【SS】生き写しバトル|#毎週ショートショートnote
「えっ、研人?あ、そんな訳ないか…」
高校に進学し、正門前のみごとな花壇や生物観察研究用のビオトープを、熱心にじっと見学していた井上は、突然見知らぬ女子に話しかけられた。
「人違いですね」
「そうね。研人がここにいるはずないんだし。ごめんなさい。あまりにもそっくりで、生き写しみたいで…」
「僕があなたの彼氏さんに、そっくりだったのですね。なんか失礼しました。じゃあ…」
「事故で死んじゃったの。でも良かったら、私たち付き合いませんか?あの… イイナと思うので」
井上は初めての女子からの告白に(理由は想定外だったが)ちょっと心が躍って、受け入れた。
しかし彼女はすぐ元彼の名前を口にする。「僕は、清敬だよ」何度伝えても覚えない。元彼の面影と彼女は付き合っているのかと思うと、悲しくなった。
「清敬は研人に勝てない」
突然彼女から引導を渡されて、僕たちは別れた。
恋愛バトルには、もう二度と参戦しないと誓った高校1年の春だった。
[437字] ルビ編集分含む
久しぶりの『博士と助手』シリーズです。
助手の井上の高校時代の苦い思い出を描いてみました。約一年前に、この話につながるようなお話があったので、無理矢理スピンオフみたいな感じで😅
でも、書いていて楽しかったです。恋に奥手な井上がどうして生まれたのか… そんな感じで読んでいただけたらと思います。
元の話はこちらに… ↓
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