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"身寄りのない人"の葬送問題や安楽死への切実な思いに迫る 「LINEジャーナリズム賞 24年2月〜4月期」発表

さまざまな社会問題を題材として、読んだ人の心を深く動かした記事を、閲覧数やSNSでの拡散数、ユーザーアクションなどをベースに選考し表彰する「LINEジャーナリズム賞」。

今回は2024年2月から4月にLINE NEWSに配信された、100万本を超える記事の中から2本を選出しました。

"身寄りのない人"として火葬された男性の死の真相を追い、「多死社会」の現実を伝えたNHK NEWSの記事、日本でも是非が問われている「安楽死」を巡り、当事者らの切実な思いと選択を取り上げたTBS NEWS DIGの記事。心を動かす2本を紹介します。


「誰が火葬のOK出したんや」兄はどこへ消えたのか?

NHK NEWS(2024年4月5日掲載)

編集部コメント

自分や家族にもしものことが起こった時、きちんと連絡が届くのだろうか…この記事を読んで恐ろしくなりました。

ひと昔前なら何か起こった時、親戚やご近所さんが家族に連絡を入れてくれたのかもしれません。遺体の引き取り手がないというケースは珍しかったでしょう。しかし現代は、親戚付き合いや地域のつながりが希薄化しています。さらに少子高齢化が進み、"身寄りのない人の死"も増加していくといわれています。

現状の行政のシステムではいつか破綻してしまうでしょう。国が明確なルールを示していないことに危機感を覚えました。一刻も早く法整備がなされ、死者の尊厳が守られる社会となることを強く願います。

LINE NEWS編集部 奥村小雪

「やっぱり何か異常なことが起きている」。

近くに親族が住んでいたのに"身寄りのない人"として火葬されたという衝撃的な出来事の真相と、社会が向き合わなければならない問題の大きさに思わず言葉を失いました。

しっかり葬送してあげたかったという遺族の思い、対応に限界を迎えている行政、遺体を永遠には預かれない火葬場の現状。どうにかしたいがどうにもできない、それぞれの立場からの切実な思いが痛いほど伝わってきます。

引き取り手のない遺体の急増を受け、初の実態調査へ向け政府も動き出しました。ただでさえ悲しい"死"の先に、これ以上の不条理はあってはいけない。葬送のあり方の一刻も早い見直しを望みます。

LINE NEWS編集部 荒川のぞみ

「安楽死」を考える スイスで最期を迎えた日本人 生きる道を選んだ難病患者【報道特集】

TBS NEWS DIG(2024年3月17日掲載)

編集部コメント

難病患者として「安楽死」を選んだ女性の最期までを追う内容に衝撃を受けました。彼女の表情を写真で見ていると、「死=悲劇」と言い切れない気持ちになります。時に笑い、自分を客観視し、冗談も言う。安楽死を選ぶ人は遠い存在ではないと気付かされました。

一方で記事内では、生きる選択をとる難病患者の「安楽死が本当に必要な人以外に、どんどん広がってしまうことが恐ろしい」という危惧も記されています。2つの意見があることで、問題を俯瞰して捉えることができました。

私の母親はがんで他界しましたが、治療中に「死にたいぐらい痛い」と口にしていました。海外で安楽死の合法化が進む中、自分事として安楽死の是非について考える時期なのかもしれません。

LINE NEWS編集部 嘉島唯

難病による耐え難い痛みから安楽死を望む人がいる一方で、「生を選ぶ社会」であってほしいと安楽死に強く反対する難病患者の声もあります。

「基本は生きることですから。でもそれがやむを得ないときに安楽死がある」安楽死によってスイスで最期を迎えた女性は、日本での法制化の懸念について生前こう話しました。

それぞれの思いを読んで、自分の人生を決断する強さを感じ、もし自分だったらと考えずにはいられませんでした。

個人の尊厳や選択の自由が尊重される世界であってほしいと思いますが、法制化による社会全体への影響は無視できません。
生と死に関わる選択は、すべての人間が直面する問題です。この記事が多くの人の目に触れ、深く慎重な議論が広がってほしいと思います。

LINE NEWS編集部 井上眞理子

"死"を巡る社会課題の背景や思いに深く迫る2本を紹介しました。日々さまざまなニュースをお届けしているLINE NEWSをぜひ覗いてみてください。

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