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1年目から託される非常識な挑戦。新卒入社の若手技術者座談会

TBMでは2022年から研究開発職の新卒採用を行っています。
この記事では、2022年、2023年、2024年に新卒入社したメンバーのうち、テクノロジーセンター、プラント事業部で研究開発、エンジニアを担う6名にインタビューを行いました。

TBMでは、研究開発職の他にも営業職やコーポレート職の新卒採用も行っています。
[新卒採用入社者内訳]
2021年度:11名(学部卒比率:100%、修士/博士卒比率:0%、女性比率:45.5%
2022年度:6名(学部卒比率:83.3%、修士/博士卒比率:16.7%、女性比率:50.0%)
2023年度:9名(学部卒比率:66.7%、修士/博士卒比率:33.3%、女性比率:33.3%)
2024年度:5名(学部卒比率:40.0%、修士/博士卒比率:60.0%、女性比率:40.0%)



#1. それぞれのルーツから、TBMでの挑戦を決めた理由


ー最初に、TBMに入社した理由をお一人ずつ伺っていきたいと思います。学生時代の経験から、なぜスタートアップであるTBMへの入社を決めたのでしょうか。

テクノロジーセンター 堀之内
私は元々、食糧問題に興味がありました。人口増加によって将来的に食べ物の取り合いになれば、困りますよね。
それでも食べ物に困らないように食糧生産の営みができることも、人間あるいは文明の良いところです。そのため、特に農作物の生産効率を高めるための研究に注力していました。

そんな中、食糧問題の解決の手段としての”保存”の観点で、ここ数年で格段にこれに貢献した「プラスチック包装」に興味を持ちました。
例えば、プラスチックの個包装により食品の腐敗が防げ、食中毒や飢餓で命を落とす人を減らすことが可能です。初めて聞いたとき「これに関わりたい」と思いました。
つまり私は、悪者と認知されがちなプラスチックを、人間生活を安定的に支える良い素材として改良したいと考え、プラスチックの代替となるLIMEXに可能性を感じ入社しました。

プラント事業部 亀田
TBMへの興味のきっかけは、プラスチック業界に関連したスタートアップであるということでした。
実家がプラスチック加工の製造業を営んでいることもあり、TBMの事業を通じ、プラスチック業界の環境課題の解決に貢献できると感じていました。

実を言うと、最初は就職よりも起業に興味がありました。
そのため、個人で資源ゴミの選別機を作るプロジェクトに取り組んでいたのですが、その際、ゴミの選別やリサイクルによってゴミが再生材に生まれ変わる過程の中に、様々な課題があることも分かりました。
TBMなら、資源循環事業を通じて、プラスチック業界やゴミの社会課題に対して現場に身を投じて携わることができ、さらに「Entrepreneurship職*」として挑戦できるということが、入社を決意した理由です。

*Entrepreneurship職:ユニコーン企業に成長したTBMで、実現したいと考えるサステナビリティ領域における新規事業の企画を推進する職種。入社後は新規事業部への所属を想定していますが、採用面接を通して起案された事業の内容によっては、その他の部門に所属して新規事業を進行していただく可能性も有ります。

テクノロジーセンター 彌富
TBMに入社を決意した理由は、無機材料で環境問題の解決に貢献できると思ったからです。
私は大学院で無機材料化学を専攻していました。無機化学に興味を持った理由はとても単純で、高校生の時に資料集を見ていて、無機化学のページがとても綺麗だと思ったからです。
そのまま博士課程まで無機材料の研究をする中で、無機化学の発展により環境問題の解決に貢献できると考えるようになりました。
そのため、就職活動をする中で、LIMEXが「無機物(炭酸カルシウム)を使用することで石油資源の使用量を削減できる」というコンセプトに惹かれ、入社を決意しました。

テクノロジーセンター 長尾
私の場合、入社の決め手は、自分が主体的に素材の処方開発からお客様に届ける製品の成形技術まで関わることができると考えたからです。
昔、友達と語り合った時に「環境問題は、意識的な改革ではなく技術的な改革から変わる部分が大きい」と考えました。そこで、大学ではプラスチック関連の研究を行い、世界と技術で勝負できるTBMに入社したいと思いました。

プラント事業部 佐々木
私は学生時代、スマホのディスプレイでも使用される有機ELについて研究していました。非常に面白い研究領域であり、世の中をより便利で快適にしていく技術として大変魅力があります。
しかし、環境問題の解決のような喫緊の課題を日々の生活でも感じる中で、研究開発がより求められる分野に身を置きたいと考えたことが、環境分野に絞った理由です。
その上で、より早い段階で多くの経験を積みたい、情熱的な仲間と一緒に仕事したいと考え、スタートアップであるTBMへの入社を決意しました。

テクノロジーセンター 川野
私は昔から自然に強い興味があり、大学院で環境素材の研究に取り組んでいたので、LIMEXのことは学生時代から知っていました。
進路を考える際、アカデミックな道に進むか、環境関連のメーカーに就職するか迷いましたが、自分の開発したものが社会で役立つことを実感したいと思い、LIMEXを通じてTBMを選びました。
また、佐々木さんと同じく、スタートアップ企業で多くの経験を積みながら自分の力を試したいということも決め手の一つです。

 

#2. 新卒でもここまでできる。若手技術者に任される多様な業務とミッションとは?


