【SS】会員制の粉雪|#毎週ショートショートnote
「お好きな曲は?」
「ポルカ!」
「あなたを会員と認めます」
森を抜けたところにある隠れ家風レストラン『大石亭』。別に好きな曲がポルカではなくても料理は食べられる。しかし、懐かしのおとめチック漫画家を今も推すファンが集う場でもあった。『粉雪』という名の会員になると、奥の会員ルームに通される。
「初めまして。新しい会員だね」
「初めての注文は、当然…」
「「「オニオングラタンスープ!」」」
初顔合わせの見知らぬ者同士が、一斉に笑顔で答える。
「君は学生さん?」
「はい、絵を描いてます。うふふ」
「上野くんと同じじゃないか!すごいな」
ここでは『粉雪ポルカ』という漫画の世界の話が交錯する。だから…会員制なのだ。会員と認められると、赤い絵の具のストラップをもらえる。
「どうやって来たの?歩き?」
「ちゃんとアレに乗って来ましたよ」
「まだアレが現役で走っているとは。色は?」
「もちろん…」
「「「三日月色?!」」」
さすが粉雪の会員たちである。
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もうね… 頭の中が『粉雪→粉雪ポルカ→陸奥A子』の無限ループでした。今、手元に無いけれど、陸奥A子さんの作品で私が一番好きなものかもしれません。りぼんのカラープリントの付録で、めちゃくちゃワクワクしながら読んで、物語の世界にどっぷりと浸っていたことを思い出します。
↑の記事で「アレ」と称している乗り物は「ラッタッタ」と呼ばれていたミニバイク(ホンダ・ロードパル)です。主人公が黄色い愛車(ラッタッタ)に『三日月丸』と名付けていました。