短編③
例によってファンタジー系の短編…短編?です。台本形式の癖に7000字程あるので割と長いです。舞台は冒険者とか魔物とかいるタイプのファンタジーな感じです。設定は割とゆるいのでお好きに想像して頂いて。
台本形式と言いつつ、配役は書いてません。大体交互なのでたぶん分かると思います。『』は思ってるけど口に出してないことです。一応恋愛もののつもり。若干下品かもしれないので苦手な方は注意。
* * * * * *
ハーレムが作りたい独身男と逆ハーレムが作りたい独身女の話
「あーあ、どっかにいい女いねーかなー…ぉ?」
「なぁ、ねぇちゃん、俺たちとちょいとそこらで飲もうぜ」
「いいだろ?なぁ」
「え、えっと…」
「…ふむ。胸は残念だが尻はそこそこ。身長は低め…と。圏外だな」
「わ、私はちょっと用事が」
「そんなこと言わねぇでよぉ。いいだろ~?」
「ちょっとだけ、ちょっとだけだからさぁ」
「……うわ、酒くせー。ったくめんどくせーな」
「おい、あんたら」
「あぁん?なんだよ。いまいいとこだってのに」
「おん…?こいつ胸がねーぞ。男か?」
「…ぁ゛?」
「あっ」
「えっ?」
「おごっ!?おrrrr…」
「チッ きたねーなおっさんよぉ…誰が男だって?」
「すっ すいやせんでしたぁっ」
「…俺が手ぇ出すまでも無かったか」
数日後…
「……おっ あの時のねーちゃん。酒イケるクチなのか」
「しかしなんか、ぶつくさ言ってんな…あんま近寄りたくねー…」
『げっ 目が合った』
「ぉお…?あんたあの時の」
「…よ、よぉ。この前ぶりだな?」
「ちょっと聞いてよ。この前さぁ…」
『絡み酒かよ…これ断るとこの前のヒジ打ちが飛んできたり…しないよな?』
「いや、俺ちょっと用事が」
「あぁん?」
「……なんでもないです」
「どいつもこいつもカップルカップル」
「そうそう、やってらんねーよな」
「いい男はみんな彼女がいんのよ。声を掛けてもみんなみんな既婚なのよ」
「わかるわかる。いい女はみんな彼氏がいるからみたいなことを…」
「それはあんたが降られてるだけじゃないの?」
「……その言葉そっくりそのまま返すわ」
「んだと?もっぺん言ってみろ」
「誰が酒飲んで管巻いてる女を好きになるんですかぁ?」
「ぶっとばす」
「はいはい、やれるもんならやってみ ごふっ!?」
「ふっ」
「てめっ いい気になりやがって」
「おぉん?そりゃこっちの話だっ」
「……お客さん。ウチは喧嘩は外でしてもらうルールでしてね?」
「「あっはい」」
「……悪かった」
「いや、私もちょっと酔い過ぎてた…かも」
「さみーな」
「うん」
「別んとこで果実水でも飲んで酔い覚ますか」
「そうね」
「……ねぇ」
「なんだ」
「なんでいい男に出会えないのかな…」
「何弱気になってんだ。何回でもやるんだよ」
「でも10回やって10回失敗はどうなのよ」
「…それな」
「…何がいけないんだろ」
「がっつきすぎてんのかなぁ」
「それは…あるかもね」
「…あー、ちょっと待てよ。冷静に考えてみたらさ」
「何よ」
「いい女って分かるってことはその女が何かしらそいつがいい女だってわかることをやってるってことだろ?」
「何を当たり前のことを」
「いや、だからさ。俺もいい男アピールすればいいんじゃね?と」
「…あっ」
「今まで考えたことも無かったけど」
「そうかも…そういうことかも…」
「……なぁ、いい男って何だ」
「急に小難しい話になったわね」
「いや、俺にはいい女ってのは分かるけど、いい男ってのは分からん。何しろ今まで嫌いなヤツ筆頭だったからな」
「それはそう。それ言ったら私だっていい女ってのが何なのか知らないし」
「……なぁ、ここは一つ。協力しないか?」
「何を」
