誰も教えてくれなかったおしゃれのルール(アーカイブ)これからは顔高服低の時代へ。
約1年前、これからは「顔の時代」になると書きました。
もう既に一部では、そのようになっています。
しかし単純に「顔の時代」になるわけではありません。
それは天気予報風に言うならば、「顔高服低」の時代です。
つまり、メイク、美容、ヘアスタイルにはお金も労力もかけるけれども、
服にはお金をかけない時代です。
具体的に言うと、
コスメはシャネル、ディオール、サンローラン、ジバンシーといったハイブランドのものを使いつつ、着ているものは中古や古着でもよいという考えです。
人によっては、年間のヘアメイクにかかった経費は、被服費を上回るでしょう。
理由はいろいろあります。
ひとつは、現在の流行サイクルが終わりに近づきつつあること、
そして次のサイクルは顔、そして肉体そのものが重要な時代になるだろうということ。
二つ目は、クオリティの高い衣服は定価で買うことが不可能なほど高価なものになったけれども、メイク用品であったら、ハイブランドのものでも1万円もあれば、何かしら買えること。
三つ目は、手が出ない高価な服、靴、バッグのヴィジュアルを見ていらいらしているよりも、手が出るメイク用品を実際に手に取って、自分の顔にのせてみたときのほうが、よほど気分が高揚するし、満足することです。
誰かがおいしそうな食べ物を食べているのを、指をくわえて見ているだけの時間が長くなればなるほど、私たちのみじめな気持ちも続きます。
そのみじめさから脱出するためには、手に届くおいしいものを今すぐ食べたほうがはるかにましです。
稼げるようになったらいつか買えるとか、
お金がたまったら買おうとか、
そんな来るかどうかわからない未来を待っているよりも、
今すぐに買えて、自分で試してみて、
明日からそのまま出かけられるもののほうが、ずっと価値が高いのです。
人生は待ってくれません。
その間に私たちは年を取り、輝く肌も、しなやかな肉体も徐々に失われていきます。
いつかなんて、永遠に来ません。
それは30年待っても来ませんでした。
そしてこれから30年たっても、来るとは到底思えません。
それならば、多くの人は顔重視を選ぶでしょう。
鏡にうつったその顔が、ありとあらゆるピンクや赤で染まるとき、
買えないものばかり見せられて、あきらめそうになった気持ちが、
再び立ち上がります。
1万円あれば、何か新しいコスメは多くの選択肢の中から選べて、かつ経験できます。
丁寧な接客を受けて、サンプルもいただけて、立派なショッパーに入れてもらえます。
しかし、1万円では、新品の服の選択肢は限られます。
クオリティの高い古着でさえも、1万円以内で買うことは難しくなっています。
選択の自由があることは重要です。
そしてこれからは多くの人が、1万円を握りしめ、コスメ売り場へ赴き、
その選択の自由を行使していくでしょう。
エルメスでさえ、コスメであれば買うことができます。
服については、クオリティの高い中古や古着の服、靴、バッグを選び、
少しばかりの新品を加えてワードローブを構築し、
季節ごとにメイクを変え、新しさを表現していく、
そんな人がこれからもっとふえてくるでしょう。
選べなくなったら終わりです。
選べないとわかったら、途端にそれはどうでもよいものとなるのです。
選べることの重要性をかみしめながら、
私たちは次に来る新しい季節のためのアイシャドウやマスカラ、そしてリップを吟味するでしょう。
それは、私たちが実際に手に入れることができる未来です。
詳しい内容は
小林直子著
「わたし史上最高におしゃれになる!」扶桑社
「お金をかけずにシックなおしゃれ 21世紀のチープシック」KADOKAWA
をごらんください。電子書籍で販売中です。
2022・01・20
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?