アウスペック図書館の奇妙な住人⑦
seasonⅡ
『消えた本の追跡』
何だ。今日はやけに騒がしいな。エマ
あ、マイク。おはよう。セキュリティカメラを館内につけてるところよ。
この前、外観や内観を損ねるからとか言ってなかったか?
そうなんだけどね。先日の事件があってからミーティングをして、ジェファーソンがつけることに同意したのよ。私たちスタッフのことを考えてのことなの。
みんな疑いをかけられて、ジェファーソンもかなり頭にきたみたいなのよ。
あのときは、俺も疑われたからな。
マイクはエマからお弁当を受け取りながら事件のことを話していた。が、エマはマイクの手をツネっている。それにしても、ジェニファーさんはジェファーソン氏の息子のジョージと不倫関係だったってことはだよ、古書紛失の件にも加担しているような気がするんだよな。謎だけどな。
ジェニファーさんはジェファーソンとどこかしらつながりがありそうじゃないか。息子を通して。
それで、国立大学の貴重なデータを漏らした……。とも考えられる。
まだそんなことを言ってるわけ?そんなことあるわけないでしょ。
だって、現に古書はジェファーソンの執事室から見つかってる。あのときは身内の事件ということにより、警察も事件にはしなかった。事件という事件でもないし。この国は、それ以外にあらゆる凶悪犯罪がのさばってる。しかし、エマ……。何故あのとき、ジェファーソンが怪しいって睨んだんだよ。
あら?わたしはこれでも心理カウンセラーの端くれよ。学生時代に心理学を専攻しようと思ったこともあるのよ。
だいたいミステリー小説や映画って、犯人は1番最初に登場するものよ。確認してみたら分かるわよ。笑
心理学は専攻しなかったのか?
しなかったんじゃなくて、出来なかったのよ。 心理学は専攻する人が多くて人気なのよ。だから仕方なく地域の歴史学を専攻。それとドイツ語ね。
ドイツ語?またなんでドイツ語なんかを。
なんかはないでしょう。なんかは
違うのよ。フランス語は人気があるからこっちも外れたのよ。わたし、学生時代からこんなことばかり……。フランス語とドイツ語しか選べなかったのよ。
しかし、この図書館も今だに謎が多いよな。不思議な図書館だぜ。なんか曰く付きじゃないのか?独特な雰囲気を醸し出してるよな。
確かに未解決な事件は多いわね。あの部屋もそのうち古書が入り切らなくなるわよ。
あまり大きな声で言うなよ。情報漏洩の恐れがある。今日も頼んだわよ。マイク……。
ああ、任せろ。今度食事な。
うふふ……。あなた次第ね。それは。
またかよ……。
わたしは身軽じゃないのよ。
そういえばこの前、あなたが持ってきた本なんだけど、封印図書室に入れておいたわよ。
何だか様子もおかしかったしね。いつものあなたらしくなかったわ。
なんてタイトルの本なんだよ。
「未来日記」っていう本なんだけど、凄い剣幕で捲し立てられて今すぐにコイツを封印してくれって、渡したらどこかに消えていったわ。なんだったの?あれ?
さぁ。俺は覚えてねえな。
まあ、いいわ。きちんと封印しておいたから安心して。
それとねマイク、ちょっと聞きたいんだけど…
なんだよ。
実は、あるミステリー小説の話しなんだけどね。
それがどうかしたのか?
実はね、街の古本屋さんの前を通ったときに引き寄せられるように、スゥ…に入っていったんだけどね。
ある本に目がいって買ったのはいいんだけど、読み進んでいくうちにちょうどいい場面まできたら、ページが破れていて、ラストが分からなくて。あなたなら詳しいかな?って。
どんな本なんだよ。
「完全犯罪の殺人ディナー」?
そうなのよ。肝心なラストの場面が破かれていて誰が犯人なのかさっぱり分からないから、イライラしちゃってね。
ストレスが溜まってるの?マイクなら分かるかなってね?
いま、現物はないのか?
それが持ってきたはずなんだけどね、見当たらなくて。
読んだことある?
いや、聞いたことないな。あらすじとか話せるか?
覚えている限りなら…
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?