「俺はあんたにいい女の条件を教える。その代わり俺にいい男の条件を教えてくれ」
「…なるほどね。いいわ。その話乗った」
「よし、交渉成立だな」
「いい男の条件ね…金、イケメン、実力、って感じかな」
「…ごふっ」
「ちょ ちょっと!まだ条件聞いてないわよ!起きなさい!」
「……」
「ダメだ…死んでる」
「…勝手に殺すな」
「いい女の条件は…可愛い、巨乳、世話焼きって感じかな」
「…ごふぅっ」
「冗談だ。死ぬな」
「ぶっころすわよ」
「さっきの仕返しだ。ざまぁねぇな」
「ちっ …で?ほんとのところは?」
「そうだなぁ。可愛いっていうのは別に顔のことじゃなくて…女らしさっていうのかな」
「ぐっ」
「え、ちょっと待って。それでもダメージ受けるのかよ」
「…どうせ私は女らしくないわよ」
「別に否定はしてないだろ…?」
「……それなら私の女らしいところ、言ってみなさいよ」
「いや、だって今日知り合ったばかりだろ。知らねーよそんなの」
「ほらやっぱり無いんだぁ!」
『うわ、めんどくせー女』
「今めんどくさいやつって思ったでしょ!」
『なんで分かったんだ怖っ』
後日…
「ねぇ、ちょっと」
『うわ、めんどくせー女だ無視無視』
「……この前は悪かったわよ。私、酒が入ると悪酔いしちゃうの」
「…じゃあなんで飲むんだよ」
「…だって、飲んでもいないとやってられなくて」
「あーもう。しかたねーな。酒飲まないなら食事付き合ってやってもいいぞ」
「ほんとに!?」
『……なんでそんな嬉しそうな顔すんだよ。断れねーじゃねぇかよ』
「それで、この前の話の続き聞かせて欲しいんだけど…」
「あー…なんだっけ?」
「いい女の条件ってやつよ!」
「ああ、はいはい。いい女の条件ね」
『正直なんて言ったかなんて覚えてないから…今考えるか』
「いい女の条件は…可愛さと淑やかさと色気かな」
「…なんかこの前と違わない?それとなんか矛盾してない?」
「いや、だから可愛いってのは顔がどうのって話じゃなくて、女として魅力があるって話だよ」
「…かはっ」
「お前はどうしてそう一々ダメージを受けるんだ」
「くっ…その言葉、そっくりそのまま返すわ」
「だってお前が俺に欠片もないようなことばっかり言うから!」
「それならあんたも私に少しでも掠るようなことをいいなさいよ!」
「…いや、そうか。そうだな。悪かったよ」
「私も、そうね。理想が高すぎたかも。謝るわ」
「で、そうだなぁ…」
「ちょ、ちょっと。あんまりじろじろ見ないでよ…」
「いや、付き合いが浅いんだから外見でどっか褒めるとこがないかなと」
「じろじろ見ないと無いってことね…」
「いや、すまん。俺の好みの外見じゃないから中々難しくてな…」
「私だってあんたの外見は欠片も掠ってないわよ」
「……なぁ、もう互いに殴り合うのは止めにしないか」
「あんたが喧嘩売ってくるんでしょうが…ッ」
「なぁ、ふと思ったんだが」
「何よ」
「これ以上やっても互いに傷つくだけだと思うんだ」
「そうね。だけど、じゃあどうすればいいと思うの?」
「もしかして、なんだけどさ」
「だから、何よ」
「俺たち、今まで勘違いてたんじゃないかって」
「…勘違い?」
「いい女が人と付き合い始めたんじゃなくて、付き合い始めたからいい女になったんじゃないかと」
「…っ!」
「だからきっと、最初からいい女なんていないんだ。俺たちが求めてたのは幻想で」
「もう、もういいわっ。そこから先は言わないで…どうか、お願い」
「……いや、本当に、最初からいい女もいるんだろうけど、競争率高すぎな」
「それだわ。きっとそれ。それじゃ私たちに勝ち目なんて…」
「……死のう」
「は、早まっちゃダメよ。きっとまだ何か…」
