多様性のあるブルゾンは包容力の塊
ある時は男性の仕事着。またある時はお嬢さんのタウンウエア。はたまたゴルフウエアにもなり子供の防寒着にもなる。
はたして、その正体は?
怪盗二十面相
ではなく
彼らはブルゾン、ジャンパー、ジャケットといろいろに呼ばれます。
ブルゾン(blouson)はフランス語由来、ジャンパー(jumper)は英語由来ですが、本来の意味とは違うので和製英語の色合いが濃い呼び名だそうです。
なんとなくブルゾンと書いた方がお洒落に感じるのは、私だけでしょうか。
定義は
ゆったりとした活動的な上着全般、遊び着、仕事着、作業着、運動着、防寒着などを指して用いられる(ウイキペディア)
やはり私の想像した通りの答えが返ってきました。
作業着からお洒落着まで、そのアイテムの守備範囲はいたって広いんです。
しかも、お召しになる方の年齢も、お子様からお年寄りまで幅広い。
流石に真夏は無理ですが、それ以外のシーズンには、厚さを変えたりデザインを替えたりしながら、皆さん着用なさっています。
ブルゾンのフトコロは太平洋のように広いのです。
デザインも、中綿の入った物、裏地のある物、フードやプリントの付いているものなど、古今東西で昆虫採集をしてきた分類学者も、あわてて、お茶をこぼしてしまうほどの多様性がります。
これに合わせるパンツやインナーも、気取らず合わせやすいので、「今日は何を着て行こうかしら」と、鏡を前に1時間も彼氏を待たせるというようなことがない、便利なウエアでもあります。
こうなると、もう着ない理由が一ミリも見当たりません。
私がまだ若い頃、トップガンという映画が大ヒットしました。
そしてトム・クルーズが着ていたフライトジャケットが、いかにもかっこよく見えました。
レイバンのサングラスとともに。
たまたま当時、冬の沖縄に行く機会のあった私は、軍用品放出のお店でMA-1のジャケットを買いました。
たぶんコピー商品だったと思います。
胸に丸くイーグルのワッペンが張ってあったりして、お気に入りとなり、着やすくて5年くらいは持っていました。
もちろんレイバン=シューターのサングラスとともに。
残念ながら大型バイクは持ってませんが……それにF-15も。
あの映画以来、クリーニング店でもMA-1タイプのジャケットはよく取り扱う商品になっています。考えてみればずいぶんと寿命の長い流行ですね。
それは、現在ではお洒落儀から作業着まで、いろいろなバリエーションに進化しています。
他にはどんなブルゾンがあるでしょう。
冬の定番商品には、中綿ブルゾンというのがあります。
町中で眺めていると、中綿ブルゾンにもまた、ひとくくりにはできないほど多種多様なデザインがあります。
やはり、フードの付いているものや、ファーの付いているお洒落なものまで。
そして中綿は、きちんと計算して縫製されているものと、ただ単に身ごろに空間を作り、綿を詰め込んたものとがあります。
クリーニング店サイドから言わせていただくと、縫い取りのしてない中綿ブルゾンは極めて扱いにくいです。
洗って乾燥している間に、中綿が移動して片寄ってしまうのです。
困りものです。
春秋のまだ暖かい季節用には、中綿ブルゾンより少しスマートな、裏地の付いたブルゾンが便利です。
スイングトップなんかはこの部類に入ります。
スイングトップはポールニューマンが流行(はや)らせたことで有名です。
もちろんわたくしも持っております。
しかし、本家のバラクーダは高価なので、残念ながら違うアパレル会社のものを持っています。
白いボタンダウンシャツに紺色のスラックス。リーガルのペニーローファーを合わせて。
カジュアルよりちょっとだけフォーマル寄りにして着合わせるのが私の好みです。
至ってシンプルで何気なさそうですが、
じっさい、何もありません。
でもそこがいいんです。
スイングトップはもともとは、ゴルフジャケットの出身です。
しかし、ここでもスポーツジャケット、仕事着から映画スターを飾ったりいろいろな役目をマルチでこなすタレントになっています。
ブルゾンのクリーニングにおける注意点を、他にもお話ししまよう。
ブルゾンの裏時には、化繊のニットや、木綿の裏地が多く使われています。
この裏地は、あまり温度をかけると、縮んでしまいます。
コインランドリーなどでタンブラー乾燥させる方はご注意ください。
プリントの付いたブルゾンについて言うと、プリントには寿命があります。
プリントが剥がれたり、ひびが入ったりします。
さらに、油汚れを取ろうとして有機溶剤などを使うと、プリントが溶けてしまいます。
ですから、クリーニング店はプリントされたブルゾンに油汚れがあると慎重になります。
油汚れのそばにプリントがあったりすると、染み抜きが十分にできないこともありますので、ご理解ください。
ブルゾンは、その着やすさから多用されるため、よく汚れています。
ナイロンなどの化繊で表生地を作られたブルゾンのクリーニングには、しっかり汗汚れまで落とす水洗いが適しています。
私のお店では奥大山の軟水を使っていますから、とても汚れ落ちがよく、なおかつ繊維がふっくら仕上がる特徴があります。
ブルゾン、ジャンパー、ジャケット。
呼び名は変わっても、今年の冬に活躍した皆さんの衣料は汚れています。
ちょっと着ただけだからと油断しないでください。
エリに皮脂汚れが付着しています。
肘や袖、前見ごろに食べこぼしが付いていたりします。
シミになって定着してしまわないうちに、クリーニングに出しておきましょう。
大事にしてあげると、きっと来シーズンもあなたの期待通りに活躍してくれますよ。