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【SS】釜揚げ師走|#毎週ショートショートnote

めっきりと冬らしい気候になったが、クリスマス前後のうどん屋は洋食店ほど賑わない。閑古鳥こそ泣いてはいないが、いつでも座れてうどんが食べられる。

そんな師走のある日のこと。小学生くらいの姉と弟らしき子どもが入店した。

「いらっしゃいませ。ご注文は何かな?」
「あったかいおうどんを一つ…」
「二人で半分こするのかな?」
「はい…」
「かけと釜揚げとあるけど、どっちがいい?」
「おうどんが多い方で…」
「じゃあ、釜揚げかな。毎度!」

お小遣いでおやつのつもりで食べに来たのだろう。ほんの少しうどんの量を増やし、茹でるのも長めにして麺を伸ばした。

「はい、釜揚げうどん一丁!」

分け合うお椀も出して二人の前に置くと「やったぁ!」と喜んで食べ始めた。

近々弟の誕生日らしい。何が欲しいか聞くと、うどんが食べたいと言うので連れてきたとのこと。自分も食べたかったそうだ。

「ありがとうございました。またおいで」

正月明けに来たら、お餅のサービスしてあげよう。


[410字]

どこかで聞いたような(『一杯のかけそば』)話だけど、お年玉もらったらまた食べに来てね…というお店の希望もあります。
で、私は力(ちから)うどんが大好きです😍
鍋焼きうどんも良き🥰

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