【SS】伝書鳩パーティー②|#毎週ショートショートnote
学会終了後の交流パーティーに、植物学者の木下と助手の井上も出席した。久しぶりに世界権威のハナ・ヘンダーソン教授も来日し、その通訳として立方 体も参加していた。
挨拶を交わして別れ、立食の続きをしていたら、突然博士がメモをよこしてきた。
「すまん、井上。ハナ教授に、至急このメモを届けてくれないか?」
「わかりました」
混んでいる会場でハナ教授を探すが、なかなか見つからない。
「あ、井上さん!ハナ教授から頼まれたんですけど…」
通訳の立方さんが、声をかけて来た。
「僕も博士から頼まれてて… じゃあ、これを」
二人はメモを交換して戻った。すると博士はすぐに返事を書いて、再びハナ教授に届けるよう告げる。同じように、立方さんも現れた。
「僕たちは伝書鳩扱いですかね」
苦笑いしながらメモを交換し、主の元へ戻ると…主がいない。
メモには、どちらも同じ文が書かれていた。
let it be
[415字] ルビ編集分含む
今回初めてこの記事を読んだ方には…ちょっと意味不明の世界ですよね😅
植物学者の木下と助手の井上は、山形出身者。で、通訳の立方は、井上の通った中学の一年後輩女子。密かに井上を慕っている…のですが、井上は朴念仁なので周り(博士や、今回はハナ教授も)が密かに世話を焼いている…そんな世界です。
ついでながら、最初に渡したメモには Could you
help her ? 辺りの文章じゃないかと…(なんかできることあるかな的な)