【SS】祈願上手と奇岩シューズ|#毎週ショートショートnote(裏お題含む)
「いや〜、スゴイねぇ。ここまでお参りに来る人がいるんだね」
番組の企画で某神社を訪問している。かなり山奥へ来たが、今までの番組の流れだとこれで終わりのはずがない。
案内役の地元の物知り爺さんが言った。
「へぇ。だども、この先に本当の神様がおられますじゃ。願い事を成就させるにゃ、この先まで行くんが祈願上手なんじゃが」
なんとなく伝わる地元の言葉に「祈願を成就させるにゃ、先まで行くのが祈願上手なんですね」と笑いながら爺さんの後ろを着いていく。それにしても険しい山道だ。
「ほれ、あっこの岩をご覧なすって。神様んとこまで案内する岩ですじゃ」
六角形をした特徴ある変わった形の岩だ。
「柱状節理ですな。この辺はマグマが隆起して生まれたんじゃか」
爺さんの口調が移ったような返事をした。
「あ、これに履き替えたらよろし」
爺さんは草鞋を出した。確かに登山靴よりも、草鞋の方が勝手が良さそうだ。
「祈願用に奇岩対応のシューズですな」
笑いながら俺たちは履き替えた。
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頭の中に『ブラタモリ』のような風景が浮かびました。
最近は表と裏の同時消化(消化してるのか?)にハマっています。