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mcovoy
【SS】ビジュアル系男子に教えられた琴|#毎週ショートショートnote(裏お題)
「今度こちらの高校で、音楽を担当する谷山です。宜しくお願いします」
朝礼で軽く自己紹介したが、案の定反応はなかった。朝礼台の上から、ヤンキー集団が見えた。それはそれで、関わりたくない。
桜が、花びらをはらはらと散らすように、私のやる気も一緒にこぼれていく気がした。
高校の音楽は選択教科である。どんな生徒が授業に参加するのか、恐怖の気持ちもあった。
音楽室に行くと、あのヤンキー集団がいた。金髪・長髪おまけに化粧もしている。ヘビィメタバンドを組んでいたりするのだろうか。
「谷山先生!琴できる?」
「えっ?大学で少しは習ったけど…」
あまりにも意外過ぎてびっくりした。
「俺んち、琴教室やってんだ。琴の音色っていいよな。こんな春の日とか、琴をやりたいよ」
なんだ、やる気のある子いるじゃない!
「琴はどこにあるの?」
「そこの鍵付き倉庫の中に立てかけてあるはず」
私は琴を出し、まず調律してから『さくらさくら』を思い出し弾いてみた。
「超初心者じゃん、ウケる〜!俺が琴やるから、先生はピアノ弾いて!」
『さくらさくら』の琴とピアノのセッション!を授業でやるとは思わなかったが、楽しかった。あと、人を外観で判断してはいけないな…と反省もした。
[約530字] 博士出番無し
裏のお題は、字数オーバーで…ごめんなさい。
ちょっと学園青春もの風にしました。