オムレツ|#シロクマ文芸部
「食べる夜食は… 今日はこれ!」
夫が残業で、外食して帰ると連絡があったから、私も外食することにした。マグロの刺身を買ってあったけど、漬けにでもしておけば明日食べられるし。それに、たまには一人で贅沢気分も良いんじゃない?
電車に乗って隣町へ。駅ビルのレストラン街に行った。夕飯時のピークは過ぎていたから、どの店も割と待たずに入れそう。私は、かねてから入ってみたかった店を選んだ。オムレツ屋さんだ。
夫と、このレストラン街でたまに食事をしたりするが、一度も入ったことがなかった。「どこがいい?」と聞かれて「◯◯かオムレツ屋さん」と答えると、いつもオムレツ屋ではない方になるから。夫もオムレツが嫌いなわけではないのだろうが、寿司や天ぷらの方が好きなんだと思う。
「いらっしゃいませ。お一人様ですか?こちらの席へどうぞ」
入り口脇の、他店が見える窓際の席。店内は木目調のカントリー風な作りだった。私以外は、みんなカップルだった。まぁ、別に気にしないけど。
デザート付きのオムレツセットにした。ソースを選べるのだが、王道のデミグラスにした。デザートはプリンらしい。飲み物はホットの紅茶を選んだ。
一応、メニューや入口のショーウィンドウで見て知っていたが、ソースはオムレツの上ではなく下に添えられていた。綺麗に焼いたオムレツを見せたい…のだろう。自分でオムレツを切り分けて、下のソースに絡めて食べるのだ。そして、そのオムレツだが…かなり大きかった。写真やディスプレイは多少盛ってあると思っていたので、これは嬉しい誤算!
デザートは食後に来るのではなく、皿の横に既に添えられていた。硬めの蒸しプリンだった。なんとなく懐かしい感じがする。カラメルソースのちょっと焦げた香りが好き。オムレツのデミグラスソースの塩っぱさと、プリンからの甘い香りとで食欲が増進する。
一人で熱々のオムレツをほおばり、時々プリンのほろ苦い甘さでニンマリし… あっという間に贅沢なひと時は終わってしまった。
帰宅した夫に「今日は私もレストラン街行って、オムレツ食べてきたの!」と伝えたら「あそこのオムレツでかいだろ。あ、お前なら食い切れるか…」と返事が。なんだ、夫は既に体験済みだったのね。
これ、小説じゃなくてほとんどエッセイよね?多少脚色してはあるけど…(私小説ということで)