【SS】大増殖天使のキス②|#毎週ショートショートnote
植物学者木下の助手である井上は、ガーデニングの天才である。花壇を作らせれば、瑞々しい花を次々と咲かせ、長い期間楽しませてくれる。
「バラが良く育っているじゃないか。土壌か肥料を改良したのか?井上」
「いいえ。特に何もしていません。博士」
「ほら、特にポーチュラカを植えた場所の隣にあるバラ… あれの生育が著しい。これは、研究題材になりそうだな、井上」
「確かに。あそこの土は、特に何もいじってはいないのですけれど… 調べてみる価値はありそうですね」
ポーチュラカの花壇の隣は、バラ園で様々な品種のバラが植っているが、今、特に咲き誇っているのは『エンジェル キス』と呼ばれるバラだ。薄いピンクの濃淡がある小さめの花で、ウェーブのかかった花びらの縁はグリーンがかかっている。枝先に一輪だけ咲かせる姿は、可憐でいながらも凛としている。
ー なにか良いことがあるといいな
井上はそんなことを思いながら、水をやる。
[410字]
最近、ぱっと書いて文字数チェックすると410字になっていて、なんか不思議な能力が付いた気がしています。
失恋墓地じゃないけれど、なんかそういう謎のエキスで、花が咲いているみたいな… 雰囲気で書いてしまったけれど、井上の今後?を予感させるような話にしてみました。