【SS】オノマトペピアノ|#毎週ショートショートnote
今年もショパンコンクールが開催される。誰が優勝するかも気になるが、どこのピアノが演奏に多く使われるか…も気になる所。予選から本戦まで、最後まで残るピアノメーカーはどこなのかも注目される。
今回の練習用ピアノは、スタンウェイやファツィオリ、ヤマハやカワイと並んで、新たに日本からオノマトペピアノが登場した。
創業者がピアニストで、自分のために自分の思い描く音色が奏でられるピアノが欲しくて、長いこと開発していた。やっとたどり着いたその音は、演奏者の気持ちが、まるで耳元でささやくように伝わるし、目の前に世界が広がるようだった。
彼はそのピアノと共に演奏を続け、ショパンコンクールへ出場を果たした。彼以外そのピアノに触れたことのあるピアニストはいない。
「このピアノはなんだ?」
試しに『子犬のワルツ』を弾くと、自分の尻尾を追いかけクルクル回る犬の姿が目の前にポッと浮かんだ。
誰もが、たちまち音色の虜となった。
[410字] 博士出番無し
あのコンクールで選ばれたピアノたちは、本戦に向けて、ピアニストたちの好みのキータッチにしたりとカスタムされるそうですね。いつかテレビ番組で観ました。オノマトペピアノは、初めから自分用にカスタムしてあってズルい気もしますが… これを機会に、販促が進むかな。
※追記
『子犬のワルツ』(Chopin Op.64-1)を聴くと、トコトコ、ぴょんぴょん、クルクル、キラキラ、ワンワン、ニコニコ…そんな言葉が浮かびませんか?