【SS】デジタルバレンタイン|#毎週ショートショートnote
植物学者木下の助手をしている井上は、最近は花粉の研究をしている。
顕微鏡から見える世界は心が躍る。光学顕微鏡でも幻想的に見えるが、走査電子顕微鏡の画像はどこか宇宙感が漂う。花粉がまるで謎の小惑星のよう。井上は、宇宙遊泳している気分になる。
井上は宇宙空間で、一つの星を見つめていた。それは『星の王子さま』のいる火山が三つある小惑星よりも、もっとたくさんの火山があって、火山と火山の間には花が咲いていた。
「あの星に咲く花はなんだろう」
井上は近づこうとするが、なかなか思うように体が動かない。もう少し、もう少し… 気持ちばかり先走る。火山に近づきすぎて、触れてもいけない。井上は途方に暮れていた。
ルルルルル…♪
ハッと現実に戻る。博士からの電話だ。
「まだ残業してるのか?井上。今日は何の日だ?誰かが悲しんでいるぞ」
メールをチェックした。
立方さんからのメールに、驚きつつも心が和んだ。
[410字] ルビ編集含む
デジタルバレンタインというお題でSFチックな作品ですと… (๑•ૅㅁ•๑) 無理😭
最近ご無沙汰の『博士と助手シリーズ』で、ほんのちょっぴり片想い女子:立方さんの話を書いてみました。
井上が顕微鏡で見ていたのは、アサガオの花粉…のつもりです。あの花粉の画像を見たとき、星の王子さまの小惑星⭐️を思い出しました。でも、TOP画像はタンポポの綿毛写真を編集したものです😅 雰囲気だけお借りしました。