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特殊詐欺の深刻な"二次被害"や子どもの性被害に切り込む…「LINEジャーナリズム賞 23年11月〜24年1月期」発表!

さまざまな社会問題を題材として、読んだ人の心を深く動かした記事を、閲覧数やSNSでの拡散数、ユーザーアクションなどをベースに選考し表彰する「LINEジャーナリズム賞」。

今回は2023年11月から2024年1月にLINE NEWSに配信された、100万本を超える記事の中から3本を選出しました。

難病を抱えた女性の半生から"いろんな人がいて当たり前の社会"について問うきっかけを投げかけるチューリップテレビ、「子どもの性被害」の被害者・加害者両方を取り上げ、どうすれば被害をなくせるかという命題に切り込むMBSニュース、特殊詐欺の深刻な"二次被害"に焦点を当て、孤独な最期を迎えた詐欺被害者たちの実情を浮き彫りにするTeNYテレビ新潟の記事。心を動かす3本を紹介します。


「生まれてきてよかった」難病・顔面動静脈奇形の河除静香さん 見た目の悩みを乗り越え“この顔だからこそできること”

チューリップテレビ(2024年1月16日掲載)

編集部コメント

「この顔だからこそできること」がある。

難病により生まれつき鼻と口が変形し、物心がついたころから「1日1日乗り越えて耐えるしかない」と差別や生きづらさを感じていた女性が、そう思えるようになるまでの歩みや、心境の変化を追った記事。

つらさを抱え続けながらも、自らを題材にした一人芝居を通して、「見た目問題」について投げかける活動を行う彼女の生き方と、その表情からは、強いメッセージを感じさせられました。

美容整形が一般化し、ルッキズムの問題がたびたび叫ばれる昨今。「こういったテーマの取材で取り上げられることが必要なくなるような(中略)社会になってほしい」という言葉は、深く心に響きました。

LINE NEWS編集部 前田将博

「化け物?私には人として生きる権利すらないというのか」──顔に血管の塊ができるという難病を抱える河除静香さんの、自らを題材にした一人芝居のセリフがとても印象的でした。

ルッキズムを見直す動きが少しずつ広がってきてはいるものの、まだまだ見た目で人を評価する風潮は根強く存在しています。そんな世の中で河除さんは、幼少期からいじめや差別を経験してきました。

それでも、様々な出会いや経験を「この顔だからこそできること」と楽しみ、明るく暮らす彼女の生き様に、とても勇気をもらえました。見た目を全く気にしない夫・悟さんとのやりとりも微笑ましく、「いろんな人がいて当たり前」な社会は決して夢物語ではないと、改めて感じました。

LINE NEWS編集部 奥村小雪

5歳で性被害…「自分を殺したい」女性の叫び 10人以上の子に手をかけた男性の告白 小児性犯罪はいま

MBSニュース(2024年1月22日掲載)

編集部コメント

周囲に「助けて」と言えない、それどころかされたことにも気づけないような年齢の子どもたちの性被害。

この記事では、癒えない傷を抱えながらも前を向く被害者の思いや、加害者の後悔が「小児性犯罪者の治療」という専門的視点を織り交ぜながら描かれます。

被害者の声だけでなく、被害者・加害者の両方が顔を出しひとつの記事としてまとめられた構成に、取材対象者や執筆者を含め記事に関わった全員の勇気と、「子どもの性被害を無くしたい」という強い意志を感じました。

記事の終盤では、私たち大人が意識しなければならないこと、そして子どもたちに伝えたいことが具体的に示されています。身近に子どもがいる・いないにかかわらず、多くの人に読んでほしい記事です。

LINE NEWS編集部 荒川のぞみ

大人の立場を利用して、騙すように行われる子どもへの性犯罪。2人の女性が語る被害や孤独、傷の深さが「魂の殺人」と言われる性被害の現実を物語ります。成人後も消えないトラウマとともに生き抜き、前向きに活動する姿に心を打たれました。

一方で、過去に性加害を行った男性は後悔を告白。"小児性愛の精神疾患"の治療を続け、再犯しないための生活を明かしています。

「小児性犯罪をなくす手立てはないのか」。被害者と加害者の両者が顔を出し、実名で体験を語った記事に、携わった人々の強い思いを感じました。記事の最後に書かれた「子どもを守るために大人ができること」を胸に留め、子どもたちが被害に遭うことのない世界を願ってやみません。

LINE NEWS編集部 井上眞理子

「『バカねー』の大コール」詐欺で騙された被害者が家族から孤立 無縁仏を供養する住職が語る無念

TeNYテレビ新潟(2023年11月9日掲載)

編集部コメント

「特殊詐欺は、お金の他にも、大切なものを奪っていくのです」

だまされたことで自らを責め、命を絶つこともある詐欺被害者たち。特殊詐欺のニュースは毎日のように流れていますが、被害者の「その後」に光が当たることはほとんどありません。「子どもの悲しむ顔は見たくない」。なけなしの財産を差し出した子ども思いの母親が、家族や周囲から責められ孤立していく姿には強い不条理を覚えます。

「自分だけは特殊詐欺にだまされない」おそらく誰もがそう考えているのに、被害者になってしまう現実。特殊詐欺は決して画面の向こう側の出来事ではないことを、改めて思い知らされる記事です。
詐欺が命まで奪う可能性を知ることで、若者が犯罪の道に足を踏み入れることが少しでも減ってほしいと願います。

LINE NEWS編集部 葛西耕

特殊詐欺やオレオレ詐欺。この犯罪名を聞くようになってから久しいですが、被害者が自ら命を絶つケースも少なくないことを初めて知りました。

自分の親や祖父母が特殊詐欺にあったらと考えると、悲しむ気持ちは湧きながらも、記事内に出てきた家族のように「どうして?」と叱責してしまうような気がします。身内だからこそ、逆に寄り添えない。これは他人事ではないように感じます。

一方で、自分が被害者になったことを想像すると、私も同じように自責の念で消えたくなってしまうような気持ちが湧くのだろうと思います。その時にどうやって手を差し伸べられるか、どう気持ちを落ち着かせるのか。この記事を読むことで「もしも」を想像することができたように思います。

LINE NEWS編集部 嘉島唯

取材対象者の心情を通して社会課題に深く迫る3本を紹介しました。日々さまざまなニュースをお届けしているLINE NEWSをぜひ覗いてみてください。

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