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新卒採用とコーチング

実は新卒採用面接官はコーチングと親和性が高い。新卒採用面接を受けに来る人は、初めて社会に出るわけで、自分の将来のキャリアも明確に描けていないことが多いし、大抵の場合、迷っている。我々面接官も応募者がどんな人物かわかっていない。つまり、コーチングのコンテクストで言えば、コーチもクライアントも知らない「クライアントのための効果的な質問」をするのにぴったりなシチュエーションなのだ。

例年、人事部所属の人間として最終面接に進める前の面接を務めている。今年はそこでうれしいことがあった。実際には面接後数日たってのことだったが。

いつも面接官2人でペアで対応するのだが、一緒に組む人が人から話を引き出すのがとてもうまい。今年はそれに負けないように、自分もコーチングで学んだことを意識してみた。なるべくクローズドクエスチョンばかりにならないように、聞き出したいことだけを聞く質問にならないように…。
出来は60点か70点で、コーチングを勉強始めた割には…という感じだが、少なくとも自分の質問を振りかえって「これはだめだった」「ここはよくできた」「こうすればよかった」と考えることができるようになった点はほめてよいかも。

その数日後。最終面接も終わったころ。同じ部の若手職員から声をかけられた。
実はわが社は最終面接を終えた人に一休みしてもらえる部屋を用意している。そこでお菓子などつまみながら、若手職員と話してもらって、面接の緊張をほぐしてもらったり、2次面接までのフィードバックなどをする仕組みだ。たとえ今回ご縁がなかったとしても、応募者の今後に役立てるように、そしてなんらかご縁があれば将来またわが社に戻ってきてくれるように、そんな意図がある。

「その『お菓子部屋』で昨日話した人が、『2次面接で自分自身を深く掘り下げるような質問をしてくれて、これまでできなかった自己分析がさらにできた気がします。普通の会社では面接では決まった質問を決まった形式で聞かれることが多いけれど、御社の面接は自分を大事にしてくれたと感じさせられるようなもので、すごく自分のためになりました。』と言われたんです。この2次面接官って、りめっとさん達じゃないかと思って調べてみたら、やっぱりそうでした!」

なんとうれしい話だろうか!
自分の面接での質問が自己分析に役に立ったと感じてもらえるなんて。
そして、その面接をしたのが「りめっとさん達ではないか」と思われるなんて。

その人の最終結果はわからないし、もしかしら私の相方の質問がよかったのかもしれない。
でも、それでもうれしいと感じたのだから、もう勝手に喜ぶことにした。

もう8月。就職活動に疲れている人もいるだろうし、すでに内定をいくつかもらいつつ悩んでいる人もいるだろう。でも、自分の人生の選択にこんなに悩めるのは幸せなことです。
皆さんにエールを送ります!がんばれ!