【SS】キンモクセイ盗賊団の池|#毎週ショートショートnote(裏お題)560字😅
「最近、研究所のキンモクセイの枝が折られたり盗まれたりしていませんか?博士」
「樹形が整っていないのは、やはり盗賊団の仕業なのだろうな、井上」
「一人なのか盗賊団なのかはわかりませんが、誰かがキンモクセイを傷つけているのは確かですね」
植物学者の木下教授とその助手:井上は不届者を探そうとしたが、意外とすぐに犯人はわかった。
花がこぼれ落ちた先を辿ったら、近所の古民家だった。縁側に老女がひとりポツンと座っている。
「すみません、この家の方ですか?」
井上が話しかけた。
「あら、お客さんだね。お爺さんのお友だちかしら。あいにく主人は昨年末に亡くなったから… 」
仏壇にはキンモクセイが活けてあった。
「主人はキンモクセイが好きで、庭の池脇に植えて愛でていたけど、今年は何故か咲かなくってね。なんで咲かないんだろうねぇ。もう咲かないのかしら」
博士は井上に目配せした。
「ご主人は剪定や堆肥をちゃんとなさっていたのですね。大丈夫。これからは私たちが代わってキンモクセイの面倒をみますから」
老女は明るい笑顔になった。
「あの池がミカン色に染まるのも楽しみにしていたのだけれど…」
「明日にでも叶えてさしあげますよ。今日はこれで」
博士はそう言って井上と研究所へ帰った。そして樹木の下にたくさん落ちていた花殻を袋に詰めて、老女の池へ届けた。
[560字] 字数大幅オーバー😅(開き直り)
金木犀の剪定は誤った時期(春先〜夏)にすると花芽を摘むため咲かなくなるそうですし、栄養が足りないと花も咲かないそうです。虫も付きやすいそうで、虫に栄養を採られているのかもしれません。
また、日光を好むので他の植樹で半日陰状態になっていたりすると、花もたくさん咲かないかもしれません。
博士と井上に診てもらって、また花が咲くようになると良いですね。
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