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夫語録①

最近、夫に「私の好きなところは?」と訊くと、きまって

「けつ」

の一言で済まされてしまうのだが、きっとここには、短いなりに年月を経て、言葉に尽くしがたい、深い意味があるのだ、と信じ、大いに期待することにして、今日は夫の好きなところを書いてみる。

今日書いたところが変わっても私はきっと変わらず夫のことが好きだから、きっともっと本質的な何かが好きなのではないか、とも思う。

それにもしかしたら、もう少し時が経ったら、また好きなところも変わっているかもしれない。彼自身も、まじめな顔をしてサクッと冗談を言う人だから、どこまで本心で言っているかもわからない。

それでも、振り返った時に思い出として今の記憶を残しておきたくて、語録を交えつつ言葉を紡ぎたくなった。写真や動画で見る思い出は残せても、思考回路を記憶に残せるのはやはり言葉だと思うから。


「俺は背中で語りたいのよ」

夫には自分の理想の体型像があるらしく、それに近づくため日々筋トレに励んでいる。youtubeでも、「マッスルグリル」など、前よりフィジークの方々の動画を見ている。筋トレするたびに、鍛えられた筋肉を撫でて仕上がりを確認しているのを見ると愛おしく思う。

さて、筋トレをするにあたり、鍛えるのが得意な部位、苦手な部位というものが誰でもあるものだ。彼にとって鍛えるのが苦手な部位は背中の方にある筋肉のようだ。それでも彼はあきらめない。その理由は、彼の憧れる「背中で語る男はかっこいい」だ。

よくよく話を聞いてみると、もちろん、元ハンマー投げ選手の室伏さんのような逆三角形の筋肉はかっこいい、という意味もあるが、それとは別に、言葉で表すのは面倒だから、何でもかんでも背中を通して伝わればいいのに、という心の奥の本音が垣間見える。

こんな性格をアニメのキャラクターで表すと、となりのトトロに出てくる「かんたくん」のような人かもしれない。言葉少なに、でも泣きわめくメイちゃんの面倒を最後まで見る。どろどろになってメイちゃんを探す。

背中で語る、といえばこんな出来事があった。

わたしの両親を夫の実家の北海道に案内した時。

あるお店で両親が買い物を楽しむ中、実はそろそろ出発しなければならない時刻になっていた。夫が前触れなしに静かに一人で離れた駐車場まで歩き、車を両親のいる近くのお店の近くの通りまでつけてくれた。わたしの母がそれに気づかず、「店の前のテーブルでコーヒー飲みましょうよ」と私を誘い、私が「実は時間がね…」と言っているうちに、夫はお店の近くの駐車場に車を停め、歩いて迎えに来てくれた。事情を知った母は、「車の窓を開けて、おーい!って呼んで車にのせることもできたのに、〇〇くん(夫)は人を動かそうとせずに自分から動く人なのね」と感激していた。

筆不精でお手紙を書くのは苦手。お洒落な言葉で取り繕ったり気遣ったりしているよりも、直接行動に移すストイックさとフットワークの軽さ。行動から伝わる素朴な温かさや誠実さ。こちらにも伝わっているよ。

「背中で語る男像なんて古臭いぞ」という人がいたら、言わせておこう。

わたしは言葉で表現されるのも好きだけどね。


本当はこの1記事に複数個の語録をあげるつもりだったが、気づいたら字数が大変なことになっていたので、ここで一度締める。


今後も不定期に夫語録していこうかな。

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