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数学ゴールデン5|#漫画感想文

表紙は、音速の貴公子:芹沢英二(ロイヤル高校)でした!ちょっぴり、ダイスケ先輩かも…と思ったけれど。

その昔「大学に進学したら四色定理を解いてみたい」な〜んて夢を見ていた私。数学が得意だったわけではなく、ただ単純に問題を解く時のワクワク感が好きだった。数学の教員免許も取ったけれど、そちらの方面には進めず、今は小学校の放課後児童たちの見守り活動をしている。

振り返ると、あの若くてまだ柔軟な思考とやらができていた頃に、興味のあるものに精一杯打ち込める環境にいられたことは、幸運以外の何物でもない。好きなものに打ち込める時間があったことは、本当に幸せだったと心から思う。

さて、この『数学ゴールデン』(作者:藏丸竜彦)を読むと、学生時代の空気とかを思い出す。数学オリンピック出場に向けて、ひたすら数学三昧な日々を送る主人公の小野田春一はるいちたちには負けるが、初めて目にした新しい定理とかを証明するのに、黒板の前で何度も書いたり消したりしたり格闘したことは良い思い出だ。その定理が世の中のどんな部分で役に立っているのか、それともただの知識の集積なのか… そういう損得勘定を抜きにして、誰かと真剣に解き合う時間が幸せだった。

前回の4巻では、春一が己の数学力に対して「上には上がいる」ことを身をもって知り、打ちのめされ夢にくじけそうになったが、それでも楽しむ気持ちは誰にも負けないこと、そして何より仲間がいることを知り、七瀬やダイスケ先輩と共に『数学甲子園』に出場。今回の5巻では、そこでの二日間の数学バトルの様子が描かれている。

甲子園の結果についてはネタバレとなるから書かないが、途中の昼休み休憩の場面がちょっとお気に入り。お弁当を食べながらの他校生徒との交流… 春一も何かいい感じの質問がないか考えていたが、ダイスケ先輩が「難しい問題って、どうやったら解けるようになるっすか」と、ストレートに投げかけた。

『数学ゴールデン5巻』 p.60〜61

この、手をパタパタさせながら「行と行の間の飛躍しているトコロを、ちゃんと理解すること」とおっしゃるロイヤル高校の数学部顧問:片桐先生の言葉には頷きしかない。わかったつもりで前に進もうとしても、進まないのだ。砂上の楼閣の如く、あやふやな仮定ではあやふやのまま、たった一つの反例で築き上げた証明が崩れてしまったりもする。数学には「◯◯は××の定理により明らかである」みたいな文章がたくさん出てくるが、このたった一行が「正しい」と理解できていないと、次の命題に進めなくなることが多々ある。そして、そこから「◯◯が××の定理で明らかならば、△△の場合でも成り立つのではないか」のような発想が生まれたりする。

屁理屈をこねているみたいだが、でも一つの命題に対して皆が同じ認識のもとに会話を重ねて、何かを証明したりする達成感や爽快感は快い。自分一人でコツコツと導くのも有りかもしれない。しかし、数学ゴールデンの世界では、より多くの仲間たちに出会い、お互い切磋琢磨し、知識を高めあうのだ。

おしまいの方で七瀬が「ワタシにとって数学は考える力を学ぶモノ、そして頭の中でできる大冒険」と、新たに同志となった部員に語るのだが、私にとって数学は、まさに七瀬と同じ意識だった…かもしれない。

次巻ではヨーロッパまで…行っちゃうんですか?藏丸先生!?

#漫画感想文
#数学ゴールデン



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