【SS】風見鶏ローディー|#毎週ショートショートnote(裏お題)
ローディーは風見鶏。屋根のてっぺんに立ち、風に吹かれて、いつもクルクルと向きを変える。
ローディーは風の向きを知らせるという使命に、とても誇りを感じていた。つむじ風で目が回りそうな時もあるけれど、屋根をしっかり足でつかみ、大切な使命を果たすのであった。
誰よりも高い所にいるので、遠くの世界がとてもよく見える。風が穏やかな日には、畑を耕す人々の姿を眺めたりするのが好きだった。
特にお気に入りなのは、畑の向こうに見える家に住む、三つ編みの女の子だった。畑仕事の手伝いにも良く顔を出していた。強い風が吹くとローディーのことを見つめて「今のは西風ね」と、スカートを押さえながら周りの家族たちに教えていた。
ある日、台風が来た。これまで何度も強風に耐えてきたローディーだったが、足が屋根から離れてしまった。
畑の真ん中に横たわるローディー。あの三つ編みの女の子が拾った。
「今度は私のお家で鶏小屋の番人になってね」
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普通に風見鶏ローディー物語となりました😅