ー皆さんが1年目に任された業務を教えてください。

テクノロジーセンター 彌富
私は4月に入社したばかりですが、カーボンリサイクルファンドの研究助成金申請の主担当を任せていただいています。
配属から1ヶ月目で、「この仕事を君がリードしてやってみて」と大きなプロジェクトを任せてもらい、経営陣から直接フィードバックをもらえる環境に驚きました。

テクノロジーセンター 堀之内
私の場合は、1年目に東北LIMEX工場への技術支援を担当させてもらいました。最初は少し不安もありましたが、現場を知らない私を工場メンバーは温かく受け入れ、様々なことを教えてくれました。半年後に東京に戻ってからは、次々と工場関連の案件を担当しました。特に、ずっと実現したいと言われていた薄物のシート製品の開発を任せていただいた際は、センター長からの大きな期待を実感しました。

ー2人とも大抜擢ですね。川野さんは1年目の業務で印象的なことはありますか?

テクノロジーセンター 川野
今年1月にダボス会議で発表した、次世代LIMEXのプロトタイプとなる名刺の試作品開発をメインで担当したことですね。
次世代LIMEXの開発は、TBMにとって新しい挑戦でしたし、名刺をラボで試作することも初めてでした。TBMにとって前例がない仕事でしたが、先輩方に様々な視点でアドバイスをもらいながら進め、無事年末までに試作品が完成し、ダボス会議の場で、代表の山﨑から各国のトップリーダーの方々に紹介してもらいました。

テクノロジーセンター 堀之内
次世代LIMEXは、TBMのフェーズを大きく変えるような新しいマテリアルなので、川野さんが試作品の開発を任されたときは、正直羨ましかったです。
実際に開発が始まると、ノウハウがない中粘り続ける彼の姿に私も刺激をもらいましたし、見事に試作品を作り上げたときは、私も嬉しかったです。
そして、最初から最後まで自分でやりきる案件を1年目で経験できるのは、同じ技術者としてやはり羨ましいなと思います。

ー技術者同士、切磋琢磨している関係性が伝わってきました。プラント事業部の佐々木さん・亀田さんはどのような仕事を任されていますか?

プラント事業部 佐々木
私は元々テクノロジーセンター所属でしたが、今はプラント事業部で亀田さんと一緒に、横須賀サーキュラー工場の再生材ペレットの品質向上に取り組んでいます。
まだまだ夢の段階ではありますが、容器包装リサイクル法(以下容リ法)によって市町村から受け入れているプラスチックを、「バージン材」という新品の原料だけを使って製造されたプラスチック素材と同等の品質まで再資源化すること、これが私たちに任されているミッションです。

正直最初は「こんなに難しいことを新卒に任せるのか!」と驚きましたが、私たちの上司である杉田さん(執行役員 兼 資源循環事業本部 本部長)が、私たちなら実現できると本気で信じ、任せてくださっています。
そのため、今は「この期待に応えるためにも必ず実現させるぞ」と、亀田さんと2人で奮闘中です。

プラント事業部 亀田
私は4月に入社したばかりですが、週2,3回は横須賀サーキュラー工場へ行き、工場長の福山さんと議論をしながら、光学選別機による容リ法で受け入れたプラスチック選別の高度化に取り組んでいます。
資源循環業界の課題に対して、机上ではなくリアルな現場で向き合うことができ、工場長をはじめとする知見ある先輩方と議論できる環境に感謝しています。

ー佐々木さんと亀田さんはOJT期間のトレーナー・トレーニーの関係でもありますが、同じミッションを背負って熱く挑戦されているんですね。テクノロジーセンターのメンバーの中で唯一、技術営業を担うチームに所属する長尾さんは、どんな業務を任されているのでしょうか?

テクノロジーセンター 長尾
私はこの中だと少し特殊な経験をしているかなと思います。ラボでの開発や実験も行いますが、技術担当として営業に同行するとともに、取引先の役員の方との面談にも参加しています。相手は樹脂業界のベテランの方々ですが、だからといって「新卒だから」という甘えは許されません。
10年、20年の技術や知識に必死にくらいついています。
そのため、「若い割によく知っているね」と声を掛けていただけたときは嬉しいですね。

ー皆さん1年目から大きなミッションや期待を背負って挑戦されているのですね。様々な経験を通して、TBMの若手技術職はどのような期待をされていると感じますか?

