見出し画像

【SS】お姫さまラッコ|#毎週ショートショートnote(裏お題)

ラッコだって夢をみる。
いつかすてきな王子さまが迎えにくることを。

ジャイアントケルプにくるまり波間を漂いながら
ラッコの女の子はいつも考えていた。

あのお空の上に光っている大きなまるいものは
なにかしら。とてもやさしく、私のことを守って
くれているような…

ラッコの女の子はお月さまをながめながら
脇にかくしてあるお気に入りの石を空にかざし
月と同じように輝くのを見て… ため息をつく。

三日月の夜のこと、ラッコの女の子は
お気に入りの石で食事中、
うっかり海中へ落としてしまった。

待って、私の石!

でも、重しの代わりにもなる石がないことで
なかなかうまく潜ることができない。
お気に入りの石は、どんどん沈んでいく。

待って!私の石…

その時、なにかがすばやく横切って
沈んでいく石を見事とらえてくれたのだった。

はい、どうぞ。おじょうさん。

この辺では見かけない男子のラッコだった。

ありがとう。

二人は海の上に出た。
三日月形の石を持った彼が王子さまに思えた。

[410字]

ちょっと中途半端な片想い物語みたいな…

#毎週ショートショートnote
#ショートショート
#お姫様ラッコ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?