「いや、だってほら、何にもない。何にも…」
「何にもないことはないわ!私がいるじゃない!」
「……女神か」
「こら…どこ触って…ッ!」
「目が覚めた。本当にすまん」
「…ほんと、目が覚めなかったらどうしようかと思ったわよ」
「いや、これは俺が責任を…いや、待てよ」
「何よ。もうあんたの思いつきは聞きたくないんだけど」
「いや、これは妙案かもしれない」
「…一応、聞こうじゃないの」
「男女が付き合う中でいい男、いい女になるなら、だぞ」
「うん。いや、待って。もしかして」
「俺とお前が付き合えば」
「嫌」
「ごふっ」
「……そんなに俺が嫌いか」
「そもそも、その話の前提はお互いに競い合える仲なら、でしょ?」
「…ん?」
「私たちの場合、何も取り繕ってないところから始まってるじゃない。上手く行くわけないと思わない?」
「…いや、だから付き合いながらいい男、あるいはいい女になるために」
「それって今と何が違うの?」
「…あー」
「ね?意味が無いと思うけど」
「いや、でも俺たちがこれまでやったことって飲みと食事だけだろ?」
「それは…そうかもしれないけど」
「彼氏彼女がやってるようなことをやってみよう」
「…ばっ そ、そそそんなこと出来るわけないでしょっ!」
「いや、何を想像したか知らんが、お洒落して出かけるとかそういうことだぞ」
「え? あ、はは。そっか。そうね。それなら…やってみてもいいかもね」
『この耳年増女、何を考えやがったんだ』
「…ここでいいんだよな」
『見回してもいないってことは…まだ来てないのか?』
「少し待つか…」
「お、あれか?」
「はっはっ…ごめんなさい。こんなこと初めてだから…遅れちゃって…」
『おいおい。誰だこいつは…化粧したらこんなに変わるものなのかよ…髪は割とはねてるけど』
「それ、寝ぐせか?」
「え?あっ 立ってる!なんで!?」
「走ってきたから乱れたんじゃないか?」
「そ、そうかも…ちょっと直すね…」
『たぶん、元々癖っ毛なんだろうな…酒場で会う時もはねてたし』
「ん…これでいいかな」
「ああ、いいんじゃないか?」
「それにしても…そっちはほとんどいつもと同じね」
「服買う金なんてねーからな。全部武器とか食料とかに消える。できたのは真面目に服着ることだけだな」
「…それでも結構違うんじゃない?髪整えて髭剃るだけでも大分違うと思う…っていうかそういう顔だったのね」
「今更か?」
「だって髭はともかく顔は前髪であんまり見えてなかったし…あんなに伸ばして危なくないの?」
「仕事の時はヘアバンドで上げてんだよ」
「…へぇ。そういうの、ちょっと見て見たかったかも」
「もう切ったから見れるのは大分先だと思うぞ」
「ふふ、ちょっと楽しみ」
『そういう風にも笑えんだな。…ちょっと可愛いじゃねーか』
「ほら、行くぞ」
「あ、ちょっと待ってよ」
『女ってこんな歩幅短いのか…勉強になるぜ。と言っても相手が出来てからの話だが』
「ちょっと、聞いてるの?」
「悪い、何の話だっけ」
「もう、ちゃんと聞いててよ。この前飲んだお酒がさぁ」
『結局酒の話しかしねーじゃねーか』
「なぁ」
「…何よ」
「お前、何か欲しいもんとか無いのか」
「…えっとね。10年もののブラン」
「酒以外で」
「え」
「…酒以外で」
「…」
「無いのか…」
「……うん」
「その服は」
「これは、その、お母さんが」
「お下がりか?」
「いや、さすがに。お母さんと買い物した時にお母さんが勝手に…」
「母親センスか…」
「いつもと同じあんたよりはマシでしょ!」
「いや、似合ってるなと思ったんだが」
「え」
「ここで褒めるとお前の母親のセンスを褒めることになるだろ」
「…いいのよ。そういうのは…その、ありがと」
