【SS】恥ずかしがり屋の立方体|#毎週ショートショートnote
隣の席に転校生の女子が来てから、僕の胸はドキドキしっぱなし。
「教科書、見せてくれる?」
「いいよ。」
でも、僕はとんでもないことに気がついた。
ー ヤベェ!パラパラ漫画が描いてあるのを見られちまう…
「あ、漫画だ!」
気付かれてしまった。馬鹿な奴と思うだろうな。
「面白いね。後でちゃんと見せて。」
ホッとしたけれど、何故か胸の片隅がキュンとした。
漫画は、真四角の箱がコロコロ転がっていくシーンを描いただけなんだけど…
「これの続きを私も描いていい?」
「いいけど…」
こんな絵の続きなんて、何を考えているんだろう。また、ドキドキしてくる。
「できた。」
彼女は自分のノートの隅に描いてきた。
「さて、これからどうする?」
パラパラすると、僕の箱はまん丸な球にぶつかって止まっていた。
「どうするの?」
「一緒に転がる?」
「いいね。」
僕の箱も心もコロコロと踊るように転がっていった。
☆
青春してないで授業に参加しろよ!なんて言いません。こんな思い出、あったような無かったような…