星が降る眠れない夜に|#曲からストーリー
楽しそうな企画に参加します。その企画は…
曲から物語をイメージするのは、とても面白そうだし、今回はふと…思いつきました。もともと、あの作品を考えていた時に、なんとなくいつも頭の中に流れていたことを思い出して。
お話の元歌は、SEKAI NO OWARI のスターライトパレードです。もう10年以上前の曲なんですね。
自分の作品のスピンオフというか、裏側の物語となりましたが、読んでいただけたら嬉しいです。
星が降る眠れない夜に
一匹狼の俺は、いつだってひとり。
友だちなんていない。いたこともない。
眠れない夜には、そっと寝ぐらを出て外を歩く。
別になんの目的もないんだけれど
夜風にふれるのが
ちょっとだけ気持ち良かったのかもしれない。
◇
あの夜、あいつと出会った。
夜風がそよぐ草原で。
こんな所に、人がいるなんて思わなかった。
それも、たったひとりで寝転んで。
お互いにビックリしたけれど
何故かそれで別れる気にはならなかった。
「…何をしている?」
「星をみているんだよ。きれいだろう?」
俺は、星を知らなかった。
注意して夜空を見上げたことなどなく
ピカピカしているもの…
そんな程度の認識だった。
しばらく一緒にながめていた。
あいつの話しだと、星というものは
一晩かけて空をぐるっと回るらしい。
ずっと見ていたが、そんな風に思えなかった。
その時、星が流れた。
俺は一目散に星を追いかけた。
星を見つけて拾うために。
あった。
キラキラと輝いている。
さわると硬くて冷んやりして
舐めると… なんの味もしなかった。
「星を拾ってきたぞ。」
星を渡すと、またあいつはビックリした。
俺は星に興味も無くなったし
そこで別れることにした。
「僕は君に会えて嬉しかったよ。ありがとう。」
あいつはにっこりと笑って、俺とさよならした。
◇
あの日から、どれだけ経っただろう。
俺は相変わらずひとりだし
眠れない夜になると、そっと外に出る。
ただ、歩き回るだけではなく
星をながめるようになった。
そして、流れ星を見ると探しにいくが
あの日以来、拾えたことはない。
あいつと出会った草原にも何度も行ったが
あいつにも、他の誰とも会えたことはない。
あいつは元気でいるだろうか。
俺の渡した星を、まだ持っているのだろうか。
できたらあの星が、あいつのことを
しあわせにしてくれていますように…
俺は、今夜も星空の下を歩く。
そして今度は自分のために
星を見つけたい。
でも、きっとあいつに
届けに行きたくなるんだろうな…
[約900字]
元ネタの作品はこちら。
なんだかいろいろと懐かしくなりました。