【SS】立方体の思い出③｜＃毎週ショートショートnote

私、立方 体たちかた たえは時々思い出す。

中学へ入学した時、花壇の見事さにビックリした。美化委員が整備していることを知り、スゴイと思った。水を撒くだけでなく、花殻を摘んだり、雑草を抜いたりと手入れも大変。季節毎に花を植え替えたりもする。そしてそれらをほとんど一人でやっている人がいた。井上先輩だ。

井上先輩は時々、同じ委員の女子と仲良く作業していた。ちょっぴり羨ましかった。私はなんとなく勧められて入った生徒会で、なんとなく告られた会長とお付き合いしていたけれど、井上先輩の真面目さは誰よりもスゴイと思い敬愛していた。

会長や井上先輩も卒業することになり、新しく生徒会長になった私は、井上先輩にどうしても何かを伝えたかった。

素晴らしい花壇を3年間整備し続けたことを、卒業式の時みんなの前で表彰した。

本当は個人的に伝えたかったのだけど。

［378字］
生徒会長と付き合ってはみたけれど、心は井上先輩に向かっていたのでしょうね。立方 体ちゃんも恋愛に不器用な女子だったわけで。
井上はずっと植物愛一筋に、立方 体ちゃんは通訳の道を進んで、ひょんな縁で再会して…
これからが本当の意味でどうなるのやらです。

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