
【生成AI】 新しいタイニーハウス
こんにちは。
今回も前回と同様に実際にクライアントから依頼を受けたという設定で生成AIを用いた内装パースの作成・提案を行い、またそのプロセスについて考察していくことで、生成AIを取り入れた設計提案の新たなプロセスを構築し、表現するための可能性を検証していきます。
第三回目の今回は『新しいタイニーハウス』をテーマとして、実際に生成AIを用いてパースの作成を行います。
ミッション
今回設定したテーマは以下の通りです。
近年、二拠点の住居のセカンドハウス、リゾートのコテージなど活用の広がりを見せているタイニーハウス。そこで、今回は「住まい+商い」をテーマに店舗兼住宅としてのタイニーハウスを計画します。商業空間としての設え、住居としての設えなどを上手く切り分けた空間の提案をお願いします。
・トレーラーハウス、コンテナハウスなど牽引できてどこでも運べることが望ましいが、それに固執しなくても良い。
・今回はタイニーハウスについての調査、事例などを纏め、また「小商い」「フードカー」など極小空間での商いについても考察を行い、その後イメージを纏める。
・商いについては、飲食・物販・美容室などその種類は問わない。
生成AIによる内装パース作成までのプロセス(1)
①タイニーハウスと小商いについての調査・考察
今回のテーマである「新しいタイニーハウス」では、言葉の通り「新しい」と感じさせる革新的なデザインと商いのアイデアが求められます。そこでまず初めにタイニーハウスの調査と小商いについての考察を行いました。

タイニーハウスは言葉の通り「とても小さい家」を表す言葉で、コンパクトな空間の中にキッチン・バス・トイレの設備も備えた住宅です。
タイニーハウスは2000年初期のアメリカで生まれたもので、大きな家を持つことが幸せと考えられていた当時のアメリカでは小さな家に住むことは考えられていませんでした。しかし時代の流れと共に家の機能性や、大きな家の必要性を問われることが多くなり、結果として最低限のものでシンプルに暮らすという考えが一部の人々へ浸透しました。現在、タイニーハウスはミニマルな暮らしを実現する形として世界的な広がりを見せています。
タイニーハウスの定義と歴史の調査から、現代社会では最低限のもので生活を送ることの需要が高まっていることが分かりました。
続いて小商いの定義と事例の調査です。

小商いとは初期投資やリスクの少ない形での、シンプルで身の丈にあった「小」さな「商い」です。小規模なため初期費用と維持費用を抑えることができ、移動式の場合は新しい市場の開拓も容易に行うことができます。
事例から小商いは初期費用の低さや移動が可能といったメリットがあることが分かりました。
②コンセプトの作成とイメージの収集
続いて内装パースの作成にあたり、デザインのコンセプトの作成とデザインのイメージ収集を行います。
コンセプト:開放的な空間で映画に浸るリフレッシュ体験
砂浜や森の中といった様々な場所で映画を楽しむことができる住居としての機能を有した移動式の映画館です。車両から大型スクリーンを展開し、周りに簡易的な客席を配置するため、様々な場所で事業を行うことができます。また車両後方にバーを設けることで、よりリラックスした雰囲気の中で映画を楽しむことができるだけでなく、悪天候時はバーのみの営業をすることも可能となります。
デザインのイメージ



③プロンプトの作成・入力
生成AIで画像生成をする際には、プロンプトの入力や生成したい画像のイメージ写真の添付が必要となります。
※プロンプトとは、生成AIにイメージの方向性を指示するテキスト。
そこで大まかなイメージを生成するためのプロンプトの作成と入力を行います。
今回は生成する要素が多いため、まずは建物の大まかな外観と背景から生成していきます。入力したプロンプトは以下の通りです。
Prompt : A container house which is made of mirror, very simple and stylish design. It has 4 wheels to move easily. Background is sunset forest. beautiful scenery reflects on the mirror.
このプロンプトをMidjourney(生成AI)に入力すると

このような画像が出来上がりました。
しかし、イメージ通りの画像ではあるものの、デザイン的な面白さに欠けているので、車輪を隠して曲線的なデザインに変更します。
Prompt : A mirror building in the oval shape on top, located at a high altitude overlooking a valley with green grassland. The scene is illuminated in the style of sunset light, creating a warm atmosphere. The architectural style emphasizes simplicity and harmony between nature and architecture. The overall design showcases modern aesthetics while harmoniously blending into its surroundings.
そしてこのプロンプトをMidjourney(生成AI)に入力すると

このようなより洗練されたデザインの画像が生成されました。
更に、スクリーンの取り付けや観客の配置、建物の一部をミラーからガラスに変えるといった変更を加えると

このような画像ができました。
その後何点か変更を加えると

このような思い描いていたイメージに近い画像を生成することができました。
生成AIによる内装パース作成までのプロセス(2)
次に建物に併設されたバーのイメージを作成します。
このイメージの作成にはMidjourneyのBlendと呼ばれるコマンドを使用します。
※Blendとはアップロードされた2枚以上の画像をAIが組み合わせることで新しい画像を生成してくれる機能です。
このBlendに以下の3つの画像をアップロードします。

この3枚の画像をBlendのコマンドで組み合わせると

このような画像ができました。
そこから背景の訂正やドリンクの配置といった訂正を加えると

このようなイメージに近い画像が生成されました。
生成AIによる内装パース作成までのプロセス(3)
最後に居住スペースのイメージを作成します。
こちらも同じくMidjourneyのBlendコマンドを用いて生成を行います。
以下の3つの画像をアップロードします。

この3枚の画像をBlendのコマンドで組み合わせると

このようなリビングのイメージを生成することができました。
続いて寝室のイメージを作成します。
アップロードした画像は以下の3つです。

これら3つの画像をBlendのコマンドで組み合わせると

このようなイメージに近い画像を生成することができました。
感想・考察
今回、実際に生成AIを用いて内装パースを作成し、感じたことは
・生成したい画像に近いイメージを多く集めることでBlendの機能を使った生成の精度を高めることができる。
・背景の入力も全体のテイストの変化に影響するためより細かくプロンプトを入力する必要がある。
・プロンプトで入力するための空間のテイストの表現をより増やす必要がある。
といったことが挙げられ、生成AIを活用する側の更なるスキルが必要であることが分かります。
まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は『新しいタイニーハウス』をテーマとして、実際に内装パースの作成を行いました。今後も生成AIによって様々なテーマを元に、生成した内装パースの紹介をしていきます。