【SS】宅急便の魔女|#ストーリーの種
宅急便で送られてきたのは、魔女でした。
「ええっ?俺が頼んだのはマッチョだったのに…」
男は開けた箱を閉じ、返品手続きをしようと思いましたが、魔女はすでに箱から出ていました。
「ねぇ、お兄さん。魔女じゃダメ?」
「ダメだよ。一緒に筋トレしたかったんだから。」
なるほど、男の体格もなかなかマッチョでした。部屋の中も、さまざまな筋トレグッズであふれており、棚の上にはポージングする像の載ったトロフィーがいくつかありました。
「私が筋トレのコーチをしてあげる!ダメ?」
「じゃあ、何かひとつコーチっぽいことやってみろよ!」
「プッシュアップ(腕立て伏せ)を10回、それを3セットやって。ただし、時々魔法をかけるから、その時は重く感じるようにします。ダメ?」
「ちょっとやってみるか!」
男はプッシュアップを始めました。頭から爪先まで一直線となるようにして、肘を曲げ床にスレスレまで体を下ろし、ゆっくりと起き上がる…のですが、魔法の力で起き上がれません。
「ちょっと力が強すぎるよ。」
「あら、意外と根性なし。ダメね〜」
「根性はあるぞ!でも重すぎるって言うか…」
「まぁ、失礼なダメ男ね!私が重いですって?」
魔法ではなく、男の背中に魔女が座っていたようです。
「もういいよ。魔女は返品だ!」
男がプッシュアップをやめようとしたら、魔女はマッチョに変身しました。
「これでどう?」
マッチョになった魔女は、さっきよりも重くなっています。男はマッチョの尻の下に敷かれて、動けなくなりました。
「マッチョより魔女の方がいいよ。だからどいて…」
男は魔女と筋トレをすることになりました。
[約700字]
ハロウィンなので、こんなお話作ってみました。
魔女が出てるだけで、全然ハロウィンな内容ではないですが😅
今回もSheafさんの『ストーリーの種(53)』から書出しをお借りしました。