【SS】クリスマスカラス②|#毎週ショートショートnote
「博士、部屋にも少しはクリスマスの雰囲気を出しませんか?」
職場の研究所は、地域住民との交流イベントのクリスマス会を開催している。植物学者の木下と助手の井上は、毎年クリスマスツリー(マツ科モミ属のモミではなく、マツ科トウヒ属のドイツトウヒ)の手入れと飾り付けを担当。クリスマスローズの庭園作りも任されている。
「我々の研究室までも公開するわけじゃないから、別に良いではないか、井上。それに、窓からクリスマスツリーが見えるし。」
「それはそうですが…」
「それに、こういうコーヒー屋のカップとかでも、クリスマスを十分感じるじゃないか。机に飲み終えたカップを並べるか?」
博士は時々、世の中の流れに逆らう程ではないが、波に乗らないことがある。浮かれたりしないと言えば聞こえがいいが、少しつまらない…と井上は思い、ボソリと呟いた。
「クリスマスから素か…」
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ダジャレ落ちです。