【SS】執念第一②|#毎週ショートショートnote
「井上!新聞を読んだか?」
植物学者の木下教授が珍しく興奮している。
「例のショートショートコーナーですか?博士の投稿は載っていなかったと思うのですが…」
「違う!そっちじゃない。地方版のところだ。ほら、見てみろ!」
助手の井上は、博士から渡された新聞の指さされた記事を読んでみた。
「なんと…これは、私たちの思いが通じたんですね。素晴らしい!」
そこには、井上が愛してやまなかった駄菓子が、製造中止から一転、他社で継続製造されることになったことが記されていた。極秘レシピをそのまま引き継ぎ、デザインも変えないという誠意ある対応の企業に、製造を委ねることにした…とのこと。
「ほぼ毎日、アレの復活嘆願の葉書を送りましたからねぇ…」
甘酸っぱい初恋味と、ほろ苦いビターな失恋味のふわふわモコモコした雲みたいな駄菓子。
そんな駄菓子を愛した井上たちの陳情攻撃が恐らく実って、見事に復活した。
執念第一である。
[410字]
井上(たち)の執念で、製造中止の予定の駄菓子が復活した…という、夢のようなお話です。