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ainokiseki
【SS】ブーメラン発言道②|#毎週ショートショートnote
「その後はどうなんだ?井上」
「なんのことでしょう、博士?」
植物学者の木下と助手の井上は、駅から研究所までの通勤路、途中に商店街もあるのだが、そこを通る時いつもこんな会話をしていた。
「通訳の彼女とは、進展がないのか?」
「別にないです。博士こそ彼女のことを、もしかして好きなんじゃないですか?僕など気にせず、ご自分がアタックされたらどうです?」
「私は若い女性よりも植物の方に興味があるからな」
「僕だって同じですよ。もう、この話は無しにしてください」
博士が話をふらなくても、博士が根回しをしたせいで、商店街の人たちも「彼女は元気か?」などと聞いてくる。
ある日、いつものように聞かれたので「いや〜、ついに愛想を尽かされて振られましたよ!」と、ポロッと嘘を答えたら、噂は一挙に広まって…
商店街のお年頃お嬢さんを勧められる日々。何故か、通訳の彼女と比較してしまう自分に、なんだか納得のいかない井上だった。
[410字]
通訳の彼女の話で、博士と助手がなんやかんやとブーメラン発言しているというか…
ちょっとは井上も意識するようになったのかな。