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ストーリーの奏でる魔法〜人類発展の最大の秘密(かも)〜

『パパ、ご本読んで!』『あの映画、すごく泣ける。。。』『今週の鬼滅の刃、アツい!!神回!』『この前彼がね、、、』
いつでもどこでも、私たちの話の中心にはストーリーがあります。
そう、私たちはストーリーが大好きですし、脳もそのようにデザインされているようです。

実はnoteで私が最もよく読む記事を書いていらっしゃるmokko@AIRCLOUD 物語ライターさん。

『学んできたけどうまく言葉にして表現できていなかったこと』が、個人的にたくさんあるのですが、そんないわゆるライフレッスンストーリー仕立てで読みやすい記事にして発信されています。

マインドセットが記事のコアになっていますが、描写がお上手で、抽象的な内容でも臨場感があります。そして、それを実際にどのように使ったのか、というご自身の経験をスパイスにスキルセットがうまくブレンドされたストーリーになっていて、とっても頭に残りやすいのです。
光栄にも、先日その方の記事で私の記事を取り上げていただいたのですが↓↓

これが、ストーリーについて考えるきっかけとなりました。

ストーリーってそもそも何なのでしょうか?
ストーリーって何で必要なんでしょうか?
そして、何で私たちはストーリーが好きなのでしょうか?

かくして私は、人類が発展してきた最大の秘密にたどり着いた(気がした)のです。
本記事は特に学術的な裏づけのない私見ですので、読み物としてお楽しみ下さい。

ストーリーとは

ストーリー [Story]
ラテン語の語源: Storia, Historia
日本語の意味:お話
もともとhistoryからきている。
Historyはギリシャ語的な解釈ではhis storyである。
Historyを縮めたもの、short historyをstoryという。
(※Google検索よりの引用。裏づけなし。)

なぜストーリーが人類の発展の秘密と言えるのか

ストーリーって何だろう?について考えてたどり着いたこたえが、

ストーリーは人類の発展してきた証であるから

ということです。

鬼滅の刃 137話お館様が鬼舞辻無惨と対峙した際にグサリと突き刺した言葉に、その真髄が込められています。ここでは『想い』と表現されていますが、これは『ストーリー』に置き換えても通じる名言だと思います。

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『ストーリーを伝えてくことが永遠かつ不滅なのだ』と。

順を追って説明していきましょう。

ストーリーは情報の伝達手段である

ストーリーは言葉を紡いだものです。そして、言葉は自分の考えを表し、それを他者へ伝えるツールです。なので、ストーリーは本質的に、

自分の考えたものごとを誰かに伝える

という機能を持っています。
でも、単純に情報の伝達ならば、ストーリーでなくて、言葉の羅列でもいいといえます。
逆にいうと、ストーリーには単純な言葉の羅列以上に、感情を揺さぶり、覚えやすくするという機能が搭載されているのです。

みなさんもご経験があるように、マンガや小説はどんどん読めるのに、専門書とか、教科書とか、辞書とかは全然読み進められないものです。

自分がどうしても知りたい知識があればまあ読めますが、そうでない場合はあまり頭に残りません。私もよく知らない英単語を辞書や辞書アプリで調べますが、実は同じ英単語を何度も調べていたりします。それだけ、頭に残りにくい。

そう、情報の伝達は言葉の羅列だけでもできますが、それだけではあまり覚えられないものなのです。これは脳の機能によると思われます。

脳の機能とストーリー

10歳くらいまでは、物を覚えるのはだいたい暗記です。これは、生きていくのに必要な基本知識・技術を習得するのがその年齢まで、と捉えることもできます。

すると、脳の機能的に、10歳前後をさかいに、暗記よりも、すでにある知識と関連づけて覚える方が得意になります。この「関連づけて覚える方法」をエピソード記憶なんて呼ぶこともありますが、基本的に暗記脳から論理脳に変わるのだと理解しています。

小学校低学年の子どもは物事をそのまま暗記できるのに、小学校高学年頃から暗記では覚えるのが大変になって、学力が急に落ちることがあります。これは、脳の記憶のシステムが論理脳に切り替わったのに、暗記をしようとしてうまく情報を処理できなくなるからだ、と言われています。

