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グッバイセブンティーン

忘れないうちに、消えないうちに

こんなにも生きてることを実感した日は初めてかもしれない。こんなに世界がキラキラしたのは生まれて初めてかもしれない

Blue Mash 自主企画
『グッバイセブンティーン』

ミナミホイール後の自主企画には、多くの人が集まった。数時間前、入場規制がかからなかったBIGCATとは大違いの人の数。待ち列はブロンズまで続いた

ANIMAは狭くて、薄暗くて、そして限りなく人で埋め尽くされた。隙間なく、文字通りの超満員

対バン相手はシークレット

あまりの人の多さに開演時間は遅れたけど
ようやくSEが鳴り響いた瞬間、人の数の何倍も大きな歓声が上がった

対バン相手、シークレットゲストは『鉄風東京』

登場した彼らに、フロアから大きな歓声が上がる。とてもライブハウスに相応しい景色だった

そして掻き鳴らされるギターの音、ベースの重低音、ドラムのビート。Blue Mashが選んだ理由があまりにも分かってしまう熱量だった。

ギターの歪みがただの騒音じゃなくて心を揺れ動かす爆音になるのは、彼らの情熱が歌に乗ってフロアに届いているからだろう

ライブは熱にまみれていた。突き上がる拳のひとつひとつにあまりにも力がこもっている
大黒さんは、フロアに向かって叫び歌っていた
このバンドも、目を見て思いを伝えるバンドなのだと、そう思った

大黒さんはたくさんの事を伝えていた
何を言ったか、何を伝えようとしたか、正直よく分からない、あまりの楽器の音に、よく聞こえなかった、何を言わんとしたかよく分からなかった

だけど思いのこもった言葉は、たとえ綺麗な形を持たずとも、端々まで聞き取れずとも、人の心に響くのだと、その声は教えてくれた


かき鳴らされた30分
ステージの熱とフロアの熱は最高潮だった。

大黒さんは言った
「(Blue Mashを)適当な処理したら俺らが仙台からぶん殴りに来るからな。でも、アイツらなら、Blue Mashなら大丈夫。だって、かっけんだもん、かっけんだ」

かっこいいと思った
こういうのが、ライブハウスに、バンドマンに強く心を惹かれる理由なんだと思った

鉄風東京はボルテージをMAXにして、
ANIMAのステージを去った


ここから転換が始まる
予定だった

なぜか出てこないメンバーと用意されないギター
マイクの用意はスタッフやテオくんが行う

終電を逃せない人のことを考えると、猶予はこれっぽっちもなかった

10分が経って、15分が経って、さすがに周りがどよめき始める。果たしていつ始まるのか、何があったのか。

20分が経った頃、ようやくメンバーが出てきた

優斗くん、げんげん、そらくん
しかしまさひろくんは出てこなかった

優斗くんが言う

「ちょっと聞いて欲しくて。あのー、ドラムのまさひろが小ケガをして。それで、いま鉄風東京のドラムのはやてが好きな曲覚えてくれてるから、それまで俺が弾き語りやるから。スマホで撮ってもいいので。まさひろもすごく悔しがってました、本当にすいません!」


あまりに突然のことにフロアはどよめく

心配と不安と驚き
色んな声が混濁する


しかし、フロアはあたたかかった。
『大丈夫だよ!』『ありがとう!』

そんな声が飛び交う。とても素敵な場所だった
ライブハウスはあまりにあたたかい世界だった

優斗くんがアコギを持った瞬間、一斉にカメラが優斗くんに向けられる、それに優斗くんが驚く、フロアから笑いがおこる

そして始まった弾き語り
声とアコギだけで聞く『春のまま』と『セブンティーン』は、歌詞がいつもより深く聞こえた。カメラ越しにみることがもったいなくて、カメラ越しに見るのをやめて、この目で見た

