【ちょっとエッセイなSS】星屑ドライブ|#毎週ショートショートnote(裏お題)
「残業で出発が遅くなってごめん。渋滞にも巻き込まれたし。これじゃ、着くのがいつになるか…」
「私はいいけれど、お母さんたちが心配でしょう?」
「よし、下道走るぞ!どうせ遅くなるなら、ノロノロしてるより動いている方がマシだ」
「大丈夫なの?」
「平気だよ!」
職場の同僚でもある彼の実家へ、婚約者として紹介されるための帰省ドライブ。いわゆる週末だったので、郊外に向かう道は混んでいた。
高速を下りて、よくわからない山道を走る。民家を見かけなくなってずいぶん経った。 私たちは、道を間違えてないだろうか?
「ねぇ、迷子なんじゃ…」
「なってねぇよ!」
さっきから、ずっと同じ会話を交わしている。
「あ!」
突然、道の片側の視界が開けた。満天の星空の下に、小さな町の営みの灯りも見える。
「キレイ〜!」
彼は車を停めて、得意そうに笑った。
「ほら、迷子じゃないだろ?この風景、見せられて良かった!」
[410字]
約40年前の、旦那の故郷へ連れて行かれた時のエピソードです。ほぼ実話。場所は、多分月夜野です。まだ、関越トンネルが開通していなかった頃で、新潟方面に向かう一般道?が、いろいろあったようで、私には迷子だと思える道も、旦那は普通に運転していたようです。
BGMは、当然のように、さだまさしの『天までとどけ』でした。
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