【SS】違法の健康②|#毎週ショートショートnote
「博士、それは何の本ですか?」
童話のような本を手にしている植物学者の木下に、助手の井上は思わず声をかけた。
「あぁ、宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』だよ。井上も読んだことあるかい?」
「大飢饉で両親を亡くし妹も人買いにとられ、職を転々としながら、火山局の職員になったグスコーブドリ少年のお話ですね。噴煙に農薬を混ぜて地域の農作物育成を助けたり、雨を適当な時期に降らせたりと活躍していたら、また冷害が起きそうな雲行きで、火山を爆発させるため自分が犠牲になるという 献身的な少年の話しでしたよね。しかし何で?」
「改めて読み直すと、いろいろ気になってな。この話の「オリザ」は、恐らく稲のことだ。稲の健康や増産のために、人為的に火山を噴火させるとか法的にどうなんだろう。井上。」
「国益になると考えたら、法律改正とかするでしょうけれど…」
木下博士は時々、突拍子もないことを考えている。
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なんとなく、先週の『感想文部』みたいな内容になってしまいました。
今回のお題は難しかったです。
裏のお題はクリア…できるかな😭