弾き終わって
「俺、歌上手いでしょ(笑)いつも『あーー!』とか言ってるけど、ちゃんと歌えば上手いんだよ」

なんて優斗くんが言って、フロアから笑いがおこる。ピンチなはずなのに、フロアはまるでいつものBlue Mashのフロアだった。

言ってる間にそらくんとげんげんが出てきて
そして代打ドラマーはやてくんが出てきた

フロアからの大歓声 再び熱が上がる
優斗くんがテレキャスを持つ


「今夜限りのBlue Mashです!!!!」




その言葉にライブハウスはひとつになった

ここからはまるで一瞬で、でも生まれて初めて見る景色だった。

掻き鳴らされるギター、ベース、ドラム、作られるメロディ全てが会場のボルテージを引き上げた

そして優斗くんが言う

「こうやって4人でメロディを作れるってこと、当たり前じゃないんだなって!こんな友達がいてよかった!!!」

絶対にしたいことができた!
この先 絶対にBIGCATでワンマンする
2つ目!鉄風をとどこまでもやっていきたいと思う
3つ目!ドラムのマサヒロをこれからも一緒に連れていく!!!!

訳が分からない感情になって意味がわからないくらいの声が出て、もう最高以外のなんでもなかった。わたしだけじゃなくて、隣のあの子も、周りを見渡せばみんなが高く、強く、拳を握りしめて、高揚していた。そんな空間が、世界でいちばん好きだと思えた

ぎゅうぎゅうのライブハウスは、いつもより強い力で押されて、いつもの比じゃないダイバーに蹴られて、踏んだり蹴ったりのフロアだったけど、そんな場所さえ愛おしいと思えた。

ぎゅうぎゅうのライブハウスは、熱くて苦しくてむさくるしかったけど、ここにいたいと、強く思える場所になっていた


そう思わせてくれるライブハウスも、バンドマンも、Blue Mashも、鉄風東京も、隣のあの子も、フロアも、みんな魔法だ


10月14日23時30分の心斎橋ライブハウスANIMAは、世界で1番輝いていた、眩かった


今日は優斗くんも、そらくんも、げんげんも、みんなフロアに飛び込んだ。それくらいみんなの熱は高まっていた


最後に優斗くんがフロアにダイブした時、ギターの弦が1本切れていた。演奏に強い力がこもっていたのだと思った

『M19』が始まって、もう全部めちゃくちやになって、笑って歌って拳をあげて、ずっとこの時間が続けばいいと思った。この瞬間があるから私は私でいれるんだ


なけなしのラスト1曲
『このまま僕らが大人になっても』

優斗くんは切れたギターを置いて、フロアに向かって歌を歌った。フロアもそれに応えるように歌った。鉄風東京も、そらくんもげんげんもみんなで歌った

今日の景色はみんなでつくりあげた景色だった

そしてこの景色は、Blue Mashにとっても、鉄風東京にとっても、フロアのみんなにとっても、私にとっても、死ぬ間際の走馬灯になると思った

この場所は、私にとって居場所だった

ライブハウスは、孤独を知らない場所で、1人で来ても2人で来ても、最後にはみんなになれる場所で、
そういう場所があるから、これからも生きていきたいと思えた

日々どれだけ辛くて、苦しくても、またここで生きて会いたいと思える人がいるから、乗り越えられる

そう思わせてくれるライブハウスも、バンドマンも、みんな魔法だ

最後にみんなが去った後、鳴り止まないアンコールの声。終電に追われているはずなのに、フロアは動こうとしない。みんな気持ちは同じなんだと思った

優斗くんが出てきて
「もう今日おれ終電ないから、みんな飲んで帰れ!アニマの酒全部飲んで帰れ!」

と言ってステージを後にした。
どんちゃん騒ぎの始まりのようだった。またフロアが盛り上がる、最高だった

結局、私はこの後明日の学校のために終電めがけてダッシュしたけど、いつまでも消えない耳鳴りがあったから、全然悲しくなかった

見えてるもの全てがキラキラしてた


今日見た景色、きっと忘れないと思う
この場所でこの景色を見られてよかった


今日も、私を強くしてくれたライブハウス
この場所があってよかった

この世界を愛おしいと思わせてくれてありがとう
この場所が世界で一番大好きだ

これから先もずっとずっと、私が生きる意味はここにある、そう思わせてくれる人が待ってる

だから、これからもまた生きて、生きて、生き抜いて、ライブハウスで会おうね。
素敵な夜をありがとう 




Blue Mash 自主企画
『グッバイセブンティーン』w/鉄風東京
ライブレポート






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