日本でのMYP課程の英語教育 実体験
中学1年生の長男が12月にぼそりと、「英文法を勉強したい」と言い出した。話を聞いてみると「英単語を並べるだけの自分の英語が情けないと感じた」と言う。授業ではたぶん毎日英文法も説明されているのだろうが、身についていないということなのか。
末っ子の長男は結構新しい公立のMYP教育課程を受けている。日本の公教育の試験的な要素が強い。毎日オールイングリッシュの授業があり、それ以外にも英語で他科を学んだり、英語でディスカッションする時間がふんだんにある学校だ。
ちなみに彼は、小学校時代に英語塾にも行っていないし通信教育も受けていない。そんな基礎も身についていないであろう彼が、日本においてはオーソドックスとは言えない英語教育を日本で受けてどんな風に英語を理解していくのか、個人的には非常に興味があった。
社会人になってから海外留学をした自分自身からしてみると、昭和の英語教育でもきちんと勉強していれば留学直後にすごく困ることはなかったし、おかげで今は英語に苦手意識はない。だからこそ、日本で行われ始めたオールイングリッシュの授業がどのくらい効果があるものなのか、非常に興味深いと思っていた。
ということで、あらためて英文法を教えることにした。1年ぶりにママ塾の開始である。(我が家の子どもたちは基本的に塾に行こうとしないし、行かせようとしても「全力でさぼってやる」とすごむような輩である。)
とはいえ、あらためてbe動詞から教えるというのは、息子も私もあまりにも退屈。幸い息子の学校は定期テストのない6年制なので、中学3年間で必要な文法を2~3年後くらいまでにわかっていればよいだろう。ということで、実験がてら、今回はBBC Learning EnglishにあるGrammer Referenceに沿って教えてみることにする。日本人を想定した内容になっていないだろうから、基礎もない子に乱暴かもしれないが、英語を使う環境は学校にはあるのであれば、むしろランダムな方が身につくかもしれない(まったく根拠はありません)。そしてその日教えたことは、日本で市販されている日本の英語の問題集で定着させる。結局英語は反復練習しかない。
実際、やってみて驚いた。息子は名詞の前につくaやtheの意味がわかってない(これは玄人でも難しいものだけれど)。be動詞の疑問文が作れない。is とareの違いもわからなかった。動詞がなんなのかもわからない。普通の公立中学校に行っていたら、中学1年生のこの時期なら既に習っていることではないか。
なるほど。オールイングリッシュと謳い英語教育に力を入れていると言いつつ、そこで英語の基本はきちんと体系だって教えられていないのだ。いや、教えているのかもしれないけれど、日本語で理解できていないものを英語で言われてもたぶんわからないだろうし、いくらオールイングリッシュと言っても、日本は英語を日常使わなければならない国ではないので定着は難しいだろう。
ちなみに息子は私が教えればすぐに理解した。全然わからないわけではないようだ。これならいけるかもしれない。ちょっと楽しみな実験が始まった。
素人の私からしてみると、オールイングリッシュや、会話重視の英語教育についてはまだまだ今後の推移をみないと何とも言えない。いいところも悪いところもあるだろう。ただ、同じ学校に通う中2、中3の先輩たちは自らの意思で塾に通うなどしているとも聞く。学校も、全国学力テストの結果を見ながらカリキュラムの見直しなどを平行して行っていて、MYP課程導入に試行錯誤しているようだ(この点も私は非常に興味深く見ていきたいと思っている)。このあたりは、また色々見えてきた段階でまとめて書ければよいなと思う。