論理脳とはものすごく簡単に言えば、脳の中でいろいろな情報のネットワークができあがっている状態です。暗記のように何もないまっさらなキャンバスに新しい情報として記憶していくのではなく、すでにある脳の中の情報のネットワークに紐付けして覚えるのが論理脳です。

実はこのネットワーク、言葉と言葉だけをつないだものではないのです。
感情、色彩、視覚情報、嗅覚情報、味覚、そして情報・知識を使うための知識(知性・知恵・手続き的知識)などなどを全部まとめて紐付けています。

だから、例えば
「ある匂いを嗅ぐと、いつも決まった思い出を想起したりする」
「あるモノを見ると、いつも決まった感情がわき起こる」
なんてことが起こるのも、特定の刺激に対して紐付けされているいろいろな情報が一緒に引き出されるからなのです。

さて、こうした反応はなぜ重要なのでしょうか?

実は、情報を他の情報に紐付けていく際に、重要な要素があります。
それは、感情というスパイスです。ある情報を覚えるときに、感情(例えば喜び、怒り、悲しみ、恐怖など)が働くと、その情報は重要なものとして、より強く紐付けられ、記憶されやすくなります。(これは脳の扁桃体という感情による記憶の増幅装置の働きです。)

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前置きが長くなりましたが、必要かつ複雑な情報を効果的に覚えるためには、五感を活用して情報を立体的に捉えること、そしてその時の感情とセットにすることが重要です。
そしてそれを誰かに伝達するためには、同じように相手の感情を動かすような情報に加工することが大事なのです。そしてこの情報と感情のセットがストーリーの基本構造です。

ストーリーは情報と一緒に感情もセットで伝えられる

私たちはものを覚えるときに実はいろいろな周辺情報と一緒にカタマリにして覚えるという話でした。そしてその情報のカタマリは、感情とセットになると、より強く記憶に残るというメカニズムなのでした。
重要な情報ほど、簡単に検索できて、簡単に取り出せるのが重要です。
感情とセットになった情報は記憶に強く残りますので、脳の検索機能にかかりやすく、効率よく収納・取り出しができます。その最も美しい形が『ストーリー』という機能です。

ストーリーが人類発展の証かつ最大の秘密である

人間を人間たらしめる、あるいは他の動物と決定的に違う最大の特徴の一つは言葉の発達と言えるでしょう。

もちろん、他の動物だって言葉のようなコミュニケーションの手段があるだろうし、鳴き声や仕草でコミュニケーションは取っています。植物もいろいろな情報をやりとりしていますし、細菌だってお互いに情報交換しています(クオラムセンシング/Quorum Sensing)。

そして、人間のもう一つの特徴は社会性と感情を持ち合わせることでしょう。これはもちろん、他の動物でもみられます。

では、なぜストーリーが人類の発展の証とも言えるのか?

それは、ストーリーが人類が生き抜いてきた知識や知恵を、後世に伝えるために重要な機能を持っているからです。

私たちは
自分がサバイバルするという、生命体としての基本的なあり方
だけでなく、
家族・仲間・組織・国・人種などのいろいろな社会を形成してコミュニティとして行動・生命活動する
ことで、人間としての歴史を紡いでいます。

そんなの他の動物も一緒じゃないか、と思うかもしれませんが、やはりヒトという種族が長らく繁栄しているのは、種の保存のために必要な情報を確実に伝えてきたからであり、その情報のやり取りはストーリーという形で、単純な情報の受け渡しではなく、感情や行動に刻みつくような形で残されてきたのです。

まとめ

ストーリーは記憶するのに非常に優れた、『情報と感情をセットにしたツール』としての側面を持っているのでした。

なぜそのような機能が搭載されたのか?を逆説的に考えると、『人類が種を保存し、社会性を保ちながら発展するのに必要な情報』を確実に受け渡していくのに最適な情報伝達形式だったとも考えられます。

ストーリーが自然に脳に溶け込み、自分の行動や判断の基準になり、そしてそれが周りに伝わり、社会として文化を形成・継承され、すべてが紡がれて歴史となる。

みなさんの伝えていきたいストーリーは何でしょうか?ぜひ、口伝だけではなく、何らかのメディアにも残していくことをオススメします。

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