【SS】秋の空時計|#毎週ショートショートnote
最近仲良しになった秋山君は「アキ」とクラスのみんなから呼ばれている。私もそう呼んでいるけれど、個人的には春夏秋冬の「秋」をイメージしている。なんとなくちょっとクールで飄々とした感じがするから。
秋は授業中よく窓の外の空を眺めている。窓側の席だからかもしれないけれど、休み時間友だちとふざけ合っている時も、たまに空に視線を向けている。
「秋は空を眺めるのが好きなの?」
放課後、たまたま教室で二人きりになった時に聞いてみた。
「好きなのもあるけれど、実は時計代わりなのさ」
秋は空に浮かぶ雲の形の変化で時の経過時間がわかるそうだ。例えば1時半に雲を見始めたら、その後は雲の変化で「今は3時10分くらいかな」とわかるし、けっこう合っているそうだ。
「ふ〜ん、すごいね。秋の雲というか空時計は…」
私は感心して、秋と一緒に夕焼け雲を眺めた。
「時計、止まんねぇかな…」
秋は真っ赤に染まっていた。
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これは『秋が好き|#シロクマ文芸部』からのスピンオフ? ↓