【SS】鋭利なチクワとバールのようなチワワ|#毎週ショートショートnote(裏お題含む)
「これは新種かもしれないぞ、井上!」
とある山を植物学者の木下と助手の井上が散策して、木下博士が突然叫んだ。
そこは小さな竹林だった。よく見かける竹…イネ科イネ亜科マダケ属…などとは確かに違う。茎の様子がなんとなく角ばっている気もするし葉の付き方も違う。何より稈、節の部分だ。とても鋭利なトゲが、竹の稈に輪のように生えている。でも新種ではないんじゃないだろうか。
「博士、これは… シホウチクではないですか?」
「なるほど、生垣によく使われる竹か… 確かにそうかもしれないな、井上」
気まぐれな誰かが株分けして山奥に植えたのかも… そんなことを語りながら歩いていると、愛犬を連れて歩くハイカーに会った。とても小さなチワワだった。
「こんにちは」
挨拶を交わして別れた。
「なぁ、井上。いつかフランスでトリュフ狩に付き合ったことを思い出さないか?で、あの時の子豚、可愛かったな」
「バールくんでしたね」
井上もチワワを見て、バールくんを思い出していたようだ。
[423字] 字数と〆切オーバー😭
書いてたら寝落ちして… 次のお題が出る前に投下。
久々の博士と助手シリーズです。
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