「…どういたしまして」
『なんでこいつとこんな雰囲気になってるのよ…』
「ねぇ」
「何だ」
「あんたはないの?何か…その、欲しいものは」
「俺か?俺は武器が欲しい。今使ってるのがちょっとガタが来ててな」
「色気もクソもない話ね…っていうか大丈夫なの?それ」
「大丈夫じゃない。でも金も無い」
「…冒険者なんて止めちゃえば?」
「俺は剣を振る以外の仕事をしたことがない。頭もそう良くない」
「…私にはそうは見えないけど」
「そうか?…そうかもな。ただ、他のことで食ってく自信が無いだけだ」
「…」
「人間と戦うより、魔物と戦う方がマシって理由もあるけどな」
「どういうこと?」
「そりゃそうだろ。同族殺すよりかマシだと思わないか?」
「…そっか。そうかもね」
「…ここは?」
「俺の家。まぁ、借家なんだけどな。宿暮らしよりかは多少マシってぐらいだ」
「え、ちょっと。家に連れ込む気?」
「いや、ちょっと準備してくる。ドアのところで待ってろ」
「…あ、ちょっと!……何なのよ一体」
「じゃ、行くぞ」
「…へぇ。さっきの格好より今の方が様になってるわよ」
「そりゃ、これが俺の正装みたいなもんだからな」
「その恰好で行くんだ」
「ああ」
「え…じゃあダンジョンに行くの?」
「いや、今日行くのは街の外の平原だ。この格好は万が一に備えて」
「…何のために?」
「外、行ったこと無いだろ?別に何にもないところだが、解放感は格別だぞ」
「ふーん」
「…興味無さそうだな」
「だって何も無いんでしょ?」
「まぁ、そうだけど。俺が連れていけるのなんてそういうところしかないからな」
「ま、そこまで言うならついて行ってあげる」
「断られたらどうしようかと思った」
「そこまで薄情じゃないわ」
「……」
「…どうした?やっぱ、つまんないか?」
「…んーん。ちょっとびっくりしちゃって」
「分かるぞ。俺もそうだった。世界はこんなに広かったんだって、思ったよ。子供ながらにさ」
「私は生まれも育ちも街で、外に出たことなんか無かったから」
「まぁ、普通はそうだろうな。外に出るのは商人か、冒険者か、兵士か、貴族か…ん?意外といるな」
「街で暮らす人は出ないんじゃない?」
「かもな」
「…」
「…」
「……ねぇ」
「何だ」
「この景色を見られたのは…その、良かったと思ってる」
「そうか」
「私も、もっと体力があったらあんたと一緒に冒険者やれてたかもね」
「いや、それはないな」
「…なんでよ」
「冒険者はお前が思う以上に、難しくて大変だからな。死ぬ危険もあるし」
「……死なないでよ」
「何か言ったか?」
「なんでもない」
「…どうだった?今日は」
「まぁ、よかったんじゃない?」
「俺も、そこそこ楽しかったよ。色々新鮮だったし」
「…そっか。私も楽しかった」
「それは良かった」
「…ねぇ、ちょっと思ったんだけど」
「何だ」
「いい男、いい女を目指すって話はどうなったの」
「…あっ」
「あんた、女ならなんでもいいのね」
「いや、それは違う。なんていうか、その、期待してなかったけど、じゃないな。ええと」
「そこは、その言葉、そっくりそのまま返す、じゃないの」
「…あー。いや、今回のことは、お前じゃなきゃダメだったと思ってる」
「え」
「お前だから楽しかったんだと思う。だから今日のお前はいい女だったんじゃないか?」
「ぅ…… ば、バカっ」
「え?あ、おい!ちょっと!」
『なんであの時逃げちゃったんだろ…どんな顔して会えばいいのよ…』
「あれ?あそこにいるのって…」
「いやぁ、助かるよ兄ちゃん。そんな細ぇのに力は申し分ないな」
「これでも、冒険者、やってるんでね!」
「…そうかい。兄ちゃんも外から来たクチか?」
「…まぁね。憧れてきたけど、夢半ばって感じだ」
