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【SS】羊の番に狼|#ミリしら解説(約1600字)

ミリしら、それは『1ミリもしらない言葉』を言う

No.01 蛇の道は蛇
No.02 蛇は一寸にして人を呑む
No.03 藪をつついて蛇を出す
No.04 吠える犬は噛みつかぬ
No.05 羊の番に狼
No.06 兎の罠に狐がかかる
No.07 女の髪の毛には大象もつながる
No.08 虎は千里行って千里帰る
No.09 猫に鰹節
No.10 大山鳴動して鼠一匹
No.11 鼠が塩をなめる
No.12 一斑を見て全豹を知る
No.13 鶯鳴かせたこともある
No.14 闇夜に烏、雪に鷺
No.15 蝙蝠も鳥の内
No.16 雀の酒盛り
No.17 鷹は死すとも穂をつまず
No.18 亀の年を鶴が羨む
No.19 鰯のたとえに鯨
No.20 猫に鰹の番
No.21 一匹の鯨に七浦賑わう
No.22 蟻集まって樹を揺るがす
No.23 蛙の面に水
No.24 蟹は甲羅に似せて穴を掘る
No.25 牙あるものは角なし

乙川アヤト氏の選ぶ動物に関する諺25選




神様が十二支を決めて八番目の年、つまりヒツジが初仕事を行なう年のことだった。

ヒツジは優しく熱心に仕事をしていた。毎日毎日、丁寧に世の中の声に耳を傾けて、困っていれば助けに駆けつけ、喧嘩があれば仲裁に入り… とても一生懸命にしていた。

だが、ひとつ困ったことがあった。夏の暑さだった。ヒツジのふわふわの羊毛は、炎天下では体力を著しく消耗させる。そんな中でも仕事はしなくてはならない。ヒツジは「一日でいいから、誰か代わってくれないかな」と思っていた。川辺を歩きながら、ついぼそっと胸の内をつぶやいたりもした。

そんなヒツジの思いを聴いていたものがいた。オオカミである。オオカミはいつもヒツジのことを食ってやろうと、ついてまわっていたのだ。

「ヒツジさん、僕が一日お仕事を代わってあげましょうか?」

オオカミは親切そうにヒツジに語りかけた。ヒツジはビックリしながらも、非常に喜んだ。

「えっ?オオカミさん。いいんですか?本当に頼んでしまっても…」

「はい。十二支に選ばれて毎日忙しく働かれて、お疲れだと思います。一日僕が代役を務めますから、身体を休めてください」

「ありがとうございます。お礼は必ず!」

オオカミは『一日だけではなく永遠に仕事に戻らなくても良いのだよ』とヒツジを食べよう…と思ったが、あまりにもヒツジが感謝の眼差しをキラキラとふりまくので… 「じゃあ、明日は交代しましょう」と答えた。

翌日、ヒツジは水辺の涼しい木陰で柔らかな草を喰みながらゆったりとした時を過ごした。

一方オオカミは、ヒツジの代わりに仕事を務めた。喧嘩の仲裁に出かけた時など「何でヒツジじゃなくてオオカミが来るんだよ!?」と、驚いた相手が逃げてしまうこともあった。ヒツジの代わりに駆けつければ「何でオオカミが来るんだ?」と新たな問題提起のようになってしまうのだったが、概ね「オオカミも優しいところがあるんだな」と好意的に受け止められた。オオカミも、悪い気はしないで一日を過ごした。

二匹がそんな一日を過ごした次の日…

「オオカミさんのおかげでリフレッシュできました。本当にありがとうございます。このご恩は忘れません。お礼はどうしたら良いでしょう?」

「いや… お礼なんかいいよ。僕なんかがヒツジさんのお役に立てたなら、こっちの方こそ嬉しくてお礼したくなりますよ」

オオカミは、ヒツジを食べようと思っていたことを忘れてしまうほど… 十二支の仕事の大変さを思い知ったのだった。そしてたった一日ではあったが、代役を務めることができて誇らしく思うようになった。

このような古事から『羊の番に狼』とは、当初の目的が思いもよらない結末になる… という意味を持つ。  [類似諺]瓢箪から駒が出る

《使用例》
「アイツが結婚するなんて…」
「幼馴染のいじめっ子と、だってさ。羊の番に狼だよね、まさしく」


これも なんとなく知っている諺でした。
(内容でちょっとかすっているかも)
なので(多分)本来の意味とは違う物語を
作ってみました。

#ミリしら解説
#羊の番に狼

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