テクノロジーセンター 彌富
長く同じ会社や業界にいると考えが凝り固まってきてしまう部分もあると思うので、私たち新卒メンバーは、年数が浅いからこそ、新しいアイデアを提案することを期待されている思います。
その期待に応えるためにも、自分が思ったことを「これ、言っていいのかな」と遠慮せずに発信することが大事だと感じます。TBMには、年齢や役職に関係なく、新しいアイデアを受け入れる文化があります。

テクノロジーセンター 堀之内
私もその通りだと思います。日常的に、アイデアや疑問を相談できる環境なので、本当にありがたいです。「今いいですか」と聞いて、「ちょっと待って」と断られたことは記憶にないので、本当に年齢や役職に関係なく意見に耳を傾けてくれる会社だと思います。

プラント事業部 佐々木
プラント事業部でも、「ここは駄目じゃないか」「これはこうした方がいいんじゃないか」と伝えることがありますが、「それは確かにそうだね」と受け入れてもらえる場面は多いですね。


#3. 新しいLIMEXを、組織を、TBMをつくる。若手技術者たちの野望


ー最後に、今後挑戦していきたいことを一人ずつ教えてください。

テクノロジーセンター 川野
私が関わっている大きなプロジェクトとして、先ほどお話しした次世代LIMEXに加えて、生分解性LIMEXの開発があります。どちらも長期間にわたり、基礎研究を重ねてきたのですが、今年中には製品をローンチして、実際に世の中で使用されているところを見たいです。
また、入社した時から海外での研究開発の体制を構築したいとも考えています。海外のメーカーと取引する上で、その土地で直接サンプルを入手し研究開発できる方がスピードと効率も高くなるので、そういう未来を実現することにも積極的にチャレンジしていきたいと思っています。

プラント事業部 佐々木
TBM Pledge 2030 の中に「Go Circular:2030年までに100万トンのLIMEXとプラスチックを50カ国で循環させる」という目標があります。これは資源循環事業本部として必ず達成したい目標なので、その実現のために、先ほどお話した高品質な再生材ペレットを絶対に開発したいです。
また、再生材に特化した開発部隊を私と亀田さんで作りたいと考えていて、そのチームで資源循環事業におけるTBM Originalの再生材技術を生み出したいですね。

テクノロジーセンター 長尾
私は、TBMを素材で勝つ会社にしたいです。
そのために、開発を通じて、様々な製品に使用できるLIMEX Pelletの開発をスピーディーに進めていきたいです。
LIMEXが多くの人の手に届くとともに、「LIMEXだ」と分かってもらえる製品を沢山世の中に生み出していきたいです。

テクノロジーセンター 彌富
「LIMEXとは何か」と聞かれた時、現在は「環境に配慮している素材です」と伝えていますが、そこに+αの価値を生み出したいです。
LIMEXには無機物が50%以上含まれているので、今以上に無機物らしい特徴を出していくことができると考えています。しかし、炭酸カルシウム自体については、一般的に多くの点が解明されていないので、まずはその研究に着手したいです。
そして環境配慮という軸ではなく、「何かとても輝いている個性がある+環境にも配慮している」というLIMEXを作りたいです。

プラント事業部 亀田
横須賀サーキュラー工場をモデルとした国内外への展開を進めるため、リサイクルにおけるTBMのコア技術を開発し、新しいスタンダードを確立したいです。
現状、リサイクルしたプラスチックは品質が安定しないため、再生材市場では完成品のクオリティが高くないことが前提とされています。その前提を覆すような、高レベルな製造技術を開発し、バージン材に匹敵するリサイクル材を作り出したいです。
最終的には、社会全体のプラスチックのマテリアルサイクルに対するイメージを変革し、TBMがその影響力を持つことに貢献したいです。

テクノロジーセンター 堀之内
私は、今のLIMEXに続く新たなマテリアルを作りたいと思っています。
今我々が生きている社会は、利便性を追及してきたことによる「大量消費社会」と批判的に語られますが、私個人は、この社会が好きなんです。
世の中に沢山の物があって、それを使って娯楽や便利が得られるのなら絶対いいと思います。
私はこういう楽しい世界を、今後も続けていきたいし、残していきたい。

そのためには大量消費するにしても、そのプロセスをしっかり整えていけばいいと思っています。
まず、素材や製品を作る際には、枯渇しない材料を使用し、使用後には環境負荷を抑えたリサイクルや廃棄物処理までを仕組み化した状態を目指します。具体的には、CO2由来の炭酸カルシウムやバイオマスを活用した樹脂などを積極的に使用し、持続可能な新素材を開発していきたいです。
これを技術者として、一貫して議論・検討できることも、TBMが「素材で勝っていく組織」だからこそだと思います。

ー今日は皆さん、ありがとうございました!