「まぁ、そう上手くは行かねぇわな。食費か?」
「いや、武器がな。そのために金が要る」
『…そっか。この前は他の仕事は嫌だって言ってたのに…』
『現金なものね』
「しかし、兄ちゃんは変わり者だな。冒険者はお高く留まったやつらばっかりだと思ってたよ」
「いや、まぁ、ちょっと友人に言われてね」
「へぇ。なんて言われたんだ?」
「俺が武器が欲しいが金が無くて買えないと言ったら、心配されてな…」
「わしは冒険者のことはよく知らんが、武器は命を預けるもんじゃと聞いたな」
「ああ、その通りだ。だから、まぁ、命のかからない所で、な」
『…』
「いい友を持ったな」
「ああ、出会いは最悪だったけどな」
「そういうヤツこそ長続きするんだ。腐れ縁でも続けるといい。これはジジイからのお節介だぜ?」
「はは、まだジジイって年じゃねーだろ。でも、そうだな。大切にするよ」
「おっと恋人じゃったか?」
「そ、そんなんじゃねーやい!」
『…やば。大切にするって…そんなの…っ!』
『どんな顔でも会えないっての…っ!』
数日後…
「おっ 久しぶり…って寝てんのか?こんなところで寝たら調子悪くするぞ?」
「……起きてる」
「…そうかい」
「……ねぇ」
「何だ?」
「私、いい男に会えたかも」
「へぇ。そりゃ良かったな」
「…何か言うことは無いの」
「俺もいい女に会えたんだ」
「……そう」
「そっちこそ、何か言うことは無いのか?」
「…無い…」
「…何だ?泣いてるのか?」
「だって…そんなのって…裏切者」
「あー。話がややこしくなるから言っとくが」
「……」
「俺が言ってるいい女ってのはお前のことだぞ?」
「……ぇ?」
「そもそも大分前に一緒に出掛けた時に言っただろ」
「そんなの…覚えてない」
「じゃあ、もう一度言うぞ。お前はいい女だ」
「そんな断言された覚えはない」
「…やっぱり覚えてるじゃないか」
「はっきり言われたら覚えてる」
「ああ言えばこう言うな」
「……今めんどくさいヤツって思ったでしょ」
「いや、たぶんこういうのを惚気てるって言うんだろうなって思ってたよ」
「…っ」
「俺はお前に救われたんだ。武器を新しくしてすぐに、魔物を擦りつけられた」
「救われたって…どういう」
「時々新人がやるんだ。実力不足の癖に深入りして、対処できない敵に遭遇して逃げ出してくるやつが」
「そんな、無責任な」
「そういうリスクもあるって話だ。話を戻すが、俺は苦戦したもののどうにか生き残れた。お前のお陰だ。
お前がああ言ってくれなかったら、俺はきっとあそこで死んでた」
「そんなこと…巡り合わせじゃない」
「そうかもしれないけど、俺はお前に救われたと思ったんだ。やっぱり女神だったな」
「私は…何も…」
「お前が何と言おうと、俺は何度だってお前にプロポーズするつもりだし、絶対に逃がさないからな」
「……」
「やっといい女に会えたんだ。お前じゃなきゃダメだ」
「…名前」
「え?」
「…名前、教えなさいよ」
「そういえば、そうだったな。俺は__」
「私は__」
「そういえば、聞いてなかったんだが」
「何?」
「俺はいい男になれてたか?」
「うーん、どうかな」
「はぐらかすなよ。どうなんだ」
「最初はダメダメな男だと思ってたけど」
「うっ 割と辛辣だな」
「けどよけど。途中から急にかっこよくなっちゃって…そこからはドキドキの連続だったわ」
「そこからって…どこから?」
「そこからはそこからよ」
「なぁ、教えてくれよ」
「ダメよ。だってもうハーレムなんて必要ないでしょ?」
「…そうか。そうだな。最愛の人が傍にいるもんな」
「…またそうやって」
「何か言ったか?」
「何にも。…愛してるわ」
「俺も、愛してるよ」
終わり