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【SS】神様時計②|#毎週ショートショートnote

植物学者の木下と助手の井上は、ブラジルへフィールドワークの足を伸ばしていた。植物も昆虫も、珍しいものがたくさん見られる。博士たちは、ジャングルの奥で不思議な植物の群生地を見つけた。

「博士、これはトケイソウ属のトケイソウですね。しかもこんなに…」
「見てみろ、井上!あの、ひときわ大きな花を。」

そのトケイソウは群生の中、天に近い位置で直径1m位の巨大な花を開き、下界を見下ろしているようであった。

「なんと神々しい…」
「まるで神様のようですね。」

二人は時の経つのも忘れて、巨大なトケイソウをただただ見つめるだけであった。

「これは、学会に報告しない方がいいな。ここの世界は我々の胸の中だけにしまっておこう。」
「私もそれが最良だと思います、博士。」

二人は写真も撮らずその場を去った。

(ありがとう)

神様のトケイソウはつぶやき、二人がジャングルで迷子にならぬよう、草たちに指示を出した。


[402字]

時計だからトケイソウ。ちょっと安直でしたが、海外までフィールドワークさせてみました。
不思議いっぱいワールドです。

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