、笑っちゃい「アイツらしい」エピソードを羅列してみるね。

ビジネスマンの人気投票でズルをするも、バレて落選
トランプがpolling(人気投票)に最初にハマったのが2014年。ビジネスケーブル局のCNBCが25周年記念に「今活躍中の最も影響力のあるビジネスマン」25人をウェブでの投票で選ぼうという企画を打ち出した。候補者として200人の名前が挙げられていたが、最初トランプは187位ぐらいだったので、社内で社員に呼びかけてオンライン投票に協力させていた。

コーエンはトランプにもっと上位に入るようになんとかしろと命じられたのでSEOなどに明るい知人を使って、ウェブサイトのアルゴリズムを解析し、IPアドレスを大量に買って操作できるようにした。それをトランプに報告すると「1位になりたい」と言ったが、それだと怪しまれるのでトップ10に入る9位ぐらいでどうかと妥協した。投票締め切りまでにうまく9位に入った。知人からの祝辞が殺到し、良い気になったトランプは、自分はズルしただけなのに本当にトップ10のビジネスマンなんだと思い込んだようだった。

ところが、おそらくIPを操作したことがバレたのだろう、CNBCはトランプの名前をリストから消した。投票には元々小さな字でCNBCが理由を明かさずにリストから名前を削除する権利を有する、と書いてあったのだが、トランプはCNBCを訴えると息巻いた。結局その人気投票は大した話題にならなかったが、トランプは自分が9位だったときのリストを大量に印刷し、オフィスを訪ねてきた人に配りまくった。

イヴァンカとティファニー、2人の娘に対する態度が違うのはナゼ?
トランプは、女の価値は「美人かどうかだけ」という信念を持っており、その部分は自分の娘にも容赦ない。トランプはミーティングの相手が既婚男性であっても、美人に弱いだろうと踏んで娘のイヴァンカを送り込むことがあった。その一方で2番目の妻との間の次女、ティファニーは他の兄弟からも「あの赤毛の鬼っ子」扱い。マスコミに就職したがっていたティファニーが、ヴォーグ誌のアナ・ウィンター編集長にインターンのクチを世話してもらおうとトランプに頼んできたが、「ティファニーじゃムリだろ」と言い、そばにいたイヴァンカに「お前とは違うからな」と言うと、イヴァンカも「私もそう思うわ、ダディー」と答えていた。

お金がないのがバレるのが怖い
フォーブス誌がかつてトランプの総資産が41億ドルくらい、と書いたら、怒髪天。でもコーエンの感覚だと、どう多く見積もっても20億ドル。何しろコーエンがトランプの不動産にめちゃくちゃゲタを履かせた張本人だからわかる。例えば、トランプタワーの並びのグッチ旗艦店が入っているビルの4階分を所有していたがせいぜい3億ドルのところを10億ドルと偽ったり。

ゴシップ誌の社長と結託してライバル叩き
「ナショナル・インクワイヤラー」というスーパーで売っているゴシップ誌のデイビッド・ペッカーと懇意で、セックススキャンダルは相手に裏金を渡してもみ消してもらっていた。共和党の予選の間は支持率を伸ばしている候補者に関するでっちあげのスキャンダルを流してもらい、自ら校了前の見出しをチェックしていた。例えば、テキサス州の上院議員、テッド・クルーズの父親がケネディー暗殺に関わっていたとか、フロリダのマルコ・ルビオ議員のコカイン疑惑とか。

実はやっぱりハゲ
ある時、急にラスベガスのホテルに呼び出された時、トランプは下着姿(白ブリーフと半袖白シャツだってさ、オエ)でまだ髪を乾かす前だった。金髪に染めた髪は、右側が肩より下に届く長さで、毎回これを逆立てて乾かし、前の方にもってきてさらに額にかかる長さで後ろに曲げ、右側から頭全体を覆うようにさらに流す。それを安いヘアスプレーで固める。

若く見せたいからというのもあるが、実は頭頂に80年代に植毛手術に失敗した醜い赤い傷が残っていて、それを隠すためでもある。最初の妻、イヴァナがそれをからかった時、怒ったトランプが彼女をレイプしたことが離婚訴訟の際に明らかになっている。

プーチンがゴールデンシャワー映像で脅していても不思議じゃない
2013年にモスクワで「ミス・ユニバース」コンテストが行われた時、コーエンはお供しなかったが、当時興行権を持っていたトランプは、ロシア政府幹部の接待を受けた。その前の年にラスベガスでロシアのアガラロフ父子の接待を受けたときにコーエンがトランプといっしょに見たセックスショーはえげつないもので、ストリッパーがおしっこを掛け合う(ように見せる)ゴールデンシャワーもあった。トランプは「ホーリーシット!」と叫びながら喜んでいた。なのでモスクワのホテルでトランプが同じような趣向で接待を受けていたとしても不思議ではない。

偽オバマ役の黒人を雇ってクビにするファンタジーに浸っていた
トランプは役者を雇い、「ザ・アプレンティス」のようなシチュエーションで彼を部屋に呼びつけ、散々文句を言った挙句に「お前はクビだ!」と追い出す映像を録画して喜んでいた。オバマ大統領がハワイではなく、ケニアで生まれたと言うバーサリズム陰謀論も、実は信じてなんかいないが、それを持ち出すと自分の支持者であるレイシストたちが騒いでさらに頑固に支持してくれるのでやっている。自らの経費でハワイに調査団を送ると公言していたが、もちろん根がケチなのでそんなことはやっていない。

こうまでオバマ大統領を悪しざまに批判するのは、彼がコロンビア大でトップの成績をおさめ、ハーバード大学のロースクールでも優秀で、クールとされ、スピーチ堪能、人気があるから。つまり黒人のくせに白人の俺様が持っていない全てを持っているという妬み恨み、うらやましい、というコンプレックスを抱えているから。

とりあえず今回はここまで。次は、著者のマイケル・コーエンがどういう経由でトランプのお抱え弁護士から、服役中の正直者になったのか、なんで家族の反対を押し切ってトランプを信奉していたのか、思うところを書いてみようかと。

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